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ちまちま中間手続9

2024-07-16 21:27:00 | ひとりごと
弁理士近藤充紀のちまちま中間手続9

拒絶理由通知
進歩性
引例6件

審査官の結論としては、「上記公知の技術を組み合わせて、本願請求項1、2に記載の工程 を有する・・・法とすることは、当業者が容易になし得たことであ る。」

進歩性の審査において、各文献の寄せ集れば、・・・容易だ・・との言い渡しは、斬新で、雑だな~などと思いつつ、いずれの文献にもない構成を追加する補正を行うことで対応した。であれば、主文献並立型でも、組み合わせ型にも対応できるであろう、と。

拒絶理由通知では、文献を寄せ集めの論法ではあるけど、こちらとしては、トリッキーな論理には乗らず、引用文献1~6の全部を主文献とする構成とした。かなりの長文。

一部のみ記載すると、・・・

本願請求項1では、単に処理後の・・化合物を集塵器によって捕集した にとどまらず、排ガス中の・・化合物を処理した後に生じる・・酸カルシウ ム等の・・化合物が排ガス温度でも捕集され得ることに着目し 、高温で・・化合物の塩を捕集するようにした。これにより、本願請求項1では、高効率 で排ガス中の・・化合物を除去することができるとともに、高温にて捕集するために、・・化合物が結露等により集塵器等に付着することを防止することができる。このような・・化合物の結露等の課題およびこのような課題を解決するために本願請求項1のような構 成にしたことについては、引用文献2には開示されておらず示唆する記載もない。したが って、本願請求項1のように高温で・・化合物を捕集することは引用文献2から容易に想 到できることではない。

拒絶査定
また、上記集塵器を設けるにあたって、上記集塵器に導入されるガス流 が高温であれば、上記集塵器を耐熱性材料で構成するようにすることは、当業者 が当然に行う設計的事項である。 
 そして、出願人が主張する高温での捕集による効果(・・化合物の結露等によ る集塵器等への付着防止効果)についても、当業者が予測できる範囲内のもので あって、格別なものとは認められない。

こちらが丁寧に反論しているのに、「当業者 が当然に行う設計的事項である」で片付けられてしまった。

心外だな~などと思っていたところ、出願人も同様の気持ちなのか、審判に進んでもらえることになった。

理由では、拒絶理由のときとほぼ同じ内容。

(a)引用文献1には、・・・が開示されている。
 しかし、引用文献1の方法では、・・・ものではない。当然、・・・を用いるものではなく、・・・ようにした本願請求項1とは全く異なっている。
 また、引用文献1で用いている・・・は、・・・であり、「・・・」を除去剤とする本願請求項1とは全く異なっている。
 したがって、本願請求項1と引用文献1とは、・・・するための・・・が全く異なり、しかも、・・・の・・・への作用の仕方が全く異なっている。したがって、引用文献1には、本願請求項1の発明に至る動機づけになるような記載は含まれていない。

(b)引用文献2には、・・・剤を微粉状とし、これを燃焼排ガス中に噴霧する方法が開示されている。引用文献2の方法における、・・・剤を排ガス中に噴霧(吹き込み)している点は、本願請求項1と一致する。
 また、引用文献2では、・・除去剤を噴霧した後に生じる・・化合物をいかに捕集するかに関して全く記載がないが、除去剤を噴霧する方法を提案している以上、生じる微粉状物を捕集するための集塵器等の手段を設けることは当業者であれば容易に想到されることであると考えられる。
 しかしながら、・・・除去剤と比較すると、本願請求項1では、・・・物を用いているのに対して、引用文献2では、・・・物等が用いられており、この点で、引用文献2は本願請求項1と相違している。
 したがって、引用文献2と本願請求項1とでは、・・・除去剤が全く異なっているので、本願出願当時において、・・・除去剤として引用文献2に示されるような酸化物等が知られていたとしても、そのような公知事実に基づいて本願発明の・・除去剤を予想することはできず、引用文献2には、本願請求項1に至る動機づけになるような記載は含まれていない。

(c)引用文献3には、排ガス中に・・・物等の塩を吹き込んで、廃ガス中の・・・化合物と接触させることにより排ガス中の・・またはその化合物をアルカリ土類金属等の・・塩に変換し、この塩を捕集する方法が開示されている。
 しかしながら、・・・除去剤と比較すると、本願請求項1では、アルカリ土類金属または鉄の水酸化物を用いているのに対して、引用文献3では、「一般式MnCO3(式中、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニアまたは鉄であり、・・・)の炭酸化合物および/又はM(HCO3)m(式中、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニア又は鉄であり、・・・)の炭酸水素化合物とイオン交換体とからなるもの」が用いられており、・・除去剤が全く異なっている点で、引用文献3は本願請求項1と相違している。
 したがって、引用文献3と本願請求項1とでは、・・・除去剤が全く異なっているので、本願出願当時において、・・・除去剤として引用文献3に示されるようなものが知られていたとしても、そのような公知事実に基づいて本願発明のような・・・除去剤を予想することはできず、引用文献3には、本願請求項1に至る動機づけになるような記載は含まれていない。

(4)以上の次第で、引用文献1~3には、本願請求項1に至る動機づけになるような記載がないので、本願請求項1は進歩性を具備する。また、請求項1の従属項である請求項2も当然進歩性を具備する。

審決
本願は、平成11年10月18日の出願であって、その請求項1に係る発明は、平成17年8月23日提出の手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものであると認める。
 そして、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

全面的に勝てた。審決文は、簡単なようで、若干の怒気を感じるが、気のせいか。


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