「円天」商法 甘言で「利殖願望」につけ込んだ(読売新聞) - goo ニュース
「甘言には惑わされるな」という戒めを、忘れてしまうのだろうか。
警視庁が東京の健康商品販売会社「エル・アンド・ジー」(L&G)の本社などを一斉捜索した。元本を保証し、不特定多数から出資金を受け入れた出資法違反容疑だ。
「1口100万円の協力金を預けて会員になれば3か月ごとに9万円の配当を支払う」「1年後の満期には元本を返金する」とうたい、約5万人から総額1000億円もの資金を集めた。
協力金の額に応じて「円天」と名付けた独自の“通貨”を発行し、インターネット上の「円天市場」やバザー会場で様々な商品と交換できる。そんな目新しい勧誘の仕掛けも用意していた。
常識的に考えて、こんな有利で、しかも元本割れしない商品など、あるはずがない。今年に入って配当が滞り始め、ついに破綻(はたん)した。当然の結末だ。
こういう事件が起こったときに、「そもそもこんなうまい話があるわけない、乗る方が悪い」と片付ける論調が出てきます。でも、この定番文句もどうかと思ってしまいます。
というのは、世の中には、「結果的には、濡れ手に粟の儲け話のように見えてしまうサクセス事例」が結構転がっていたりしますから。
例えばヤフーの株なんてのは、97年の上場時200万だったのが、何回かの分割を経ての現在の時価総額で言うと3億とくれば、円天よりはるかに凄い利回りじゃないかということになります。
で、L&Gへの出資者からすれば、ヤフーの株を良いタイミングで手に入れることができた人も、「うまい話に乗れた人」というカテゴライズになっちゃうのではないかと。
ヤフー株を買った人には、特に高齢者を中心に証券会社のお奨めにあったからという人も多いはずで、その人の儲けのきっかけは、「証券会社が持ってきたうまい話に乗った」からということになってしまう。
もちろん元本割れしないと謳ったL&Gと、まがりなりにも証券市場に上場する株を同等に扱えないと考えるのが普通なのですが、今回の被害者にとってみればそこが一緒になっちゃってることが問題なのですよね。
「うまい話」は、いろいろあるのは事実。だからそれを全否定するのは社説としてどうかと思うのですよね。
問題その1は、その儲け話の中身、プロセスについてよく考えずに味噌も○○も一緒にしてしまったこと。
問題その2は、その中身はよくわからないとしても、その話を持ってきた人・法人について、味噌も○○も一緒にしてしまったこと。
できれば問題その1で各自がスクリーニングできるのが理想的なのでしょう。
若い世代には投資教育を通じて(もちろん『ナニワ金誘道』を使用しての借金教育も必須)、スクリーニングもイケるでしょうが、今回の主な被害者層であろう高齢者の方々は、こう言っては何ですが、あまり考えなくなってしまう方も多い。そして電子マネーという当方でさえよくわからない(w ツールを持ち出されたら、つい「そんなものか」と思ってしまうこともあるでしょうと。
しかしわからんのは、その2の方。
あの社長や芸能人を多用しての勧誘を胡散臭いと思わないことや、当然若い世代よりも数多く「人間」を見てきたであろう人たちが、儲け話を持ってきた人をあっけなく信用してしまうことについて、どうなのと思ってしまいます。
豊田商事のときは孤独な高齢者を、悪徳リフォーマーのときはなかば禁治産者みたいな人を標的にしていたから、事件としては許せないけれども、まだ話の筋としてはわかる。
詳細は知らねど、これらのような強引な勧誘がなく、自己責任の結果だとすれば、いろいろと考えてしまいますよね。
いろいろって何よ・・・っていうと、ホントにいろいろ。
高齢者主婦層にカネを出させるには理屈じゃなくて、情緒なのだなあだとか、
そういう人たちって、違うジャンルの人達と接触する機会が少なかったのかなとか、
ベンチャー企業にカネを集めるのも、うまく間に機関を置いてやれば、意外と集まるんじゃないかとか、
理屈では強いはずの外資の商品があっても、郵政新会社や信金の密着営業が意外と強そうだなとか、
そのうちまた「皇族」「国際線パイロット」を名乗る結婚詐欺師にひっかかる人が出てきそうだなとか、
そういうブランドにはコロっと引っかかるのに、L&Gなんて無名の会社の儲け話に乗っちゃうんだねとか、
安定感はあれど成熟産業の範疇にあり、短期の利殖には向かない弊社の株式は、逆に高齢者には受けが悪そうだなとか。。
まあ、自分も年取ったらどうなるかはわかりませんけどね。