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今年96歳になる母親の花子さん。その名前の“珍しさ”から、今も皆から「花子さん、花子さん」と
呼ばれている。
4年前私の娘一家のドイツ転勤で、地元の特別養護老人ホームに入所を余儀なくされた。自分たちが
見舞いに行くたびに「家に帰りたい、帰りたい」と言って周囲を困らせていたが、幸い昨年末娘一家が
豊川市の本社勤務に戻ってきたので、今回待望の帰宅となった訳である。
今回の大地震で落ち着かないところもあったが、今度またいつ「東海地震」が起きないとも限らないと
言われている中で、何としても早く一度家に連れてこなければと考え実行することにした。
昨日は、名古屋に住む兄一家も来てくれ、ドイツ在住中にすっかり大きくなった孫娘姉妹もいて、久し
ぶりに賑やかな食事会となった。
当の花子さんは、始めは何が起こったのかといった感じでボケッとしていたが、テーブルに食事が出だすと
目つきも変わり、自分で箸を握って食事を始めた。(施設では、食べ物を口に運んでやるとやっと食べると
いった感じだった)お腹に応えないようにとうどんを用意したのだが、どんぶり一杯ペロッと平らげた。
「花子さんは焼肉が大好きだったので…」と、庭先で焼き上げた焼肉をテーブルに差し出すと、目の色変え、
自分で箸をもち自分の口に急いで運んでいった。「あまり食べさせると…」と心配する兄の言葉をよそに、
次々と美味そうに焼肉を食べていた。その後お客さん用に用意した、草餅の団子と桜餅を見せると、今度は
手を差し伸べて団子の櫛を握りこれまた慌てて口に運ぶさまは、正に子どもそのものである。「喉を詰ま
らせては」と心配する周囲をよそに3個もぺろりと食べてしまった。更に、流石に固いかもと心配しながら
「大好きな干し柿があるけど…」と言うと、殆ど聞こえないと思っている耳に何故か聞えるのか「カキ、カキ」
と喋れない筈の言葉がハッキリ聞こえ、再び手を高く差し出してきた。一個ペロッと食べてしまった後
「美味しかった?」と聞くと頭を大きく振って更に「カキ、カキ」と言う。これ以上はと躊躇していると
今度は机を叩いての要求で、心配しながら差し出す始末。最後は「もう無いから今度買っておくから」と
嘘を言ってなだめる羽目に。施設で何も食べていないのかと思ってしまう程だが、決してそんなことはなく
人間、最後は食欲だけが残るのだと思い知らされる。しかし、これも健康で命があってこそのこと、寿命の
ある限り健康でいたいものとつくずく考えさせられた。
夕方「もう施設には帰りたくない!」と、駄々をこねられるのではと心配しながら施設に戻ったが、意外な
程素直に部屋に入り、送って行った家族に大きく手を振って別れてくれた。
みんなやや拍子抜けだったが、本当にホッとさせられた一瞬だった。
呼ばれている。
4年前私の娘一家のドイツ転勤で、地元の特別養護老人ホームに入所を余儀なくされた。自分たちが
見舞いに行くたびに「家に帰りたい、帰りたい」と言って周囲を困らせていたが、幸い昨年末娘一家が
豊川市の本社勤務に戻ってきたので、今回待望の帰宅となった訳である。
今回の大地震で落ち着かないところもあったが、今度またいつ「東海地震」が起きないとも限らないと
言われている中で、何としても早く一度家に連れてこなければと考え実行することにした。
昨日は、名古屋に住む兄一家も来てくれ、ドイツ在住中にすっかり大きくなった孫娘姉妹もいて、久し
ぶりに賑やかな食事会となった。
当の花子さんは、始めは何が起こったのかといった感じでボケッとしていたが、テーブルに食事が出だすと
目つきも変わり、自分で箸を握って食事を始めた。(施設では、食べ物を口に運んでやるとやっと食べると
いった感じだった)お腹に応えないようにとうどんを用意したのだが、どんぶり一杯ペロッと平らげた。
「花子さんは焼肉が大好きだったので…」と、庭先で焼き上げた焼肉をテーブルに差し出すと、目の色変え、
自分で箸をもち自分の口に急いで運んでいった。「あまり食べさせると…」と心配する兄の言葉をよそに、
次々と美味そうに焼肉を食べていた。その後お客さん用に用意した、草餅の団子と桜餅を見せると、今度は
手を差し伸べて団子の櫛を握りこれまた慌てて口に運ぶさまは、正に子どもそのものである。「喉を詰ま
らせては」と心配する周囲をよそに3個もぺろりと食べてしまった。更に、流石に固いかもと心配しながら
「大好きな干し柿があるけど…」と言うと、殆ど聞こえないと思っている耳に何故か聞えるのか「カキ、カキ」
と喋れない筈の言葉がハッキリ聞こえ、再び手を高く差し出してきた。一個ペロッと食べてしまった後
「美味しかった?」と聞くと頭を大きく振って更に「カキ、カキ」と言う。これ以上はと躊躇していると
今度は机を叩いての要求で、心配しながら差し出す始末。最後は「もう無いから今度買っておくから」と
嘘を言ってなだめる羽目に。施設で何も食べていないのかと思ってしまう程だが、決してそんなことはなく
人間、最後は食欲だけが残るのだと思い知らされる。しかし、これも健康で命があってこそのこと、寿命の
ある限り健康でいたいものとつくずく考えさせられた。
夕方「もう施設には帰りたくない!」と、駄々をこねられるのではと心配しながら施設に戻ったが、意外な
程素直に部屋に入り、送って行った家族に大きく手を振って別れてくれた。
みんなやや拍子抜けだったが、本当にホッとさせられた一瞬だった。
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