コニタス

書き留めておくほど重くはないけれど、忘れてしまうと悔いが残るような日々の想い。
気分の流れが見えるかな。

やっぱり正しい食生活が大事。

2008-10-25 17:49:05 | 
英米の公開講座から一週間。
私の手元に『サレルノ養生訓―地中海式ダイエットの法則』と言う本が届いた。

メタボ対策?
それもあるかな。

この本については翻訳者、佐々木巌氏のwebページが詳しい。
書名から判るように、専門書というよりは一般向けに売られている本。1800円也。

書名から、と言えば、ここには佐々木氏の命名センスも光っている。
まず副題。“ダイエット”は、現代の課題であるし、“法則”だし、まして“地中海”だ。
なんか、よさげ。

原書名は、REGOLA SANITARIA SALERNITANAと言うらしいです。
サニタリーだから「衛生」? 英語(??)書名はRegimen sanitatis salernitanumで、養生法らしい。"regola"と言うのが養生なのかな。まぁいいや。
外国語はパス。

いずれにしても、佐々木先生は、この本に「養生訓」という和名をつけた。「養生訓」と言えば貝原益軒です。
益軒先生が日本人の生活に与えた影響って、実はものすごいんじゃないかと思うんだけれど、それもまた別の話。
中村学園が、益軒の資料集積をしているのでそちらを是非。
『養生訓』のテクストもあります。

つまり、中世ヨーロッパの『養生訓』であるよ、と。
現代人はわかるのかな、と思いつつ、やっぱり古典は響き合うのだね。


久木田先生のお話は、しかし、ヒポクラテスガレノスの四体液説やら四大元素説やらと、食べ物との関係という話から、『サレルノ養生訓』に及ぶのが、いわば枕。

そのあと、中世ヨーロッパのキリスト教圏での受容の話になるのだけれど、それは、イーリーのウナギやハーブガーデンの話だったり、全ての食物を四元素の属性と結びつけて[hot Cold Dry Moist]それぞれを数値化した食べ物の処方箋を編み出した話だったり。
例によって貴重な画像もたくさんで。

みんな面白いんだけど、どれ、ちょっと読んでみるか、と思えるような生やさしい本ではなくて、メインに使ったのはウィーンにある写本だとか。
写本と言っても、私の研究室にあるような汚い本ではなく、中世ヨーロッパの大金持ちが写字生を雇って書かせた綺麗な本だ。

しかし、書かれていることは、“医食同源”と言うことであり、食べ物のバランスであったり、暴飲暴食の戒めだったり、かわらないな、と言うか、それでも守れない人々。

なんだかんだ言って、数値化したところが一番面白かったので、聞き取れたところを公開! 聞き間違いもあると思いますが。

春 サフラン H1D1 バラC1D3 アスパラ? 
夏 レタスC2M2 キュウリC2M2 カモミールH1M1

鶏肉 山ウズラHM ひよこ 去勢した家畜 雌の方がモイスト

酢C1D3 一晩で鳩の骨を溶かすくらい強い
蜂蜜HM 果物のコンポート
砂糖H1M2  薬に配合


…………

うーん。これだけじゃわからんね。

季節や状況に応じて、えらく具体的に処方があるわけです。
雄雌の区別だとか、調理法だとか、足し算引き算かけ算割り算……。
このパズルはひどく面白い。
構造化への欲望。


益軒の『養生訓』には、細かいレシピまではなかった気がする。
一方、室町以来の膨大な料理本には“医”の意識は、それほど高くはないかもしれない。
特に、近世後期の料理本は、実用性の高い物と有名店のレシピのような娯楽に傾斜した物に別れて行ってしまう。
本草書と料理本は別、と言うことかな。
医食同原といい、薬膳の文化がある中国はどうなんだろう。

この辺は、『茶経』にも詳しい中文の埋田先生の出番だ。



そうそう、久木田先生には、ハリストス正教会のイベント(11/30)で中世図像学についてお話しいただくことになっているのでお楽しみに!!

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