公民・歴史教科書問題を中心に教育問題を考えていくブログ

恐るべき公民教育の問題を中心に扱っています。かなりの割合で小山常実氏のブログ(特に教科書資料)や著書を参考にしています。

【家族が消えていく】家族がどんどんなくなっていく公民教科書たち

2024-08-02 13:03:46 | 恐るべき公民教育

平成24年(2012年)度から使用される公民教科書以降、多数派教科書で家族が消えました。その後、令和3年度使用版からは、帝国書院からも家族が消えました。遅くなりましたが、現在採択中の令和7年度使用版について見ていきたいと思います。

ちなみに、今後記事にしたいと思っていますが、次回版の家庭科の教科書もかなり悲惨なことになっています。学習指導要領には「家族・家庭の基本的な機能」に触れよと書かれているので、全社が形だけは触れていますが、単元扱いするものはついに1社となりました。

残りの2社は「私たちと家族の関わり」のような単元の側注で簡単に「家族は、衣食住の提供、子どもを育てる、心の安らぎ、お金を稼ぐ、生活文化の継承の機能があります。」とするだけです。

単元扱いする1社にしても、各機能の説明は全く行わず、事実上、本文で記しているか、側注で記しているかという違いしかありません。令和3年度使用版でも、ガイダンス(導入編)で家族の機能をさらっと掲げるものがあったんですけどね...

それは良いとして、公民教科書の話に戻ります。

分析項目

①分量

②家族の定義

③「いこいの場」「人間形成の場」「家族の絆を深める場」などの家族の機能を書いているか

④親は子どもを養ったり教育したりする権利や義務があると書いているか

⑤親が子どもを「指導」(古い言い方では懲戒)する権利があると書いているか

⑥家族の形態の変化について記しているか

⑦家族が社会集団の中で唯一世代的な「縦のつながり」を有していることを書いているか

⑧家族にまつわる法制度について書いているか

●東京書籍...単語だけ(採択率1位なのに...)

記述内容「私たちは、さまざまな社会集団の中で生活しています。そのうち、生まれて最初に加わる、最も身近なものが家族です。さらに、私たちは地域社会や学校にも所属しています...こうしたことから人間は社会的存在といわれています。」

①分量...ないに等しい(1行未満)

②「最も身近なもの」程度...共同体どころか、基礎的な社会集団ともしない。

③④⑤⑥⑦⑧一切なし

●教育出版...単語だけ

記述内容「私たちは、家族、地域社会、学校、国家などさまざまな社会集団の中で暮らしています。そのうち、生まれて最初に出会うのは、家族です。地域社会や学校などは...」

①分量....ないに等しい(1行未満)

②「最初に出会う」?

③④⑤⑥⑦⑧一切なし

●育鵬社...採択率はない等しい

記述内容「家族は、社会的存在としての人間が協力して生きる上で最も身近で基礎的な社会集団です。私たちは、まず家族の中で育てられ、人格をはぐくみ、慣習や文化を受け継ぎ、社会で生きるためのルールやマナーを身につけます。」

①分量...一応、1単元2ページ。しかし、実質説明部分は4・5行程度。

②「最も身近で基礎的な社会集団」

③簡単に、人間形成の場、文化継承の場が書かれるだけ。「家族の中で育てられ、人格をはぐくみ、慣習や文化を受け継ぎ、社会で生きるためのルールやマナーを身につける」程度。しかしこれでもかなり優秀な方

④⑤一切なし

⑥妙に熱心...こんなことよりも、もっと本質的な説明をするべき

⑦⑧一切なし

●帝国書院...日本文教出版と同じくらい

記述内容「私たちにとって家族とは、最も基礎的な社会集団です。家族という集団は、個人が社会の一員として成長していくために大きな役割を果たしています。地域社会は、防災...などで住民の暮らしを支えています。」※この前に社会集団の一例で家族出てくる。そこで先に社会的存在を書くという稀有な構成。

①分量...多く見て3行程度

②「最も基礎的な社会集団」

③「個人が社会の一員として成長していくために大きな役割」...抽象的すぎて、これでは全く説明になっていない。

④⑤...一切ないが、強いて言うなら欄外の「国民生活に関する世論調査」の所で「子どもを生み、育てる場(27.1%)」と「子どもをしつける場(15.1%)」が出てくる。ただし、複数回答なので「家族団らんの場(64.2%)」などに比べ、説得力に欠ける。

⑤⑥⑦⑧一切なし

●自由社...現行教科書では最も充実。しかし採択率は驚異の0.001%(最下位)

記述内容「家族は、社会集団のなかで最も小さな単位の共同社会であり、家族の一人ひとりはまず何よりも、たがいに信じ合い、愛し合い、助け合い、教え合い、研鑽し合い、励まし合うことにより、家族の絆を強くしていきます。また家族は休息や心のやすらぎを得る場であり、家族のだんらんは大切です。親は、子供に言葉を身につけさせ、人格をはぐくんでいきます。

家族の生活の基本は、家計の維持や育児・家事です。家族の一人ひとりは、それぞれの役割を果たし、個人と社会とを結びつけることによって、家族を安定した社会や国家を築くための基礎とします。」

①分量...4ページ。しかし自由社にしても、本質的な説明部分は2ページほどしかないし、そもそも絶対量が足りない。

②「最も小さな単位の共同社会

③簡単に、休息や安らぎを得る場、人格形成の場、家事・育児など生活の場、文化継承の場、家族の絆を深める場などが出てくる。特に人格形成の場と家族の絆を深める場に重点を置いている。一応、家族の機能は全て紹介している。

④「民法は、親が未成年の子どもを監護し、教育する権限(親権)をもち、その義務を負うことを定めています(民法第 820 条)。監護とは子どもの身体を監督・保護することであり、教育とは子どもの人格の完成をはかることです。」

⑤明言していたものが、検定で「親権者は、社会的に許容される正当なしつけを監護及び教育として行うことができます」に変えさせられる。しかも、しつけの例として叱ることすら書けなかった。

⑥簡単に、戦前から現代にかけて書かれている。

⑦「現在の自分と友人や隣人との関係は『横のつながり』ととらえられます。これに対して、家族は、祖父母から父母、そして自分へとつながり、未来の自分の子供へと続く『縦のつながり』ととらえられます。」として、縦のつながり出てくる。

⑧親が子どもを監護し教育する権利や義務とその具体例が少し出てくる程度。しかし家族の相互援助義務などは平成28年版の帝国書院ですら書いていたものである。あとは、最近の教科書、それも保守系にしてはめずらしく日本国憲法を引用し、家族生活の基本に「個人の尊厳と両性の本質的平等」があることを書いている。

自由社は、家族に関する説明が最も充実していることを売りにしているし、現行教科書の中での比較ならたしかにそうだが、昭和20~40年代、いや家族に関する記述が急減し始めた昭和50年代初頭の教科書と比較しても明らかに少ない。

家族の基本的機能に最低でも4ページは当てて、その後、民法や家族制度の説明・家族の変化などを記した上で、昭和50年度版清水書院のような「明るい家庭をめざして」的な単元を設けるべき。

●日本文教出版...帝国書院と同じくらい

記述内容「人間はだれも、一人では生きていくことはできません。家族や地域社会、そして国家の一員であるとともに、学校や職場などに属し、その生活の場を広げていきます。人間が最初に所属する社会集団である家族は、本来いつくしみと思いやりにみちた最小の社会集団です。地域社会は...」

①分量...多く見て3行程度

②「人間が最初に所属する社会集団」

③「いつくしみと思いやりにみちた」?...機能といえるか微妙。しかし東京書籍や教育出版は、この程度の説明すらない。細かく見れば「生活の場」か?

④⑤一切なし

⑥単元は違うが、「核家族が増え」と少し出てくる。

⑦⑧一切なし

なお、この記述量で既にお気づきの方もおられると思うが、家族を単元見出しどころか小見出しにしている会社すら自由社と育鵬社以外では一社も存在しない。育鵬社は家族の単元にも関わらず、なぜか単元見出しに家族を入れず、「社会の変化」に逃げている。

東書・教出・日文・帝国→小見出しすらなし。

育鵬社→単元はあるのに、単元見出しに「家族」が出てこない。小見出しにはあるが小さい扱い。

自由社→節見出し、単元見出し、小見出しで家族出てくる。しかし節見出しで出てくるのに、どうして家族に主題を当てた単元が2つしかないのか。

家族に関する記述の推移

昭和20~40年代 全社が30~40ページ程度かけて説明

昭和50年代初頭 家族に関する説明が急減、平均10~15ページ

昭和50年代中盤~平成13年度 平均7ページ

平成14年度~平成23年度 家族を「基礎的な社会集団」とすらしない教科書が登場 平均4ページ

平成24年度~令和二年度 自由社・帝国書院・育鵬社を除く全ての教科書で家族に主題を当てた単元消される 平均1ページ

令和三年度以降 帝国書院からも家族単元消える 平均はついに1ページを割り込み、0.7ページ

次回版教科書ランク付け(家族に関する記述)

1位 自由社(家族の機能・親権・家族の形態の変化について必要最低限度の記述はしている。親族関係が足りない。とは現状は最も充実。しかし親族関係以外の面でも不十分だとは指摘しておく。)

2位 育鵬社(家族の機能があんまり説明できていないのと、力点がおかしいとだけ指摘しておく。親権も親族関係も当たり前のように無視。)

3位 帝国書院・日本文教出版(家族の機能に触れているといえるかもしれない群、家族の機能に触れる気はある群、こんなのが3位とか終わってる。もはや当然だが、親権も親族関係も無視。)

4位 東京書籍・教育出版(絶対に採択してはいけない教科書たち。論外。家族の機能・親権・家族の形態の変化・親権・親族関係、どれも出てこない。雑な定義があるだけ。ほぼ単語だけ。)

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【教科書採択運動】公民は自由社の「新しい公民教科書」、歴史は自由社の「新しい歴史教科書」を採択すべき!【報道されたほど保守ではない令和書籍/自由社は令和書籍のような右翼ではありません】

2024-04-22 00:41:43 | 恐るべき公民教育

↓前回の記事で述べたように、自由社の「新しい公民教科書」「新しい歴史教科書」、令和書籍の「国史教科書」はともに「極右」性を大きく改善し、むしろ他社よりも使いやすくて、自由社に至っては「他社の方が極右なのでは」と思わせるほど改善されていました。

【歴史も公民も自由社一択】「新しい公民教科書」「新しい歴史教科書」は「普通の教科書」である!【令和書籍の「国史教科書」もあり】

今は教科書採択の時期です。ぜひ、公民は自由社の「新しい公民教科書」、歴史は自由社の「新しい歴史教科書」、令和書籍の「国史教科書」を採択するよう呼びかけてください!

どうして改善されたとは言え、保守色が残る令和書籍を出すのかというと、「自由社は極右」という先入観を排除するためです。保守色が残る令和書籍と自由社を比較すると、本当に自由社は極左のように見えてきます。保守色が残る教科書との比較ですから、実際には中道(むしろ左翼)です。

自由社は、令和書籍のような右翼ではありません。

各自治体のホームページに意見欄があるので、ぜひそこで訴えてください。私は、例えば次のような文を送りました。これをコピーするだけでも良いので、教科書採択に少しでも関心を持ってください!!!!

1 機能面に特化したもの。※字数の問題で令和書籍の所に「せめて」がないので2を用意しました。

公民教科書は自由社の「新しい公民教科書」、歴史は自由社の「新しい歴史教科書」、令和書籍の「国史教科書」を採択してください!

自由社の「新しい公民教科書」には

①単元の内容が一発で分かる!「ここがポイント!」

②振り返りから「考える学習」へ!「学習のまとめと発展」

③章ごと・単元ごとの「学習課題」で主体的に学べる!

④生徒の考察力を育む「やってみよう!」「アクティブに深めよう」

⑤分かりやすい!「概要→詳細→課題・議論」の構成

⑥どれぐらい学習してるか一目で分かる!単元の「通し番号」

⑦家族と国家の機能をしっかり解説

⑧近隣諸国の人権問題で学ぶ!世界的視野を持てる最先端の人権教育

⑨自由を守る!経済的自由権の意義をしっかり解説

⑩日本も世界も大切に!「世界の公民」としての生き方

という特徴があります。

自由社の「新しい歴史教科書」には

①どのタイミングで見れば良いか一発で分かる!コラムにまで拡大した「注釈番号」

②アクティブ・ラーニングが最も充実!

③どれぐらい学習してるか一目で分かる!単元の「通し番号」

④レベルの高い折り込み年表付きで習熟度別学習に最適!

⑤親しみやすいオール敬体

⑥学習への興味・関心が深まる!章の導入の「登場人物紹介コーナー」

⑦学習した内容を一発で振り返られる!「まとめ図」(簡単な年表)

⑧良いことも悪いこともしっかり書いて基礎的な考え方が分かる!

⑨人物や面白い資料が豊富で楽しく学べる!

⑩政府見解を押し付けない

という特徴があります。

令和書籍には

①時代の主役がタイムスリップした!?興味・関心をそそる各章1枚ずつのアニメ調の挿絵

②アクティブ・ラーニングに最適!単元ごとを超えて「小見出しごと」にある学習課題

③普通の学校から進学校まで全ての学校に最適!基本的な事項は「本文」、ハイレベルな内容は「側注」と明確に区別して分かりやすい!

④これは覚えやすい!導入は重要事項だけの「簡略年表」、最後は細かいところまで書く「詳細年表」

⑤賛成か反対かだけではない!日本を超えて外国など、複数の立場を考える「まとめ学習」

⑥教科書史上最も高画質!豊富な写真がもちろんフルカラーで掲載された「日本美術図鑑」

⑦「大宝律令の完成は独立国の証」など、明快で分かりやすい小見出し

⑧右翼的なのは見出しだけ!読んだら右翼的じゃないと分かるコラム!

という特徴があります。

※1000文字制限に対応しています。

2 思想比較に優れたもの。

公民・歴史教科書は自由社の「新しい公民教科書」と「新しい歴史教科書」を採択してください。比較すれば分かりますが、自由社は令和書籍のような右翼ではありません。「世界の公民」になることを推奨し、政府見解を押し付けず、生徒の自主性を育む「真っ当な教科書」です。暗記中心でつまらない、東京書籍の公民・歴史教科書、学び舎・山川出版の歴史教科書は絶対に採択しないでください!!!!教育出版や帝国書院、日本文教出版も面白みに欠けています。読んでいて一番面白いと思ったのが自由社です。教師用指導書は一箇所でも「公立が」採択すれば確実に発行されます。心配する必要はありません。

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【最後のもうひと踏ん張りを!】日本国憲法第9条の制定理由の訂正申請を!

2024-01-14 06:03:03 | 恐るべき公民教育

帝国書院は日本国憲法第9条の制定理由として「日本は、第二次世界大戦中、アジアや太平洋の国々に多大な戦禍を与えました。」を挙げています。しかし、戦前教育を受けた指導者が多数派のあの時代、「アジアや太平洋の国々に多大な戦禍を与え」たことが知られているはずもなく、帝国書院の記述は虚偽に当たります。

前回は「第二次世界大戦を反省して」と書いており、主に国内の被害など制定理由として挙げていました。これは事実です。

教科書の発行時期が近づいています。最後のもうひと踏ん張りだと思って、虚偽の記述を訂正するよう訴えてください!!!!

 

教科書の内容や指導書・Webサポート・QRコンテンツについて|株式会社帝国書院

株式会社帝国書院

 

 

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【捏造】日本国憲法の成立過程史と日本国憲法の原則が捏造されている!立憲主義が危ない!

2023-09-14 22:29:24 | 恐るべき公民教育

突然ですが、公民教科書上、日本国憲法の成立過程史と日本国憲法の原則は、完全に捏造されています。それも危険な全体主義と反立憲主義に結びつける方向です。

●日本国憲法の原則から三権分立、立憲君主制、議院内閣制、間接民主主義を排除

日本国憲法の原則は、立憲君主制、三権分立、主権在民(国民主権)、間接民主主義、議院内閣制、基本的人権の尊重、平和主義というのが通説でした。

しかし、公民教科書では昭和30年代後半から、三権分立、立憲君主制、議院内閣制、間接民主主義を排除した、国民主権、平和主義、基本的人権の尊重の三原則が語られるようになりました。

この三原則で政治権力に関するものは「国民主権」しかありません。共産主義やファシズムで行われた危険な全体主義を防ぐための三権分立や間接民主主義、議院内閣制がどこにもありません。

大日本帝国憲法の原則にも、三権分立や間接民主主義(議院内閣制は憲法のとるところではない。)は入っていましたから、日本国憲法の原則に入れないのは異常としか言いようがありません。

さらに、立憲君主制も排除されています。立憲君主制とは、君主は憲法に拘束され、憲法の範囲内で君主の行為を行うことができるというものです。

日本国憲法では、天皇は国事行為のみを行うとして、天皇という君主を拘束し、憲法の範囲内で国事行為を行うことができるということにしています。

日本国憲法の立場は、立憲君主制であり、これを排除するのはもはや謎です。

ちなみに、大日本帝国憲法でも、第4条で立憲君主制がとられています。

近代国家に必要不可欠なのが立憲君主制ですから、排除するのは、前近代的な取り組みともいえます。

●日本国憲法の成立過程史の捏造...国ぐるみで抹殺する

さらに、日本国憲法の成立過程史の捏造具合は酷いものがあります。まず、GHQの指示で憲法改正が始まったと書く教科書は自由社以外に存在しません。

育鵬社は、他社と異なり、多少書いていますが、「憲法改正を求めた」と完全にごまかしています。

さらに、GHQ草案は全社が書きますが、GHQ草案を受け入れ、審議するよう要求したと書く教科書は一社も存在しません。なんと自由社と育鵬社も含め、全社が「GHQ案が示され、政府が受け入れた」というような嘘話を展開しているのです。

ですが史実は「GHQは自らの草案を公表し、受け入れなければ「天皇の身体を保障できない」と日本政府を脅迫し、また、官邸周辺にB29を飛ばす中、日本政府に指示して、自らの草案を受け入れさせた」という状態です。

脅迫の部分はなかったという説もありますが、そうだとしても「GHQは自らの草案を公表し、官邸周辺にB29を飛ばす中、日本政府に指示して、自らの草案を受け入れさせた」というの事実です。

まるで日本政府とGHQが対等であったかのように書く教科書はすさまじい歴史捏造を行っていると言わざるを得ません。

自由社と育鵬社は、受けいれる以外の選択肢がなかったとか、厳しく迫ったとか、で示唆することは言っていますが、直接要求や脅迫を書いていません。

もっと酷いのが議会審議です。衆議院の憲法改正特別委員会小委員会の審議で、主な修正が行われることになるのですが、この審議は一般議員の傍聴も記者の入室も認められないという、密室で行われたものです。

そして、この密室で、GHQは、さまざまな指示を行い、議会審議を統制していました。日本側が出した修正案には、全て、GHQの許可と承認が必要でした。GHQの統制は、議会審議にまでおよんでいたのです。

事実、日本国憲法第9条第2項の「前項の目的を達するため」という部分は、芦田修正により追加されたものですが、この修正をGHQは拒否するつもりでした。

GHQの上層部にあたる極東委員会は自衛のための戦力や交戦権ぐらいは認めても良いとの見解を示しました。

同時に、極東委員会は、自衛のための戦力や交戦権を担う軍隊には文民統制が必要だとの見解に基づき、GHQを通して日本政府に「内閣総理大臣その他の国務大臣は文民でなければならない」という文民条項を加えるよう指示し、その通りに修正することで第9条全体の修正を承認されたのです。

このほかにも、現行憲法の「ここに主権が国民に存することを宣言し」の原案は、「ここに国民の総意が至高なものであることを宣言し」でした。

しかし、GHQは突然、日本政府に対して国民主権の明記を指示し、「ここに国民の総意が至高なものであることを宣言し」となりました。

GHQの統制は、議会審議にもおよんでいました。しかし、この事実を書く教科書は平成28年度版まで全く存在していませんでした。

現行版でようやく、自由社ただ一社だけが、「当初、政府案の前文は『ここに国民の総意が至高なものであることを宣言し』と記していました。小委員会もこの案をそのまま承認するつもりでしたが、国民主権を明記せよというGHQの要求があり、『ここに主権が国民に存することを宣言し』と修正しました。」と書きました。

ようやく、議会審議の統制が書かれるようになりましたが、日本側の修正案には許可と承認が必要だった事実までは書かれていません。なにせ、この事実を書こうとすると、検定で抹殺されます。

衆議院の憲法改正特別委員会小委員会の議事録は、1990年代まで秘密とされていました。ようやく公開され、GHQによる統制の実態が明らかにされても、検定は抹殺するのです。

「誤解するおそれのある表現である」などと言って、GHQの許可と承認という表現は抹殺されます。自由社が、ようやく単に「修正の事実を示すだけ」という形で、統制を書くようになりましたが、不十分な感はいなめません。

それに、育鵬社もふくめて他社は議会審議の統制の点を全く書きません。育鵬社以外は検定と戦おうという姿勢すら見せません。育鵬社も、議会審議の統制の点以外では、意外と戦っていますが、議会審議の統制の点では完全に逃げています。

「自主修正が認められた」「議会の審議は自由だった」という嘘話を、自由社以外の全社が展開しているのです。すさまじい歴史捏造です。

これは、指示の点以外は、歴史教科書も同じです。唯一違うとすれば、育鵬社は歴史教科書において曖昧な形で統制らしきものを書いている点です。

自由社は、占領軍の統制の下に行われた憲法改正が戦時国際法に違反していることも紹介しています。

日本国憲法の成立過程史の捏造は、GHQの草案の部分以外では、護憲派も改憲派も相当程度影響されてしまっています。

この捏造の歴史から自由になり、日本国憲法の本当の成立過程史を広げることが必要です。

せめて、指示ぐらいは全社が書くようになって欲しいものです。

▼東京書籍

【東京書籍】 お問い合わせ 内容についてのご質問・ご意見箱:個人情報の取扱いについて

三原則以外の原則...一切なし。

GHQの指示...一切なし。

GHQ草案...有り。

GHQ草案に基づく審議の要求..一切なし。

GHQによる議会審議の統制...一切なし。

密室での審議...一切なし。

GHQの指示やGHQ草案に基づく審議の要求、GHQによる議会審議の統制、密室での審議、これら全てが書かれていない。示唆する文言すらない。

なお、お問い合わせには、利用規約などへの同意が必要です。

▼教育出版

利用規約 - 教育出版

三原則以外の原則...一切なし。

GHQの指示...一切なし。

GHQ草案...有り。

GHQ草案に基づく審議の要求..一切なし。

GHQによる議会審議の統制...一切なし。

密室での審議...一切なし。

GHQの指示やGHQ草案に基づく審議の要求、GHQによる議会審議の統制、密室での審議、これら全てが書かれていない。示唆する文言すらない。

なお、お問い合わせには、利用規約などへの同意が必要です。

▼帝国書院

教科書の内容や指導書・Webサポート・QRコンテンツについて|株式会社帝国書院

三原則以外の原則...一切なし。

GHQの指示...一切なし。

GHQ草案...有り。

GHQ草案に基づく審議の要求..一切なし。

GHQによる議会審議の統制...一切なし。

密室での審議...一切なし。

GHQの指示やGHQ草案に基づく審議の要求、GHQによる議会審議の統制、密室での審議、これら全てが書かれていない。示唆する文言すらない。

▼日本文教出版

お問い合わせフォーム|お問い合わせ|日本文教出版

三原則以外の原則...一切なし。

GHQの指示...一切なし。

GHQ草案...有り。

GHQ草案に基づく審議の要求..一切なし。

GHQによる議会審議の統制...一切なし。

密室での審議...一切なし。

GHQの指示やGHQ草案に基づく審議の要求、GHQによる議会審議の統制、密室での審議、これら全てが書かれていない。示唆する文言すらない。

▼育鵬社

お問い合わせ | 育鵬社

三原則以外の原則...一切なし。

GHQの指示...示唆するものは有り。

GHQ草案...有り。

GHQ草案に基づく審議の要求..示唆するものは有り。

GHQによる議会審議の統制...一切なし。

密室での審議...一切なし。

GHQによる議会審議の統制、密室での審議が書かれていない。示唆する文言すらない。

GHQの指示やGHQ草案に基づく審議の要求も示唆する形でしか書かれていない。

▼自由社

お問い合わせ|新しい歴史教科書をつくる会

三原則以外の原則...強く示唆するものは有り。「象徴天皇制」「法治主義」「三権分立」「間接民主主義」を原則のあと付け的に書く。

GHQの指示...有り。しかも正面から。

GHQ草案...有り。

GHQ草案に基づく審議の要求..示唆するものは有り。

GHQによる議会審議の統制...強く示唆するものは有り。

密室での審議...有り。

GHQの指示は正面から書かれているし、他社と同じくGHQ草案も書いているが、GHQ草案に基づく審議の要求、GHQによる議会審議の統制は示唆する形でのみ書いている。

密室での審議は正面から書いている。

なお、つくる会は自由社が発行する教科書の編集者の団体であり、営利目的の団体ではない。

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【緊急アピール】帝国書院は直ちに訂正申請を!【大問題記述発覚】

2023-08-18 04:17:19 | 恐るべき公民教育

突然ですが、皆様、この度の調査により、帝国書院の公民教科書が、平和主義の箇所で「日本は、第二次世界大戦中、アジアや太平洋の国々に多大な戦禍を与えました。」と記述していることが判明いたしました。

「戦禍」とは、戦争によるわざわいや被害のことであり、要するに帝国書院は、第二次世界大戦について日本を加害者とする表明を行ったということです。

しかし、第二次世界大戦については、もともといじめのようなハル・ノートの押し付けなど、日本の反撃的な側面が強い上、多少の戦禍を与えた、とは言ってみても、独立に貢献するなど、少なくともプラマイゼロであり、加害者とされるいわれはありません。

帝国書院は、前回の教科書までは「第二次世界大戦の反省」と若干ぼかした表現を使っていました。帝国書院の教科書は、基本的に他社よりも良い記述をしているケースが多く、このときも、東京書籍などの他社は「アジアへの被害」や「損害」などと称して、中には明確に「侵略」と位置づけていたものもあった中で、帝国書院は、このような記述を行っていたのです。

今回、帝国書院がこのように記述を著しく悪化させたことは、20年前、30年前の教科書で踊っていた「侵略」や「損害」だけではなく、ありもしない日本軍の「蛮行」の捏造が始まる予兆となる可能性が非常に高いです。

このことは、以前に帝国書院の歴史教科書が琉球語が日本語の方言だと記述しなくなったあたりから、帝国書院も他社も含め、急速に日本と琉球の対立物語が強調されるようになり、悪逆なる「日本」という物語が強くなった事実と対比しても明らかです。

このままでは、歴史教科書にも悪影響をもたらす可能性があります。帝国書院の記述がきっかけとなって、教科書が著しく改悪されれば、教科書改善運動は足元から崩れます。

帝国書院の記述を改善させるため、「訂正申請」を要求しましょう。

帝国書院の記述している箇所は、憲法9条などに関わる箇所で、全体は「日本は、第二次世界大戦中、アジアや太平洋の国々に多大な戦禍を与えました。また、国内においても、全国各地での空爆、沖縄での地上戦、二度の原爆投下など、大きな被害を出しました。これらを踏まえて、日本国憲法の前文では「再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意」すると宣言しました。さらに、9条で、国際紛争を解決するための武力行使と戦争を放棄するとともに、それを達成するため、戦力と交戦権を持たないことを規定しました。この平和主義の規定は、日本の国家権力に向けたものであると同時に、武力行使に関する日本の立場を海外に向けて示す外交宣言でもあります。」となっています。

このさい、「記述の簡略化」という視点だけでも良いので、とりあえず、「日本は、第二次世界大戦の反省を踏まえて、日本国憲法の前文では「再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意」すると宣言しました。さらに、9条で、国際紛争を解決するための武力行使と戦争を放棄するとともに、それを達成するため、戦力と交戦権を持たないことを規定しました。この平和主義の規定は、日本の国家権力に向けたものであると同時に、武力行使に関する日本の立場を海外に向けて示す外交宣言でもあります。」ぐらいにはする必要があります。

最後の部分に付け足しで「ロシアによるウクライナ侵攻などが始まった現在では、これらの宣言や規定がより注目されるようになっています。」的な記述を付けるのも良いかも知れません。

とにかく、「日本は、第二次世界大戦中、アジアや太平洋の国々に多大な戦禍を与えました。」という部分は絶対削除させるため、帝国書院に抗議し続けましょう!!!

 

教科書の内容や指導書・Webサポート・QRコンテンツについて|株式会社帝国書院

株式会社帝国書院

 

〒101-0051
東京都千代田区神田神保町3-29
TEL: 03-3262-4795

↑帝国書院の連絡先。↓帝国書院のTwitter。

/twitter.com/teikokushoin

問題の教科書名「社会科 中学生の公民 より良い社会を目指して」

抗議用テンプレート(普通)

拝啓 貴社ますますご繁栄のこととお慶び申し上げます。

 さて、貴社の中学公民教科書では、平和主義の箇所で「日本は、第二次世界大戦中、アジアや太平洋の国々に多大な戦禍を与えました。」と書かれているそうですね。

 しかし、日米戦争については間違いなく、ハル・ノートの押し付けや経済封鎖などによって日本は「させられた」戦争なわけで、この書き方は明らかに問題があると思います。

 戦禍を与えた面は多少なりともあったにせよ、その国の独立などにも貢献しているわけで、このような記述は良くないと思います。また、続く「国内においても、全国各地での空爆、沖縄での地上戦、二度の原爆投下など、大きな被害を出しました。」についても、ここまで強調する必要はないように思われます。

 中学生の勉強のしやすさなども考えて「日本は、第二次世界大戦中、アジアや太平洋の国々に多大な戦禍を与えました。また、国内においても、全国各地での空爆、沖縄での地上戦、二度の原爆投下など、大きな被害を出しました。これらを踏まえて、日本国憲法の前文では「再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意」すると宣言しました。」の部分を「日本は、第二次世界大戦の反省を踏まえて、日本国憲法の前文では「再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意」すると宣言しました。」というような形で訂正申請をしていただけないでしょうか。

 歴史の事実を正確に反映することは非常に重要であり、中学生の将来や貴社の未来を考えたさいも、それはいっそう重要だと考えます。

 つきましては、これらの記述について訂正申請を行っていただきますよう、重ねてお願い申し上げます。

 末筆ながら、ますますのご健勝とご多幸をお祈り申し上げます。

                               敬具

抗議用テンプレート(穏健)

拝啓 貴社ますますご繁栄のこととお慶び申し上げます。

 さて、貴社の中学公民教科書では、平和主義の箇所で「日本は、第二次世界大戦中、アジアや太平洋の国々に多大な戦禍を与えました。また、国内においても、全国各地での空爆、沖縄での地上戦、二度の原爆投下など、大きな被害を出しました。これらを踏まえて、日本国憲法の前文では「再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意」すると宣言しました。さらに、9条で、国際紛争を解決するための武力行使と戦争を放棄するとともに、それを達成するため、戦力と交戦権を持たないことを規定しました。この平和主義の規定は、日本の国家権力に向けたものであると同時に、武力行使に関する日本の立場を海外に向けて示す外交宣言でもあります。」と書かれているそうですね。

 現在、ウクライナ戦争の影響で、憲法の前文や9条に注目が集まっていますから、そのことを記してもらいたいと思います。

 また、「日本は、第二次世界大戦中、アジアや太平洋の国々に多大な戦禍を与えました。また、国内においても、全国各地での空爆、沖縄での地上戦、二度の原爆投下など、大きな被害を出しました。」の部分は、あまりにも長すぎるように感じます。

 中学生の勉強のしやすさなども考えて「日本は、第二次世界大戦中、アジアや太平洋の国々に多大な戦禍を与えました。また、国内においても、全国各地での空爆、沖縄での地上戦、二度の原爆投下など、大きな被害を出しました。これらを踏まえて、日本国憲法の前文では「再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意」すると宣言しました。」の部分を「日本は、第二次世界大戦の反省を踏まえて、日本国憲法の前文では「再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意」すると宣言しました。」というような形で訂正申請をしていただけないでしょうか。

 さらに、末尾に「ロシアによるウクライナ侵攻などが始まった現在では、これらの宣言や規定がより注目されるようになっています。」と付け加えることでより良い記述に進化すると思います。

 つきましては、これらの記述について訂正申請を行っていただきますよう、重ねてお願い申し上げます。

 末筆ながら、ますますのご健勝とご多幸をお祈り申し上げます。

                               敬具

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