あかあかと光る夜明けの月ありてしばしたたずむひとりの小道

あかあかと光る夜明けの月ありてしばしたたずむひとりの小道　　　　揺之

窓越しの光をあびてささやきのごときヴィオラを聞く秋の部屋

窓越しの光をあびてささやきのごときヴィオラを聞く秋の部屋　　　　揺之

あかぼしの高くのぼりてあけぼののすそをひきつつしづかに光る

あかぼしの高くのぼりてあけぼののすそをひきつつしづかに光る　　　　揺之

たはぶれに君にこひすといひつれば君はわらひてしばしこたへず

たはぶれに君にこひすといひつれば君はわらひてしばしこたへず　　　　揺之

きみおもふこころはひたにあつけれどひとりの部屋にこほりもぞする

きみおもふこころはひたにあつけれどひとりの部屋にこほりもぞする　　　　揺之

空切りて流るる星をひろひては君にやらむとたはぶれし夜

空切りて流るる星をひろひては君にやらむとたはぶれし夜　　　　揺之

降る雪の消ぬる我が身とおもひしになほ燃え残る恋心かな

降る雪の消ぬる我が身とおもひしになほ燃え残る恋心かな　　　　揺之

くはまゆのごとくちひさく身をたたみ一人窓辺に聞く雪の音

くはまゆのごとくちひさく身をたたみ一人窓辺に聞く雪の音　　　　揺之

あひたしとちひさくいひて窓により月影を見るひとりゐる夜

あひたしとちひさくいひて窓により月影を見るひとりゐる夜　　　　揺之

ささやきのごときにとほきしほの音にきみおもふ身をしづめてねぶる

ささやきのごときにとほきしほの音にきみおもふ身をしづめてねぶる　　　　揺之