小さい頃親父は秋になるとキノコ採りに出かけた。石川ではキノコとは言わずにコケとという。全国的にはキノコが一般的で東北ではタケ、九州ではナバという。10月に入ると気温が下がり雨が上がった翌日当たりキノコは子実体をつくる。親父が腰カゴに大事そうに採ってきたキノコを新聞紙を引いた上にならべる。キノコ独特の香りがある。これがキノコ臭だ。傘も枝も比較的大きなキノコを持ってこれがイッポンシミズだと言ったことを記憶している。神戸でキノコ仲間と採取して昔親父が言っていたキノコはなんだろうと調べた。標準和名のイッポンシメジは親父の言った気のこと良く似ている。ただこれは毒キノコ。あの時は食べている。たどり着いたのがウラベニホテイシメジだと分かった。同じようなキノコで同じような場所に生える。よく間違わなかったものだ。見分けの特徴は、かすったような斑点がある。慣れてくると違いがわかる。その他にもクサウラベニタケもよく似ていてこちらも毒キノコだ。キノコには地方名が多くあり、特に毒キノコには注意が必要である。疑わしきは食べずである。


