京都の闇に魅せられて(新館)

2022年「考古資料とマンガで見る呪術‐魔界都市京都‐展」・中編 @ 京都妖怪探訪(794)

 

 

(記事中の写真はクリックで拡大します。プライバシー保護等の為、人の顔部分に修正を加えていることがあります)

 

 

 どうも、こんにちは。

 この夏に京都市内で、京都考古学資料館京都国際マンガミュージアムと合同で開催されました、呪術関係の特別展示『考古資料とマンガで見る呪術‐魔界都市京都‐展』に行ってきました。

 シリーズ前回では、京都国際マンガミュージアムでの展示についてレポートしましたが、今回はもう一方の会場である京都考古学資料館を訪れます。

 

 

 まずは交通アクセスから。

 最寄りの交通機関には京都市営バス「今出川大宮」停留所があります。

 

 

 

 

 この停留所から降りてすぐの場所に京都考古学資料館の入り口はあります。

 

 

 

 

 

 その日は、館長・山本雅和氏による解説に参加しましたので、展示されていた呪物について、詳細な解説と講義を聴くことができました。

 講義によれば、まず「呪術とは何か」という話ですが、「超自然的な力に願いを込めてはたらきかけるもの」です。

 そのほとんどは福を願ったり、厄を除けたり払ったりするものです。

 現在では「呪術」と言うと、誰かを呪うものだというイメージが広まっているようですが、そういうものは全体の中のごく一部であるそうです。

 また、マンガミュージアムとのコラボイベントということもあって、考古学で推測される呪術と、マンガやアニメなどで画かれる呪術についての講義も。

 

 

 

 基礎知識についての講義の後は、まずは2階の一般展示から案内していただきます。

 

 

 

 

 

 結構、いろいろなものがあります。

 

 

 

 そして1階の特別展示、今回イベントの発掘呪物を観て回ります。

 

 

 

 入り口付近に立つ、今回イベントでも活躍のマンガミュージアムのPRキャラクター・烏丸ミユと、オリジナルマスコットキャラ・マミューのパネルも。

 

 

 

 シリーズ前回、マンガミュージアムでも展示されていた「墨書人面土器(ぼくしょじんめんどき)」。

 

 

 

 

 

 マンガミュージアムでは、ひとつだけしか展示していませんが、ここではたくさん、それこそ多種多様な個性的な顔が並んでいて面白いです。

 あっ、そう言えば・・・。

 シリーズ前回でこの呪物を紹介したのに、うっかり紹介文を書くのをド忘れしていたので、ここで簡単に解説を。

 この土器は、長岡京の遺跡の南東隅付近、川が流れていた跡から大量に発掘されたそうです。

 描かれたいかめしい顔は疫病神とも考えられ、この土器に息を吹きかけ、穢れを移して川に流した・・・つまり、現在の紙の人形代みたいに使用されていたそうです。

 土器の顔の中には、天然痘の症状を現す痘痕(あばた)が描かれたものもあり、その時流行した病が天然痘だったことも示唆しているようです。

 790年頃、当時の長岡京では疫病が流行し、疫病除けの為に作成・使用されたものだと考えられています。790年頃の長岡京といえば、早良親王の怨霊が天才や疫病などの災厄をもたらしたと恐れられていたところです。(※早良親王の怨霊について詳細は、シリーズ第236回大552回題53回を参照)

 この墨書人面土器も、早良親王の怨霊を、或いはそれがもたらしたとされる災厄を鎮めようとして使われた呪物ということになりますが、しかしそれでも、あまりにも強大すぎる早良親王の怨念を防ぎきることはできなかったようです。結局、放棄された都と、役割を終えた呪物だけが遺され、千数百年もの間埋もれ続けることになった。

 そう考えたら何とも言えないものがあります。

 

 

 

 土馬(どば)。

 

 

 

 文字通り馬の形をした土器。

 疫病神は馬に乗って移動すると考えられていたらしく、この土馬には、「疫病神にこの馬に乗って去ってもらう」という意味があったと考えられています。

 また、土馬には脚の部分が折られているものもあったので、疫病神の移動を止めるという意味もあったのでは、とも考えられています。

 

 

 

 多種多様な人形代(ひとかたしろ)と斎串(いぐし)。

 

 

 

 

 シリーズ前回で、マンガミュージアムでも展示されていました、この2種の発掘呪物。

前者は、現在の紙の人形代の原型となったと思われる木製板状の形代で、息を吹きかけて穢れを移して、河川などに流して使うというもの。

後者の斎串は、現在の玉串につながるものだと考えられています。

 

 仏様や、髪を団子状に結んだ平安前期頃の女性など、様々な人形代や。

 

 

 

 刀の形をした形代とか。

 

 

 

 鳥の形をした形代とか。

 

 

 

 いわゆる陽物の形をしたものも。

 

 

 

 こちらも実に多種多様なものがあって面白いですね。

 ところで、こちらの大きな木製板状の人形代。

 

 

 

 確かこれ、私の聞き違いや記憶違いでなければ、髪を団子状に結んだ平安前期頃の女性の姿をかたどったものだそうですが・・・鳥山明の人気漫画アニメ『Dr.スランプ』に登場する悪役キャラ・Dr.マシリトに似ているなどと思うのは、私だけでしょうか?

 

 

 記事が結構な長さになりましたので、今回はここで一旦斬ります。

 この他にも、面白い発掘呪物がたくさんありましたので、シリーズ次回も続けて、その一部だけでも紹介したいと思います。

 なおこの展示イベント、京都国際マンガミュージアムでは今年(2022年)9月5日まで、京都考古学資料館では、今年(2022年)11月20日まで開催されています。

 

 

 

 今回はここまで。

 また次回。

 

 

 

 

 

*京都市考古学資料館へのアクセス及び周辺地図はこちら

 

 

*京都市考古資料館のHP

https://www.kyoto-arc.or.jp/museum/

 

 

 

 

*京都国際マンガミュージアムへのアクセス及び周辺地図はこちら

 

 

*京都国際マンガミュージアムのHP

https://kyotomm.jp/

 

 

 

 

*『京都妖怪探訪』シリーズ

https://kyotoyokai.jp/

 

 

 

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