備後国分寺の風景

とき折々の風情を見せるお寺の風景、そして行事の様子をお知らせします

鐘楼堂再建落慶法要

2009-10-24 18:51:53 | Weblog
近郷でもまれに見る重厚な國分寺の鐘楼堂は、境内の建物の中で最も古く、いくつも瓦が落ちるなど老朽化しておりました。が、かなり東南に捻れ傾きだしたのはこの三、四年のことでしょうか。次回お涅槃の平成二十四年にはまだ間があるものの、強い風が吹き新築したばかりの塀に瓦解しては大変なことになると考え、この四月中旬に解体しました。

解体された鐘楼堂は、戦時中に供出した梵鐘を昭和二十四年に再鋳した際に屋根瓦を葺き替えておりましたが、解体時に確認したところ、棟札には「明治十三年三月十八日 奉再建梵鐘堂一宇為二世大願成就祈 大願主当寺阿闍梨良俊、総檀家中」と記されていました。ですから、建物としては百三十年もの風雪に耐え、妙音奏でる梵鐘を支え続けてくれていたのでした。

解体後、用材の手当、加工に四ヶ月ほどを費やし、盆行事万灯会を済まして間もなくの八月二十六日に慌ただしく上棟式を執行。当日は朝八時頃から工事を担当した武村住建関係一同により柱が立てられ作業を開始、予定通り午後四時頃には棟上げが終了。午後五時から棟梁はじめ工事関係者七名と五名の総代各氏参列のもと上棟式を執り行いました。名誉住職とともに仏式の上棟式作法を修し、棟梁が御幣と棟札を棟木に打ち付け四方に御神酒と米、塩を撒いて、簡単な祝いを致しました。早速翌日から、上部の木組から工事に入り、そして瓦が載り、目出度く落成の運びとなりました。

当初、落慶法要は、これまでの例に則り世話方までの案内と考えておりましたが、百年に一度の鐘楼堂落慶祝賀とのことから、全檀家の皆様へ案内をさせていただいた次第であります。

ご案内の通り、鐘楼堂再建落成慶讃法要は、十月二十日火曜日午前十時より五十名もの檀信徒のご参加を得て、國分寺鐘楼堂前にて挙行。はじめに、國分寺御詠歌衆によるご詠歌の奉納があり、続いて、國分寺名誉住職、法類・円照寺副住職を職衆に迎え、本尊薬師如来報恩謝徳の慶讃法要を厳修。この間出席の皆様には焼香をしていただき、般若心経並びに諸真言を一同唱和して法要が終了しました。

住職、総代から挨拶の後、この度の鐘楼堂再建に当たり、設計から施工すべてに亘って尽力され忠実に旧鐘楼堂そのままに復元された武村住建棟梁武村俊治氏に感謝状と記念品が檀信徒一同から授与されました。引き続き、名誉住職による新鐘楼堂からの梵鐘撞き初めがあり、一同乾杯。出席者全員で記念写真を撮り、一人一人鐘を撞いて散会いたしました。

この度の再建事業は、平成二十四年度涅槃会営繕事業の一貫として建設させていただきました。一度の涅槃会寄附積み立てでは不可能な再建予算ではありましたが、長年の御寄附並びに供養料等の積み立てをもって充当することと致しました。これもひとえに檀信徒の皆様の本尊薬師如来様並びに仏教への厚い信心のお陰と深く感謝申し上げます。

梵鐘は、「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり」と言いますように、その音色にはこの世の真理・無常を悟らせる力があり、聞く人にはそのまま仏法そのもの、つまり仏の言葉そのものとしてありがたき妙音となり、ご加護あるものと信じられています。どうぞ、國分寺にお越しの際には新しき鐘楼堂の鐘を撞いてお詣りし、是非ご加護をお受け下さい。    合掌

 平成二十一年十月二十二日   住職全雄  総代一同

(慶讃法要の様子)


(慶讃法要にて慶讃文を奉読)


(檀信徒の焼香)


(法要後の記念撮影)