細道をひとりゆきつつ振り向けばあやしく赤きゆふぐれの月 揺之
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山の端に月はかたぶきぬばたまの闇夜のきぬのきざし来たりぬ
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しらたまの君の心をおひかねて幻の野にひなげしを摘む
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月を見てけふのうれひを薄めてはあしたの夢を見る夜更けかな
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かぎろひの春を夢見て冬の枝にかたき花芽をなすさくらかな
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呼ぶ声を背に聞きとめてふりかへり風のむかふに立つ君を見る
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夢の間に君とあふせをねがひては小窓の月をながめつつ寝ぬ
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ほととぎすひとこゑ鳴きて吾をなししまことの親はいづこやととふ
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青空にひそむまなざし光のごと総身に浴びておのれをぞ知る
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浅茅生の野に身を投げて高空に聞こえぬ神の声をさがしき
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降り注ぐ日影をあみて悲しみの夢ととけゆく野辺のひととき
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