七夕にかしつる糸のうちはへて年の緒ながく恋ひやわたらむ 凡河内躬恒
七夕にかした糸が長くのびるように、長いとし月をあなたに恋することでしょう。
空の男星と女星が、古の昔からずっと恋しあっているように。
片身なきあはびのきはをしりつつも夜ごとうたはむ君おもふ歌 揺之
ヘンリー・パーシー・グレイ(1869-1952)、アメリカ。
昼の明るい風景なのに、どこか暗い。
時代そのものが、何か暗いものに覆われているかのようだ。
絶望はまだ鈍い挫折感にすぎなかった。
ゆふしぐれぬるる肩にもおふ影の重きを知りて明日を知りけり 揺之
ジェームス・マクニール・ホイッスラー(1834-1903)、アメリカ。
人間を、灰色を中心とした単調な色調で描く。
人間の何かを、否定したがっているかのようだ。
影でうごめいている何かを。
短夜のふる星影にしづかにもとひてこの世のわけもしりたき 揺之