京都の闇に魅せられて(新館)

2017年千本釈迦堂の桜とおかめ @ 京都妖怪探訪(482)





 どうも、こんにちは。
 リアルでは、そろそろ桜の見頃は過ぎているようですが、今年の霊場魔所の桜シリーズの第7弾を。
 今回は、おかめ伝説の遺る、おかめ発祥の地とも言われる“千本釈迦堂”大報恩寺の桜の光景をお届けします。


 最寄りの交通機関は京都市営バス「上七軒」停留所「千本今出川」停留所
 写真は千本今出川の交差点に咲いていた桜です。






 両バス停から歩いてすぐの場所にある入り口です。






 入り口の桜も満開でした。












 本堂の前に立つ、有名なおかめ桜。
 こちらは盛りをやや過ぎていたようですが。


















 境内の一角にあるおかめ像。





 「おかめ」。
 「おたふく」とも呼ばれ、古くからある日本の面の一種。
 正月の遊び「福わらい」などで親しんだ人も多いでしょう。
 魔除けになるとも信じられ、昔の美人を指すとも、不美人を指すとも言われている、日本人にはお馴染みの面の一種。
 過去記事のおさらになりますが、その由来とされる話がここ千本釈迦堂に伝わっていますので、紹介します。

 鎌倉時代、京都の西洞院一条の辺りに、長い飛田守高次という大工の棟梁と、その妻・阿亀(おかめ)が住んでいました。
 藤原秀衡の孫でもある義空上人が千本釈迦堂を建立し、本堂建立の棟梁に高次が選ばれます。
 しかしここで高次は、信徒が寄進した4本の天柱のうち一本を短く切りすぎてしまうという失敗を犯してしまいます。
 思い悩み続ける夫を見かねた妻・阿亀は、古い記録から「(短く切りすぎてしまった部分に)枡組を用いたらどうか」と提案します。
 これが成功し、見事な本堂の骨組みが出来上がりました。
 しかし阿亀本人は、夫が「女の知恵で成功した」という評価が世間に広まるのを恐れて、本堂上棟式を待たずして自ら生命を断ちました。
(「こういう理由で自殺しなければならないのか?」と、私は疑問に思ったのですが……。当時の感覚というのが、私にはよくわかりません……)
 高次は、上棟式の時に亡き妻の面を御幣につけて飾り、その冥福と本堂の無事完成を祈ったとされます。
 またこの話を聞いた人々は、阿亀の菩提を弔うために、境内に宝篋印塔を建て、それが「おかめ塚」と呼ばれるようになりました。
 またこの話から、「建築工事成就」や「工事安全」、「商売繁盛」、「家内安全・繁栄」、「女性の厄難除け」などを祈る福徳信仰として「おかめ信仰」が広まりました。

 以上が、おかめ伝説のおおまかな内容です。


 せっかくですから、本堂や宝物館にも寄っていきます。
 宝物館内の仏像などの貴重な宝物は撮影が禁止されていますので、ここではその姿をお届けすることは出来ませんが、本堂内の様子なら。
 鎌倉時代初期の承久3年(1221年)求法上人義空によって創建され、京都の街を焼け野原にしたという応仁の乱でも焼け残り、洛中最古の建物とも言われています。
 本堂内には、現在でも当時の刀や槍によるものと思われる傷痕が残っています。






 もうひとつ、ここで面白いのは。
 本堂奥には、全国各地から集められたというおかめの面や像が並んでいます。
 これも久しぶりですが、観ていきます。









 不気味な……というか、かなり迫力あるおかめさんも。






 これは珍しい、おかめ人魚。






 うわっ。
 これは何ともエロいおかめさん。





 他にもいろいろなおかめさんが。


 悲劇的な最期を遂げた女性が、伝説となり、そして神様となった。
 そう思うと、感慨深いものがあります。

 ただ来年訪れる時は、盛りのおかめ桜を拝みたいものです。






 今回はここまで。
 また次回。




*千本釈迦堂へのアクセス・周辺地図はこちら




*千本釈迦堂のHP
http://www.daihoonji.com/




*『京都妖怪探訪』シリーズまとめページ
http://moon.ap.teacup.com/komichi/html/kyoutoyokai.htm




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