18日に、通し狂言 四谷怪談忠臣蔵 仮名鑑双繪草紙(かなでほんにまいえぞうし)三幕十六場を見てきた。
これは、
猿之助には「猿翁十種」(昭和39年制定)・「澤瀉十種」(昭和50年制定)、そして「猿之助十八番」(昭和63年制定)という家の芸がありますが、この度自身が創り上げた、[復活通し狂言十八番][猿之助新演出十集][華果十曲][新作・スーパー歌舞伎十番]の計48作品を、「猿之助四十八撰」として新たに制定しました。
と言うのの内、[復活通し狂言十八番]に含まれる。
スーパー歌舞伎『ヤマトタケル』で大ブームになる少し前、『当流小栗判官』が、ポスター共々話題になった頃、私は大学生で、周りに歌舞伎好きがいたので、あれこれ議論があったのを思い出す。大学院に入って諏訪先生の授業で『東海道四谷怪談』を読み、日文協近世部会でもなぜか南北作品を読んでいたし、多分少し前に広末保の新書が出ているはずだ。南北ブームだったんだろう。私自身南北を読むことで鍛えられたのは確かだ。森山重雄先生のことなど、色々思い出すことも多い。私が静岡に来て最初に活字になった論文も、諏訪先生へのレポートに少し手を入れた『盟三五大切』論だった。
とまぁ、感傷はどうでも良い。
鑑賞の話。
基本情報。
新田義貞の霊/直助権兵衛/天川屋義平/暁星五郎実は新田鬼龍丸 市川 右近
佐藤与茂七/義平女房おその 市川 門之助
高師直/按摩宅悦 市川 猿弥
斧定九郎 市川 春猿
猪熊局後に伊右衛門母お熊 市川 寿猿
小汐田又之丞 市川 弘太郎
民谷伊右衛門 市川 段治郎
お岩/小仏小平/一文字屋お軽 市川 笑三郎
塩冶判官/お袖 市川 笑也
大星由良之助 坂東 彌十郎
発端
東海道四谷宿外れの場
序幕
足利館松の間の場
扇ヶ谷塩冶館の場
同 塀外の場
浅草観世音額堂の場
浅草宅悦住居の場
同 裏田圃の場
雑司ヶ谷四谷町伊右衛門浪宅の場
両国橋の場
二幕目
砂村隠亡堀の場
深川三角屋敷の場
大詰
天川屋義平内の場
高家奥庭泉水の場
同 炭部屋の場
東海道明神ヶ嶽山中の場
同 大滝の場
2003年初演時の詳しい粗筋を書いている人がいるので、詳細はそちらを参照のこと。
そこにもあるけれど、元々二日がかりで演じられていた『忠臣蔵』と『四谷怪談』を、『菊宴月白波』を案配しながら昼夜通しの一本にまとめた物を、更に半日分に縮めている作品。今回の実質上演時間は3時間半くらいのもので、この場数なのだから、如何に“ジェットコースター”状態か想像が付くという物。
この作品の見所についても、上記粗筋のあとの説明に在るとおり。
「それぞれの見せ場はわざとカットされていてちょっと寂しく感じ」ると同時に「元の作品の有名な部分があちこちにちりばめられていて楽しめ」る事もある。
その上で、この記事を書いた人のように、初演を観ている人は、右近の成長を楽しんだことだろう。
細かいことを書くと論文のようになってしまうのでやめておくが(実際、大学生レベルだったら作劇法を細かく分析したらいい研究になると思う)、『忠臣蔵』『四谷怪談』を、どう組み替えているのか、『菊宴』をどう絡めるか、ある程度歌舞伎を知っている人は、にやりとする場面や台詞が多いはず。私のレベルでも、「そう来ましたか!」と言うのが結構あった。そして、歌舞伎を良く知らない人にも楽しめる判りやすさをどう担保するかもよく考えられてすぐれた娯楽になっていると思う。
とはいうものの、やっぱり「ちょっと寂しい」のは事実。
結果的に『忠臣蔵』や『四谷怪談』が如何に面白く、深い物だったかを思い知らされる。
ここのところ、早足の芝居や映画を観る機会が続いて、その、スピード感は愉しいのだけれど、“深み”が欲しいなぁ、と思うのも事実。
とかなんとか。
久しぶりに口上のはいる歌舞伎、最後に「本日はこれ切り」がある芝居を観ると、あぁ、これだよなぁ! と思ってしまう。
歌舞伎は大衆娯楽。
歌舞伎座が今月で解体されるというので、鉄道オタクの様にカメラ持った人が沢山。絵を描いている人も数人いた。
寂しくなるなぁ。
これは、
猿之助には「猿翁十種」(昭和39年制定)・「澤瀉十種」(昭和50年制定)、そして「猿之助十八番」(昭和63年制定)という家の芸がありますが、この度自身が創り上げた、[復活通し狂言十八番][猿之助新演出十集][華果十曲][新作・スーパー歌舞伎十番]の計48作品を、「猿之助四十八撰」として新たに制定しました。
と言うのの内、[復活通し狂言十八番]に含まれる。
スーパー歌舞伎『ヤマトタケル』で大ブームになる少し前、『当流小栗判官』が、ポスター共々話題になった頃、私は大学生で、周りに歌舞伎好きがいたので、あれこれ議論があったのを思い出す。大学院に入って諏訪先生の授業で『東海道四谷怪談』を読み、日文協近世部会でもなぜか南北作品を読んでいたし、多分少し前に広末保の新書が出ているはずだ。南北ブームだったんだろう。私自身南北を読むことで鍛えられたのは確かだ。森山重雄先生のことなど、色々思い出すことも多い。私が静岡に来て最初に活字になった論文も、諏訪先生へのレポートに少し手を入れた『盟三五大切』論だった。
とまぁ、感傷はどうでも良い。
鑑賞の話。
基本情報。
新田義貞の霊/直助権兵衛/天川屋義平/暁星五郎実は新田鬼龍丸 市川 右近
佐藤与茂七/義平女房おその 市川 門之助
高師直/按摩宅悦 市川 猿弥
斧定九郎 市川 春猿
猪熊局後に伊右衛門母お熊 市川 寿猿
小汐田又之丞 市川 弘太郎
民谷伊右衛門 市川 段治郎
お岩/小仏小平/一文字屋お軽 市川 笑三郎
塩冶判官/お袖 市川 笑也
大星由良之助 坂東 彌十郎
発端
東海道四谷宿外れの場
序幕
足利館松の間の場
扇ヶ谷塩冶館の場
同 塀外の場
浅草観世音額堂の場
浅草宅悦住居の場
同 裏田圃の場
雑司ヶ谷四谷町伊右衛門浪宅の場
両国橋の場
二幕目
砂村隠亡堀の場
深川三角屋敷の場
大詰
天川屋義平内の場
高家奥庭泉水の場
同 炭部屋の場
東海道明神ヶ嶽山中の場
同 大滝の場
2003年初演時の詳しい粗筋を書いている人がいるので、詳細はそちらを参照のこと。
そこにもあるけれど、元々二日がかりで演じられていた『忠臣蔵』と『四谷怪談』を、『菊宴月白波』を案配しながら昼夜通しの一本にまとめた物を、更に半日分に縮めている作品。今回の実質上演時間は3時間半くらいのもので、この場数なのだから、如何に“ジェットコースター”状態か想像が付くという物。
この作品の見所についても、上記粗筋のあとの説明に在るとおり。
「それぞれの見せ場はわざとカットされていてちょっと寂しく感じ」ると同時に「元の作品の有名な部分があちこちにちりばめられていて楽しめ」る事もある。
その上で、この記事を書いた人のように、初演を観ている人は、右近の成長を楽しんだことだろう。
細かいことを書くと論文のようになってしまうのでやめておくが(実際、大学生レベルだったら作劇法を細かく分析したらいい研究になると思う)、『忠臣蔵』『四谷怪談』を、どう組み替えているのか、『菊宴』をどう絡めるか、ある程度歌舞伎を知っている人は、にやりとする場面や台詞が多いはず。私のレベルでも、「そう来ましたか!」と言うのが結構あった。そして、歌舞伎を良く知らない人にも楽しめる判りやすさをどう担保するかもよく考えられてすぐれた娯楽になっていると思う。
とはいうものの、やっぱり「ちょっと寂しい」のは事実。
結果的に『忠臣蔵』や『四谷怪談』が如何に面白く、深い物だったかを思い知らされる。
ここのところ、早足の芝居や映画を観る機会が続いて、その、スピード感は愉しいのだけれど、“深み”が欲しいなぁ、と思うのも事実。
とかなんとか。
久しぶりに口上のはいる歌舞伎、最後に「本日はこれ切り」がある芝居を観ると、あぁ、これだよなぁ! と思ってしまう。
歌舞伎は大衆娯楽。
歌舞伎座が今月で解体されるというので、鉄道オタクの様にカメラ持った人が沢山。絵を描いている人も数人いた。
寂しくなるなぁ。
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