どうも、こんにちは。
「呪物」。
わかりやすく言えば「呪われた物品」。
広義では、呪力や魔力など超自然的な力が宿り、人や社会に守護や御利益、もしくは呪詛や災いをもたらあす信じられている物品。
有名な呪物コレクターとして有名な田中俊行氏らが、何百もあるというコレクションの中から選ばれたおよそ50点もの呪物を公開・展示するというイベント、「祝祭の呪物展」。
シリーズ前々回にシリーズ前回引き続き今回も、この呪物展のレポートです。
(※なお、今年の「祝祭の呪物展3」は大阪会場での開催分は5月26日で終了し、7月13日から8月3日までの間は、東京タワーの会場で開催されます)
今回は、今年の呪物展で展示されていた呪物や呪具の中でも特に「ヤバいもの」を幾つか紹介します。
ヤバいものとは。
呪われた物品、それだけでも十分に「ヤバい」と言えるのですが、その中には実際に生け贄などの儀式に使用されていたりとか。
人の遺体の一部を使用したり等、材料や製法が現代の人倫に反しそうなものだったりだとか。
そうした「ヤバいもの」を紹介していきます。
もしかしたら、【閲覧注意】という注意書きが必要になるかも・・・。
まずはこちらの「ヨルバのエグングン像」を。
ナイジェリアのヨルバ族は、「エグングン」とは、ナイジェリアのヨルバ族が崇める、死者の魂がなる精霊のことで、シャーマンに憑依して、人々に様々な助言を与えるとされています。
この像は実際に生け贄を捧げてエグングンを呼び出す儀式に使用されたものだそうです。
この像の、この穴の部分に酒や薬草を捧げるそうですが。
この穴の周辺をよく見ますと・・・。
穴の周辺に鳥の羽のようなものが付いています。
この時在廊されていたアシタノシカク名誉顧問のApus Shusei氏のお話によりますと、これは生け贄として捧げられた鶏の羽だそうです。
もうひとつ、ブゥードゥー教の神像。
西アフリカ、トーゴで発見された神像であり、たばこ好きの神様の像。
大きく開かれた口にたばこをくわえさせて、頭の上の穴から呪術薬を入れて使うそうですが、この像にもよく見ると、鳥の羽のような付着しています。
やはりApus Shusei氏のお話によりますと、これも儀式の時に生け贄として捧げられた鶏の羽だそうです。
このように実際に生け贄の儀式に使用されたものには、その痕跡として鶏の羽が付着しており、呪物のマーケットでもより価値があるものとして取引されるそうです。
ただし中には、それを逆手にとって、鳥の羽を付けてそれらしく見せた「偽物」もあるという話です。
ここまでなら、生け贄が捧げられてはいても、それが人間ではない分だけ、まだマシとも言えるのですが・・・。
次から紹介するものは、そんな生易しいものではない。
人間の遺体の一部が材料として使用されるなど、本当に「ヤバいもの」です。
「マフィアの骨」。
これはその名の通り、「マフィアの骨」です。
呪術大国タイでは、「無念の、非業の死を遂げた者には、負の力はあるが、強力な呪力を秘めている」と考えられ、そのような死者の遺体から造られる呪具や呪物などもあるそうです。
また、シリーズ前回でも少し触れましたように、「遺体を呪物化することによって、持ち主に守護や幸福をもたらすことによって徳を積ませて、本来ならば地獄行きになる魂が天国へと導かれるようにする」という考え方もあるそうです。
その為、マフィアなど反社や犯罪者の遺体は、呪術や呪物の世界では重宝されるそうです。何しろそういう人は、生前に悪事を重ねて、大抵はろくな死に方をしませんから、呪具や呪物の素材とするには最適ということでしょうね。
しかもこの骨には、呪術師によって、別の怨霊も封じられているとか。
呪具、呪物としては強力なのかもしれませんが、これはちょっと。そんなことして本当に大丈夫なのか、とか心配になります(汗)。
「カパーラ」。
「カパーラ」とは、死者の頭蓋骨から造られた杯です。
やはり「非業の死を遂げた死者の遺体には強力な呪力が宿る」と考えられているからでしょう。
なお、ここに描かれているのは、この頭蓋の主の生前の顔だそうです。
この方は、どんな無念の、非業の死を遂げられたのだろうか、と思います。
「ナムマンプラーイ」。
人の遺体を火葬する時に滴り落ちる油を集めたもの。
これには恋愛成就や、仕事や富が手に入るなどのご利益があるそうですが・・・これも、現代の人倫や法律に反するおそれがあると思うのですが。
こんなヤバいもの、どうやって造られたり、取引きされたりするのだろうか?
うーん。
「人皮面」。
これは見た目にも、強烈なインパクトのある面ですが。
本当に人の皮で造られたものだそうです。
アユタヤ時代のタイでは、舞踏家など芸術分野で活躍した人が亡くなった時に、顔の皮を剥いで面にして祀るという信仰があったそうです。
祀る者には、偉大な師の技術が継承され、活躍が出来るそうですが。
うーん、それでも「怖い」とか「気持ち悪い」というのを否定できません。
ただでさえ強いインパクトがある面が、その話を聴いてからはさらに強烈なインパクトを持っているように見えてきます。
もうここまでで、「もういい」だとか「もうお腹いっぱい」だとか言う人もおられるかもしれませんが。
最後に最もヤバい、材料や製法がえげつないと思ったものを紹介します。
それが、こちらです。
これは「トゥピラク」。
グリーンランドの先住民族イヌイットの祈祷師が造りだしたという、同名の半獣半人の悪霊の像です。
現在では、この「トゥピラク」の多くは、石やクジラの骨、イッカクの牙、カリブーの角などを彫って造られたものだそうです。
ここに展示してあったものも、おそらくそのうちのひとつでしょう。
しかし・・・以下もやはりApus shusei氏から聴いたお話ですが。
古い時代の「トゥピラク」には、動物の部位(骨、毛、皮膚、すじなど)で造られたものもあり・・・キリスト教が伝わる前のさらに古い時代に造られたものの中には。何と、女の嬰児の目玉などで造られていたようなものもあったとか。
ここまで、人間の遺体の一部を素材や材料にして造られた呪具や呪物を紹介しましたが、これが一番ヤバいし、えげつないと思いましたね。
いやはや、よくぞこんなヤバいものを幾つも収集されたものだと改めて驚きです。
こんな危険性とか背徳性なども内包したものもまた、呪われた品物、「呪物」なんでしょうね。
他にも印象的な、興味深い呪物もたくさんありましたが、それでは紙幅がどれだけあっても足りなさそうなので、ここまでとします。
3年目の呪物展も、非常に面白く、興味深いものでした。
また来年も楽しみです。
今回はここまで。
また次回。
*「祝祭の呪物展3」のHP
https://astnhorror.official.ec/blog/2024/04/07/142758
*アシタノホラーのHP
https://astnhorror.official.ec/
*『京都妖怪探訪』シリーズ