コニタス

書き留めておくほど重くはないけれど、忘れてしまうと悔いが残るような日々の想い。
気分の流れが見えるかな。

違反の温床

2007-08-18 19:41:49 | 
読売新聞(2007年8月18日(土)16:14)のオンライン記事

リンク切れるかも知れないので全文引用。


1文字5円、卒論に代行業者…大学は「見つけたら除籍」

 大学の卒業論文やリポートの執筆を有料で請け負う代行業者が登場し、波紋を広げている。


 学生がインターネット上で見つけた資料をリポートなどに引き写す「コピー&ペースト」が教育現場で問題となっているが、これを上回る究極の「丸投げ」で、文部科学省は「事実とすれば、到底認められない行為」としている。

 ネット検索大手のグーグルも、「こうした代行は不正行為にあたる」と判断、代行業者のネット上の広告掲載を禁止する措置に踏み切った。

 「国立大の学生・院生を中心としたチームなので安心の品質」「6年で740件の代行実績」。ある代行業者のホームページ(HP)には、そんなうたい文句が並ぶ。別の業者のHPは「社員は学生時代に必要最低限の勉強量で優やAを取ってきた精鋭ぞろい」とアピールしている。

 料金は1文字5円程度。納期は卒論で1週間以上、リポートでは2、3日以上が多い。テーマや内容、分量、納期などを指定のメールアドレスに送り、その後のやりとりで合意すると正式契約となる仕組みだ。こうした業者のHPはネット上で少なくとも三つ確認されたが、個人レベルで請け負っているケースもあると見られる。

 このうち、昨年4月から事業を始めた業者が読売新聞の取材に応じた。これまでに300件近い問い合わせを受け、実際に100件以上を請け負ったという。2万字程度のリポートで10万円、発表会のための個別指導を含む卒論執筆だと35万円からという料金設定にしている。

 事業を取り仕切る20歳代の男性は「もともと大学院の入試対策を有料で行うつもりだったが、依頼の大半は卒論やリポートの代行だった」と明かす。法律関係が依頼の半分近くを占め、文学、経済関係も多い。理系では物理や化学は皆無で、情報科学の依頼が数件ある程度。これまでに、「単位が取得できなかった」「発覚してしまった」という苦情は寄せられていない。

 「卒論を3日で仕上げてくれ」など、安易に代行を頼む学生もいるが、この男性は「依頼者の多くは、教員に放任扱いされ、課題にどう対処すべきか悩んでいる。我々がやっているのは、最後の駆け込み寺のようなもの」と主張している。

 これに対し、この業者のHPをネット上で見つけた京都府立大の川瀬貴也准教授は、今年1月、「あなたたちのしていることは犯罪。即刻やめるべきだ」というメールを送った。「『卒論を代わりに書く』という商売があるとは、とんでもない話。発覚すれば、学生の単位を取り消すどころか除籍処分ものだ」と憤る。

 文部科学省大学振興課も「いかなる理由があろうと、他人に卒論やリポートを書いてもらうことは、常識からも認められない」との見解だ。ただ、大学側からの事例報告などがないため、当面は調査などはせず、様子を見守るという。

 一方、検索大手のグーグルは今年5月、卒論代行業者の広告掲載を禁止した。検索語と関連するウエブサイトが広告として掲載される機能で、今回の禁止措置について、グーグル広報部は「情報提供や執筆のサポートではなく、全部を代行するというのは、不正行為にあたると判断したため」と説明している。
(2007年8月18日16時14分 読売新聞)




これって、10年近く前から話題になってたと思うけど……。
と思いつつ検索したらやっぱり。


卒論・レポート代行センターは創業1998年の老舗。記事の中の「ある代行業者」ね、これ。
以下、少し引用。

昔から芸能人やスポーツ選手など多忙な学生のレポート・卒論作成代行・サポートを していたレポート代行サービスがWEB上での受付を開始!
あなたのレポートを代行します!
卒論・エントリーシート・レポートなどなんでもご相談下さい!

料金体系
基本料金:1文字5円~
別途料金:資料1冊につき5,000円
料金は納期や内容によって変更するのでお気軽にご相談ください。

納期
○卒  論=一週間~
○レポート=2日~
納期も作品のテーマや分量によって異なります。

見積もり
見積を依頼する際は、 テーマ・文字数・納期などを明記して下のボタンからメールを送って下さい。送信できない場はreport_suport@gold.livedoor.comに見積依頼のメールを送って下さい。


ついでに、記事にある「別の業者」は「卒論・レポート代行所」だな。

毛色の違うところでは、東大院生チームのweb-teacherが。家庭教師的な研究サポートというか、共同研究みたいでちょっと面白い。これも少し引用。

事業理念
* 学部生が無事卒業し、社会人として鍛えられる機会をサポートする
* 資金援助の受けられない博士課程などの大学院生に仕事を提供する
* 社会人が大学/大学院で学ぶ機会をサポートする


WebTeacherが取り扱う業務の詳細

# レポート/卒論/修論雛形作成代行
 文系の方も理系の方も、学部生から社会人までご利用可能です。

レポート
 内容次第では一日で作成可能となっております。外国語やプログラミングなど、他の業者では対応できない案件も多数扱った実績がございます。

卒論/修論
 お客様のご要望に合わせて卒論の雛形を作成し、お客様がそれを改変することは問題ありません。ただ、作成した卒論の雛形はそのままお使いいただける程度のものに仕上がっております。
 お客様に卒論の雛形をお渡しした後、実際に大学に提出するまでに、卒論雛形に加えて、ご希望であれば、お客様ご自身による内容の理解をサポートするための資料も合わせてお渡しいたします。
 サポート資料だけでは物足りないとお考えのお客様には、別途お見積もりで雛形を作成した講師による直接指導も状況次第では可能となっております。

 情報学科などの理系学部のお客様にも対応ができるのは、WebTeacherの優秀なスタッフ陣ならではのものとなっております。教授によるアカデミックハラスメントやご病気などのご事情を抱えていたお客様のご利用から、より質の高い卒論を仕上げたいというお客様のご利用まで多分野に渡り経験させていただきましたが、研究テーマ設定(特に理系)から、教授とのコミュニケーションの方法も含めてサポートしました。人間関係も含めてサポートする場合もございますので、お値段はそれなりのものとなりますが、サポート期間内に分割で支払うことも可能となっております。
 経済学部や法学部のお客様には、専門大学院生が対応するように努めております。

# 大学院試験の個別指導

 開業当初から始めているサービスです。2006年度の実績として、東大・東工大の最高の設備・スタッフに囲まれて研究したいという私立理系学部のお客様や、早稲田大学などの人文科学系の大学院を希望されるお客様の合格のお手伝いをしました。特に東大・東工大の大学院に進学希望の方には、内部の資料等を参考に、効率的な勉強をすることができます。
 受験勉強には環境面も含めて親御様のサポートも必須であると考えております。合格時の成功報酬はそれなりのお値段となりますので、親御様の理解を得てご利用いただくことになります。
 なお、個々の科目のみの指導を希望されるお客様については、状況を考慮し、成功報酬ではなく調整した月額基本料金+家庭教師代相当額と致します。



これは、「雛形」作成代行で、論文を書いてくれるわけではないらしい。
たいしたもんだ。


しかし、みんなお金あるなぁ。
50枚の卒論に10万円以上かかる。
原稿料、400字で2000円。私より高い。



新聞見出しでは、大学は「見つけたら除籍」とあるけど、どこかの大学の公式見解じゃなくて、抗議した、教授のコメントのことかな。


この教授の正義感はよしとして、しかし、問われなければならないのは、そう言う「裏技」が出来てしまう大学の仕組みの方じゃないのかな。


と、この話題、実は昔ホームページを真面目に作ってた頃話題にした憶えがあるんだけど、その時にも、こういうことが出来ちゃう大学の方が問題でしょ、ということを書いたと思う。

で、最近話題の水増し合格が、センター試験だけで合否判定する大学の責任が大きい、と言うのとちょっと似てる。

10年放置されてきたどころか、複数業者がやって行けてるとしたら、やっぱりそう言う環境の方に問題ありでしょう。

不正卒論を除籍にする前に責任ある指導体制を作りなさいな。
ていうか、見破れないんじゃないかな。

少なくともコニ研の卒論は代行頼めないよね。


入試問題をどうやって、何を考えて作っているか、と言うことと同様、卒業論文指導が、何を目指して、どのように行われているのか、と言うことも、大学の質を知る大きな手がかりだろう。

私の場合も、代行業者ではないけれど、実は代行指導教員に丸投げしてる。
こういうとなんだか大問題だけれど、つまり、多岐に渡る個別学生のテーマにあった情報やノウハウを持った知り合いと学生を繋ぐことで質の高い研究をする機会を与えているわけですね(物は言いよう)。

課題研究という、卒業論文のゼミの殆どはユルイ雑談会だけれど、そこでみんなが問題意識を共有したり、タイトル考えたり。
こういうコミュニケーションの中で論文を書く。
そう言う機会をもてないのに卒業論文を課さざるを得ない大学って、悲惨だなぁ。

代行を憤る先生の是非はともかく、まずはあしもと。
学問の喜びをちゃんと伝えられないとね。

この記事が、どうしてこんなタイミングで出てきたのかよく判らないけれど、受験生の大学選びのヒントになるかも知れない。

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15 コメント

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どうもありがとうございます (事業を取り仕切る20歳代の男性)
2007-08-20 23:08:32
誠実かつ冷静なコメントありがとうございます。私「事業を取り仕切る20歳代の男性」と新聞記事に書かれた者です。

毎週ディスカッションするようなまともなゼミなり研究室ばかりになれば、うちは客が来ずに消滅するでしょう。コニ研の学生はちゃんと指導が受けられて幸せですね。

取り急ぎコメントさせていただきました。それでは失礼いたします。
なるほど! (コニタ)
2007-08-20 23:35:49
やや、本物さんですか?
長い引用をして済みませんでしたね。

しかし、これで読売新聞の記事のからくりがちょっと見えましたね。

威勢の良い売り文句は「卒論・レポート代行センター」と「卒論・レポート代行所」から引用、そっちからコメントを取れなかったのでWebTeacherのコメントを掲載したわけですね。
でも、前2件と、WebTeacherは私から見たら全く違う。

しかも、大学教師の「……除籍処分ものだ」と憤ってるコメントを「大学は「見つけたら除籍」」と誇大見出し。更に文科省やgoogleまでかり出して。

って、この教師が抗議したのは「この業者」つまりWebTeacherで間違いはないのですね?
そうすると、この先生もちょっとお門違いだなぁ。十把一絡げにしている感じ。

ほんとに、「依頼者の多くは、教員に放任扱いされ、課題にどう対処すべきか悩んでいる。我々がやっているのは、最後の駆け込み寺のようなもの」と言う主張は理解できるのです。

卒業論文を課すなら、ちゃんと指導しなさい、ということだし、指導していても「代行」を見抜けないのでは救いようがない。


論文代行はともかく、文系でも研究協力が商売として成り立つならそれはそれで良いんじゃないでしょうかね。

私は研究が好きなので、人に託すなんて絶対しないし、ウチの学生たちも楽しんでると思ってますが、むしろ、研究費の管理とか、外部委託できる物ならしていただきたいくらいだ。
捕捉 (コニタ)
2007-08-20 23:43:55
2007/8/18読売新聞掲載記事に関して
http://web-teacher.jp/yomiuri.html

今読みました。
ここにコメントをして下さったのも、その流れなのかな。

大学が変わらなければいけませんね。
ほんとに。
迅速なコメントありがとうございます (事業を取り仕切る20歳代の男性)
2007-08-20 23:53:03
研究協力も可能ですし、プログラミングが得意な人間が多いので、研究室の円滑運営のためのシステム受注など、喜んでお受けします(研究費管理はできませんが研究費管理システムやナレッジ共有など)。ITと文系の融合分野は十分に共同研究が可能かと思います。物理や化学はさすがに融合しないと思いますので。

現状のWebTeacherの公式見解は、記事になって2日目の昨夜、新しくアップしたのでご覧くださいませ。
http://www.web-teacher.jp/yomiuri.html

サポート業務で十分に需要があるのでしたら、いずれはゼミ教育の外部委託(TAみたいなもんですかね)も受けようかと思っております。

それでは失礼致します。
ちょっとかぶりましたね (コニタ)
2007-08-21 00:17:44
経理の補助やTA的な仕事に対して、どこから謝金を支出できるか、と言うのが問題ですね。

少なくとも国立文系の研究費ではとてもとても。

ところで、
http://www.web-teacher.jp/yomiuri.html

大学関係者がどのくらい見るのでしょうね。
2chででも良いから、もっと話題になるべきだと思います。

他の記事にも書きましたが、大学が目覚めないとどうしようもない状況です。
事業を取り仕切る20歳代の男性さんへ (一言)
2007-08-22 22:27:48
川の水が汚れているからと言って、その川の水をさらに汚してよいものでしょうか?
一言さん (小二田)
2007-08-22 23:23:53
コメント、ありがとうございます。

私への御意見ではないようですが、ブログ主として、私の考えを一応書かせていただきます。


趣旨その他を拝読する限りでは、web-teacherさんは、他の「卒論代行」とは少し違う気がしています。
もっとも、客の要望によってそっちがふくらんでいるようで、不正な代行もしているのか、正直の所、本当の事業実態は知らないで書いていますが。

なんだか、「20歳代の男性」さんが、つまらない業者のために代理戦争にかり出されているようで、少し気の毒でもあります。

理念だけで言うなら、少なくともweb-teacherさんは、水を汚そうとしているわけではない、と言うのが、私の「印象」です。

それでも現実に汚しているのだ、と言われてしまうと反論の材料を持ち合わせませんので、あとは、「20歳代の男性」さんをお待ちするしかありませんが。


一言さんは、どうすれば川を綺麗にすることが出来るとお考えですか。
正直、私はもう、組織を目覚めさせ、蘇らせる手だてを思いつくことが出来ません。

心ある人が却って淘汰される状況にまで汚してしまったのは、だれなんだか。
コメントありがとうございます (事業を取り仕切る20歳代の男性 その2)
2007-08-23 03:07:34
小二田様、一言様、

はじめまして、事業を取り仕切る20歳代の男性その2 です。
先にコメントしました事業を取り仕切る20歳代の男性とは別人ですが、同じく事業を取り仕切る者です。

ちなみに、
http://www.web-teacher.jp/yomiuri.html
は私が書いたものですので、少々コメントさせていただきます。

まず、事業内容について。
卒論の雛形作成という内容になっておりますが、部分的にでも代行をしているといえばその通りなので、他業者の行う代行と大差ないと言われても否定は致しません。

「川の水が汚れているからと言って、その川の水をさらに汚してよいものでしょうか?」と言われまして、はじめはいまいちピンとこなかったのですが、なるほどなかなか良い例えではないかと思いました。
私達(あるいは弊社の中でも私だけかもしれませんが...)は川の水をおもいっきり汚してプンプン匂いがするくらいにしたかったのです。臭くて誰も無視できないくらいに。

私が例えるならこうです。
私達は悪役レスラーで、大学が善玉のレスラーです。
プロレスを面白くしようと思って私達は善玉レスラーに攻撃を仕掛けます。
しかし、善玉レスラーはいっこうに弱っちいままで、攻撃を仕返したりしません。
このままじゃつまらないので、読売新聞に頼んで観客を呼んでもらって善玉レスラーを応援してもらうことにしました。
読売新聞には腑抜けた善玉レスラーをしっかり応援するように観客に訴えてもらいたいと頼んでその旨を了承してもらえたのですが、どういうわけか悪役レスラーを攻撃するように宣伝してしまいました。
そのせいでたくさんの観客がリングに上がってきて悪役レスラーを攻撃し始めて、かわいそうにそのことを突然知った悪役レスラー仲間の卒論・レポート代行センターはギブアップしてしまいました。
私達は悪役レスラーなので、観客の罵詈雑言は本望なのですが、できれば強くなった善玉レスラーに倒してもらいたいのです。
ウェブサイトのコメントにも載せましたが、どうやら善玉レスラーは相変わらずトレーニングする気はないと気付きはじめていますので、いつまでもでかい顔していないで、身の丈に合った地方巡業でもしていていただきたいと思います。
雨で起きて、寝ぼけたまま、とりいそぎ (コニタ)
2007-08-23 04:50:11
知り合いから連絡あり、
http://www.j-cast.com/2007/08/20010485.html

に引用されてるとのこと。

連絡くれればいいのに。
トラックバック受け付けてないのがいけないのかしら。
web-teacherに連絡が付かない、とか書いてありますが……。

上のコメントについてはあとで!
レスラー説 (コニタ)
2007-08-23 17:48:47
プロレスびいきでない私としては、どうせ八百長? とか変な連想をしてしまいますが、喩えとしてはよく解ります。

今回の読売にしてもJ-castにしても、悪役ありきのところがあって、誰が川を汚したのか、と言う視点を見えにくくしてる。

善玉レスラーは巡業キャンセルして国に帰って廃業かなぁ。

J-castのコメントにも少しコメントつけたいので、時間のある時もう一回まとめ記事を書きたいと思っています。

「ひと夏のおもいで」にしないで、少なくとも後期が始まってゼミで話題にで来る時期まで「善玉応援キャンペーン」を続けたいですね。

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