
反対に集合性の種は同種の個体が集まって社会を作っています。このシリーズでは集合性の例をまず挙げます。最初の写真はキバラヘリカメムシの集団です。本種は秋から晩秋にかけて九重自然史研究所の庭のニシキギ(ニシキギ科)の葉上で集団をつくります。この虫はその時期に熟すニシキギの実を吸いに来ます。葉は無数にあるので1個体が1枚ずつ占拠しても余るはずなのに、必ず数頭から10頭ほどの群れを作ります。写真をよく見ると、齢の違う個体が混じっています。成虫も混じっていますがこれは親ではなく、新たに羽化した新成虫です。この成虫は間もなく越冬態勢に入り、来春になってから交尾し産卵します。多分、夏に新世代が羽化し、それが秋の幼虫の親になるのだろうと思いますが、私は秋になるまで本種の成虫も幼虫も見たことがありません。
ニシキギの葉上の幼虫は終齢から3齢の幼虫が混じっているので、この集団は血縁集団ではなく、この木に産卵した複数の雌に由来する集団です。私は日向ぼっこ集団と呼んでいますが、幼虫は黄色の警告色を持っており、集団を作れば目立ちます。九重自然史研究所の庭には多くの鳥が来ますが、悪臭を放つこの集団を捕食するものはいません。
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