Ali'i Drive Breeze

The Big Island
ハワイ島で体験した思い出を写真とともに綴る旅日記

キラウエア・イキをトレッキング③

2009年03月06日 | ボルケーノ地区


「絶対にルートを外れないでね。岩が崩れるかもしれないから。」
後ろを歩いているはずの妻にそう声をかけたのに、返事がありません。
「ま、まさか?!」

 

        

 

振り向くと、明らかにルートから外れた場所に妻がひとりで立っています!
それも、立っている本人は気づいていないようですが、
こちらから見るとかなりヤバイ場所に・・・!
僕は冷や汗をかきながら、
「ゆっくりでいいから、こっちに来て。」と声をかけました。
「なに?どうかした?」
なんら気にしていない妻は、平然と僕のそばにやって来ます。
「だから、ルートを外れると危ないから・・・。」
危険な場所に立っていたことを僕が説明すると、
「そっかぁ~、どうりで途中から足元が変だなぁって思ったんだよね。」
と妻はあっけらかん。
しかも、「あっ、水分補給しなきゃ。」
そう言って、妻はリュックから取り出したペットボトルの水をゴクゴクと飲み、
僕にも飲むよう手渡すと、さっさと先へ進むのでした。



ところで、キラウエア・イキは
1959年11月に噴火した時、
最高で570メートルの高さに達し、
1時間に200万トンの溶岩を吐き出したそうです。
わずか50年前熱く燃え滾る溶岩湖だった場所を、
こうして歩けるのだから、ほんとうに驚きです。

 



しかも、あちらこちらから水蒸気が立ち上っているのは、
まだ火山が活動している証拠。
調査によれば、表面から溶岩までわずか1600メートルだとか。



そして、歩いていて目に付くのは、やはりオヒアの木
溶岩が冷え固まった大地の隙間から、最初に生えてくる木です。
もちろん、赤いレフアの花が咲いています。

           

それにしても、火口の中をトレッキングできること自体、非常に珍しいこと。
その意味でも、ここハワイ島は魅惑の島なのだと思えます。
貴重な経験だということを実感しながら、火口の中を歩いていきます。



お昼に近づくにつれ雲が多くなってきたので、少し先を急ぐことにしました。
クレーターを渡りきる頃になると、
アメリカ人のカップルや小さな子供を連れた家族が、
ぞくぞくと火口へと下りてきました。

 



どうやら、僕たちが辿ったコースの逆、つまり時計回りにトレッキングする人のほうが多いようです。
ラバ・チューブ駐車場へと続く火口の斜面を登り始めるころには、
さらに多くのアメリカ人たちが降りてきました。
坂道は道幅がないので、譲り合いながらすれ違います。

2時間近く歩き通しだったので、さすがに小休止。
坂の途中にあるベンチで僕と妻が休んでいると、
さっきすれ違ったばかりのアメリカ人女性が坂道を駆け足で上ってきて、
僕たちの前で立ち止まりました

彼女は、ブロンドの髪をポニーテールにしてキャップを被り、
タンクトップにランニング・パンツ、スニーカーというジョギング姿。
しかも、すっきりとした顔立ちに、スレンダーながらメリハリのあるBODY。

軽く息を弾ませている彼女に、僕は驚きながら声を掛けました。
「もう、下まで行って来たの?」
すると、
「違うの。彼が無理そうだから諦めて引き返すの。」
そう言って振り返える彼女の視線の先には、
坂道を懸命に登ってくるメタボリックな彼氏の姿が!

「彼に運動させようと思って連れて来たんだけど、無理だったみたい。」と、
期待に応えられなかった彼にガッカリといった様子の彼女。
一方、やっとの思いで登ってきた彼氏を見れば、
Tシャツは汗でぐっしょり、両膝に手をついて肩で息をしています。

僕が若干の同情とともに、
“Are you O.K.?”と訊ねると、
“Yeah, Yeah・・・”と、息も絶え絶えの返事。
それでも人の良さそうな笑顔で、 
「君たちは火口を歩いたのか?」と僕に訊きます。
「もちろん、歩いてきたよ。」
「どんな感じだった?」
「とっても素晴らしかったし、驚きの景色だったよ。」
と、答えると、
「やっぱりそうか・・・歩きたかったなぁ。」と、彼。
でも、心底残念に思っていないのは、流れ落ちる汗の量を見ても明らか。

「さぁ、急いで戻るわよ。」
まだ息も整わない彼氏にそう言い残して、
彼女は軽やかな足取りでさっさと坂道を駆け上っていきます。
そのうしろ姿を見送った後、残された彼氏と僕の目が合いました。
『な、わかるだろ?』
『うん、うん。よ~く、わかりますよ。』
と、無言の会話。
“See you .”
仕方なくまた坂道を上り始めた彼の背中に、
“Have a nice day !” と僕。

妻は、彼らを見送った後、
「どうして、彼女はキレイなのに、彼氏はあんななの?」と、
不釣合いなカップルに納得がいかないようでした。

        

午前11時30分。
火口壁を登りきった僕たちは、車を停めたラバ・チューブ駐車場に到着。
感動のトレッキングでした。
さすがに汗をかき、山の空気に触れて体が冷えていくのを感じたので、
急いでロッジに戻ることにしました。

ちなみに、キラウエアは午後になって霧雨となり、
キラウエア・ロッジのウェイトレスの予報は、
見事に当たっていたのでした。

Mahalo !



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。