備後国分寺の風景

とき折々の風情を見せるお寺の風景、そして行事の様子をお知らせします

祝・行基菩薩立像開眼

2010-05-05 12:24:30 | Weblog
奈良時代の高僧にして社会事業家でもあり、また当時の国と日本仏教界をあげて建立せんとされた東大寺大仏の勧進職として活躍し、また全国國分寺の創建にも関わられた行基菩薩の立像造立を、平成20年4月に発願しました。その浄財を檀信徒の皆様からの写経奉納に求めましたところ、お陰様で、二年ほどの間に予定額を大幅に上回り沢山の写経が奉納されました。行基菩薩報恩謝徳の為とした『般若心経』の写経は、237人の功徳主より、そしてその巻数は丁度600巻を数え、その他金一封の奉納も沢山いただきました。ここに、その浄行に深く感謝し御礼を申し上げます。

なお、奉納された写経は、奉納者のご芳名簿と共にすべて軽金属製の箱に収め、菩薩立像の台石下に埋経させていただきました。埋経とは、その昔、寛弘4年(1007)藤原道長が弥勒下生の地と言われた金峯山に、法華経、弥勒経、阿弥陀経、心経を埋経したことが江戸時代に経塚が発見され明らかになっています。

これを先駆として、その時代から埋経と経塚の流行が起こるのですが、これは56億7千万年後に下生すると言われた弥勒仏の法座に立ち会い、またその時に埋経した経巻が自然に湧出すると信じられたからでありました。その場合の埋経された経巻は「法身之舎利」と言われ、まさに仏の悟りの心をそのままに生き写したものと信じる信仰に基づいていました。

ここに皆様からお預かりした写経も、尊い信仰心の現れとして、後世の法座に立ち会う信者の為に湧き出ることを願い、そしてその功徳が皆様に廻らされることを祈願し、なされたものであります。台座南面には、「奉埋経心経六百巻 奉為行基菩薩報恩謝徳 功徳主國分寺檀信徒二百三十七名 平成二十二年四月吉日」と刻まれました。

そして、ご案内の通り、4月4日午前10時半より、50名を超える檀信徒の皆様が参列される中、開眼法会を挙行いたしました。開眼作法の後、理趣経の読誦に続き、心経三巻を大衆唱和、下記の通り願文を読誦して、「家内安全・家運長久・福寿増長・智慧如海」を御祈願しました。



『行基菩薩像造立開眼法会慶讃祈願の文』
「夫れおもんみるに、経典を読み正法を観ずれば即ち自他の仏性を開発し、仏像を造り宝塔を建つれば忽ちに仏菩薩の福徳を荘厳す。凡夫是を学んで安心を得、衆生是を仰いで淨信を増す。かるが故に、福徳を得んと欲すれば、仏像を造り供養するをもって要となす。三世の諸仏十方の薩埵みなこの福智を営んで仏果を円満すと。
今茲に、機縁熟して、行基菩薩の尊像を造立、安置し奉る。行基菩薩と言っ者、大和薬師寺の僧にして、瑜伽唯識論を覚りて、都井を周遊し衆生を教化。諸々の要害に橋を造り堤を築く。聖武皇帝甚だ敬重し給い、東大寺建立の勧進職に任命し、詔して大僧正の位を授け給う。霊異神験類に触れて多し。時の人名付けて行基菩薩という。留まるところ皆道場を建つ。畿内に凡そ四拾九処。殊には、諸国國分寺創建にも努めたりと。夫れ我が備後国國分寺にも巡錫の由あり、福山城主伽藍造営の折行基菩薩像を安置し給えり。
よって今新たに菩薩立像を造立し、國分寺檀信徒二百三十七人六百巻の心経写経を埋経して報恩謝徳の真を捧げ、開眼供養の法席を敷く、請い願わくば、法会功徳主國分寺檀信徒写経奉納の善男善女、家内安全家運長久福壽増長智慧如海ならんことを。乃至法界平等利益
干時平成弐拾弐年四月四日 唐尾山國分寺中興第十四世全雄敬白」

なお、記念の品として、この開眼供養の際に御祈願した『行基菩薩御祈願寶牘』を用意させていただきました。開眼供養の後、近隣の方々には配布授与させていただきましたが、遠方の方など、まだお受け取りでない方には後日ご送付いたしますが、御一報下されば発送させていただきますので、ご連絡下さい。何卒宜しくお願い申し上げます。


『南無行基菩薩』


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