木村長人(きむらながと)。皆さんとつくる地域の政治。

1964年(昭和39年)千葉生まれ。元江戸川区議(4期)。無所属。

空間放射線量や給食食材の放射能汚染の調査を要望する陳情に対する私の意見

2011-07-22 22:52:47 | 地方自治
 今日、福祉健康委員会がありました。朝10時から始まり、午後1時25分までの約3時間30分の長めの委員会となりました。

 議論の多くが陳情審査に割かれたのですが、中でも、子どもたちへの放射能の影響を不安視し、空間線量や給食食材汚染の調査を要望する陳情8本をめぐる議論に多くの時間が費やされました。

 私が今日の委員会で発言した内容を箇条書きで簡潔に記しておきます。

●教育委員会から提出された資料要求に対する回答資料について。「江戸川区は実施しておりません。23区に関する資料はございません」などという木で鼻をくくったような回答が多い。「23区に関する資料はございません」とは「調べていません」「調べません」と同じ。もっと誠意ある回答を出すべき。

 ということで、私の要求した資料に対する回答部分ではなかったのですが、あまりにひどい回答だったので、まず、委員長に教育委員会への誠意ある回答資料を要求しました。この点は他委員も異口同音に述べていた点です。

 次に、「食材は生産自治体で食品衛生法に基づいて検査され、汚染されたものは取り除かれ、市場に出回っていないと考えている」という健康部長の発言があったことを受けてのものです。

●先月までなら、その理屈は成立したかもしれない。ところが、その検査体制はこの1週間で破綻したと言える。セシウム汚染牛の問題だ。食品衛生法に基づく検査が実施され、「安全」とされる食材が出荷されていた。国際放射線防護委員会(ICRP)専門委員の甲斐倫明教授も「食品監視の失敗。健康不安だけでなく、裏切られたという不信感が広まっている。国は検査計画を立て直す必要がある」(注1)とはっきり指摘している。根本的には国の責任だが、いま現行の検査体制の欠陥が明らかとなり、消費者が不安と不信を抱く状況になったなかで、なお国の検査体制を信じるというのは、自治体サイドとしては無神経。むしろ、身近な区民が不安を持っている状況を理解するなら、われわれ自治体から国に食品検査の見直しを要望すべきだ。

●食材の検査をするのは野菜でも肉でも生産する都道府県。しかし、食肉は家畜を解体しないと汚染されているか否かわからない。同時に、処理能力の問題もあり、福島県の牛が福島で解体されるのは1割程度。残りは出荷先の都県で解体される。国が全頭検査を要請しているが、都は全部こなせないということらしい(都の対応については衛生課長の答弁を受けたもの)。今、区の学校給食では特に牛肉の産地別対応措置は取っていないようだ。今日までのところ、学校で消費した牛肉の中にセシウム汚染牛として発表された個体識別番号に合致する牛から取られたものは、幸い、ないようだ。しかし、今後、汚染牛の問題がさらに広がりを見せれば、後の祭りということもありうる。

●国の検査体制は欠陥があった。都は全頭検査を実施できない。そうであれば、やむを得ぬ措置として、区で対応を考えるべき。具体的には、厚生労働省がモニタリング検査を要請した福島や宮城など7県の牛肉を、当面、給食の食材として利用するのを控えるべきだ。横浜市はいち早く産地別の対応をとった。

 この他にも、認証保育所入所者への保育料補助の陳情や保育園民営化に関する陳情なども議論が交わされ、私ももちろんそれぞれで発言しましたが、それらについてはまた別の記事として今後、考えを発信してまいりたいと思います。

 とりいそぎ、今日の委員会での放射能関連陳情をめぐる発言抄録でした。


(注1)『朝日新聞』2011年7月20日38面




江戸川区議会議員 木村ながと
公式HP http://www5f.biglobe.ne.jp/~knagato-gikai/
ブログ http://blog.goo.ne.jp/knagato1/
ツイッター http://twitter.com/#!/NagatoKimura

被災地の動物を支援するAll For One Animal

2011-07-17 01:02:50 | 地方自治
 昨日から震災ボランティアの話題が続きますが、今日は私の知り合いの西葛西の熱帯魚屋さんをリーダーに、取り組みの始まった、震災ボランティアの活動をご紹介したいと思います。

 会の名前は「All For One Animal」です。立派なホームページとブログがあり、設立の経緯や活動報告がそちらに詳しく綴られています。

 詳細はどうか公式サイトをご覧いただきたいのですが、All For One Animalのスタートは、被災地での支援がどうしても二の次になってしまっているペットなどの動物たちを救い、その飼い主を支援することはできないか、という問題意識にあったようです。そして、そうした動物の支援に腰を上げたのが、各地のペットショップ等でプロとして活躍していた動物専門学校の卒業生たちだったというわけです。

 リーダーは西葛西駅近くに店を構える熱帯魚専門の「アクアショップ Dino ディノ」(東京都江戸川区西葛西3-14-3)の日野義久さんです。私もこちらで水槽のエビくんたちを購入したりと、もともとご縁のある知人です。

 もっとも震災後に日野さんが店をそっちのけでこうした取り組みを積極的に進めているとは知りませんでした。6月になって、日野さんから災害派遣等従事車両証明書の件で問い合わせがあり、初めて知ったという次第です。

 震災後、すでに数回、交通費も自腹で被災地へ赴き、ペットフードの配布やトリミング、シャンプーなどをしてきているといいます。こうした震災の際、人の支援が優先されるのは仕方ないとしても、助かったペットを抱える被災者にしてみれば、そのペットたちも実は家族同然です。周囲から白い目で見られながらも、ひっそりと目立たぬようにペットに餌をやり、愛でる光景は容易に想像できます。

 不足しているペットの餌を供給したり、汚れた体を洗ってやるばかりではないようです。

 震災によって被災地の動物たちもかなり精神不安定になったようで、各地でペットが落ち着かなくなったという話を聞きます。そうした際に、動物の専門家がいれば、やたら吠えたり鳴いたりして仕方ない犬を鳴かなくさせたりすることができるようです。こうしたボランティアの存在は、被災動物という光の当たらなかった部分に手を差し伸べる、頼もしいものであると思います。被災地で必要とされていることは間違いないでしょう。

 日野さんの話を聞いて、すっかり感心してしまいました。All For One Animalのみなさんの活動には、今後も声援を送りたいと思います。




江戸川区議会議員 木村ながと
公式HP http://www5f.biglobe.ne.jp/~knagato-gikai/
ブログ http://blog.goo.ne.jp/knagato1/
ツイッター http://twitter.com/#!/NagatoKimura

被災地ボランティアの減少

2011-07-16 23:01:15 | 地方自治
 被災地ボランティアの減少が深刻なようです。

 ゴールデンウィーク後のボランティアの減少と人手不足が指摘されていましたが、7月2日の朝日新聞(夕刊)の記事によりますと、その人手不足が裏付けられたかたちです。

 同記事のリードには「東日本大震災から3カ月半の間に、岩手、宮城、福島3県の市町村の災害ボランティアセンターを通じて活動したボランティアは延べ約48万3千人で、阪神大震災の約4割にとどまっていることが、全国社会福祉協議会のまとめでわかった。阪神では、同時期に約117万人が活動していた。」とあります。

 なぜなのかは、私にもよく分かりません。しかし、指摘されているような、人々の「無関心」のせい、とばかりにも単純には言えないのではないかと思います。私なりの感じている人手不足減少の理由は次のようなものです。

 一つには、長引く不況の中ですでに人々が生活に余裕がない経済状況下にあったという点です。この点は、阪神淡路大震災時と比べると大きな違いだと思います。例えば、阪神大震災と今次の震災との日経平均の株価だけを比べてみても、国の経済力の差は一目瞭然です。午前5時に発生した阪神淡路大震災のあった当日の日経平均の始値はなんと1万9322.46円もあったのです。およそ今の倍近い株価です。今は9000円台後半で、円高も手伝い、景気は長期のヘロヘロ状態です。被災者の方々が直面されている惨状を前にこうした表現をするのはためらいもありますが、そもそも震災前から国民全体が慢性的な生活に余裕のない状況下にありました。阪神淡路大震災の発生によって約半年間、株価は下落していきましたが、それでも底をついた95年8月の日経平均は1万4000円台でした。

 もう一つには、大変皮肉なことだと思うのですが、阪神淡路大震災時のボランティア活動とその課題に対する記憶と経験値があるだけに、たくさんのボランティア活動をめぐる規範や能書き(「能書き」と書くと悪いことのように聞こえてしまいますが)が周知されてしまったということでしょうか。例えば、「ボランティアに行くなら、自己完結型で装備していくこと」「思いつきの単身ボランティアではなく、なるべくグループでいくこと」といったボランティア活動のお作法が周知されたことで、二の足を踏んでしまっている人がいるのではないかと思われる、ということです。阪神の経験でボランティア活動の課題が明らかとなり、よりよいあり方が広く理解されるようになったという点では確かに進歩なのです。よいことなのです。しかし、そのことがボランティア活動参加のブレーキとなっているとしたら、どのように評価したらよいのでしょうか。戸惑ってしまいます。私の思い過ごしかもしれませんが。

 さらにもう一つは、明らかに福島第一原発事故による放射能漏れの影響です。放射能に対する心配がボランティアに参加しない人を作り出してしまっていることは、間違いありません。私が先月ボランティアに行く時に、友人から冗談ながらも「戻ってこなくていいよ、汚染されてるだろうから」と言われたことがありました。よく考えれば、笑えない冗談です。

 大勢の市民の力で成り立つボランティア活動は、一人の先導や努力でどうなるものでもありません。お互いに善意を広め、積み上げていくしかないのだと思います。

 私の所属している習志野レスキュー・サポート・バイクも、今月は会員の都合がつかず、被災地へのがれき撤去派遣の日程が組めなかったので、偉そうなことはひとつも言えません。

 それでも、来月以降も、また現地へ赴きボランティア活動に参加していきたいと思います。

 私自身の取り組んでいる「車を被災地へ寄付する活動」も引き続きよろしくお願いいたします。車の買い替えなどで、まだ乗れる、でも廃車してしまうという車がお手元にある皆さんは一言お声掛けいただければ、現地の被災者の方々に車を寄付できるよう手配をしたいと思います。どうぞ遠慮なく、ご連絡ください。




江戸川区議会議員 木村ながと
公式HP http://www5f.biglobe.ne.jp/~knagato-gikai/
ブログ http://blog.goo.ne.jp/knagato1/
ツイッター http://twitter.com/#!/NagatoKimura

九電「やらせメール」問題と電力の自由化

2011-07-09 01:38:50 | 地方自治
 7月6日に発覚した、九州電力の玄海原子力発電所をめぐる「やらせメール」問題は国内で揺れる原発問題をさらに複雑なものにしたように思われます。ストレステストの導入で原発再開の時期を二転三転させ定まらない政府の対応とあわせ、原発政策、電力政策はどこに向かっていくのかまだ見極めきれません。電力株もさらに急落したようです。まさにあらゆる点で原発問題は混迷を極めていると言えます。

 今回の九電「やらせメール」事件は内部告発によって明らかになったそうです。「九電やらせメール:番組前に関連会社社員から内部告発

 内部告発をした、勇気ある当該社員には、大きな拍手を送りたいと思います。公益通報者保護法という法律が2006年から施行されていますが、それでも現実には、内部告発をすることで通報者はいじめや左遷など大きなリスクを背負う可能性があります。「いじめや左遷ではない」と雇用主が主張すれば、見解の相違をめぐって、司法で争わねばなりません。元の仕事環境に戻れるかどうかわからないリスクを考えれば、今回の通報も本当に立派な決断です。

 さて、やらせメール問題はさっそく九電社長の去就にも影響してきています。当然でしょう。今のところ、辞任か否かはよくわからないようですが、個人的には、問題の経過を内部調査し、国に報告を終えたところで経営責任者は即辞任すべきと考えます(今日、明日に即辞任でもよいかもしれません。調査は次の社長が取り組むという方法もあります)。

 そうでなければ、不祥事を起こした組織として対外的な信頼回復は望めないでしょう。社長個人が関与しようがしまいが、関係ありません。組織の倫理のあり方として決すべきことです。もっとも私は株主ではありませんので、あとは企業関係者の皆さんで決めていただくことです。

 さて、何がそもそも問題だったのでしょうか。「そんなのあたり前」と言われてしまいそうですが、「では、なぜあたり前なの」と言われると、案外、説明するのに考えてしまうものです。

 別に難しいことではありませんが、あらためて文字にしてみたいと思います。

 やらせメールが寄せられた番組は、経済産業省が玄海原発の安全性を県民向けに説明する地元ケーブルテレビの番組(6月26日放映)だったそうです。そもそも、原発政策を推進する立場の経済産業省が主催する番組というところに意図的なるものを感じざるを得ませんが、この「そもそも論」はとりあえず横に置いておきます。

 そして、この番組に参加できる人数には限りがあったため、玄海原発を再開させたい九電は、やらせメールのさくら投書で「原発再開を望む一般人がこんなにたくさんいるだよ」観を演出することを思いついたようです。

 本来、こうした一般からの声を募る投書やアンケート調査などでは、できるだけ、偏った母集団からの意見の集中がないことが期待されています。実施者が基本的に答えの回収作業にも関与するアンケート調査では、アンケートの調査対象を選ぶところで偏りがないよう注意を払います。アンケート調査の公平度において信頼性を保つためです。

 しかし、一般からの声を募る投書の場合は、実施者が対象を抽出することができません。今回のケースで言えば、テレビ局はどんな人が投書したり、メールを送ってくるのかまでは分かりませんし、送られてくるメールの受信を選ぶこともできません。九電がしたように「疑われないよう、自宅から送信するように」などといった小細工までされてしまえば、なおさら防御のしようがありません。世論の声を無作為に伝えたはずの番組の信頼感は大きく損なわれました。経産省も顔に泥を塗られてしまいました。

 九電がしたことは、つまり、作為的な情報操作、世論操作という倫理違反です。

 では、なぜ九電は世論操作をしたのでしょうか。いえ、もう少し普遍的に、世論操作をするということはどのような状況なのか、について考えてみたいと思います。

 私は、世論操作をしたがる組織の置かれている状況にはある一つの共通点が存在すると考えています。それは、世論操作の実施者は、政治においても経済においても、常に社会主義的な(つまり、自由主義的競争原理の機能しない)状況下における支配者の地位にあり、なおかつその支配者的地位にあることやその運営方法が批判されている場面にある、ということです。

 具体的に見てみましょう。日本の電力会社は地域ごとに分かれていますが、各地域においては発電でも送電でも独占企業という状況にあります。日本の電力業界というフィールドだけを観察すると、そこは社会主義経済で支配されており、自由競争は許されていません。(インフラ整備の整っていない発展途上にある国家であるならともかく、今の日本で競争原理の働かない電力業界が本当にこのままでいいのでしょうか。)

 きっかけは福島原発事故でしたが、原発のあり方から電力の自由化の問題まで、電力業界をめぐる多くの問題が議論されるようになりました。安寧としていられた独占企業(九電)が、突如、その支配的地位に危機感を感じ始めました。倫理を忘れ、情報操作に走るという愚を犯してしまいました。

 政治の例はどうでしょう。例を挙げるまでもないかもしれません。社会主義国などの全体主義体制や軍部や一族あるいは宗教者による独裁国家においては、平時、その支配的地位はおそらく絶対的なものとして「安定」しているのかもしれません。しかし、社会や民衆の不満が鬱積してくれば、やはりやらせやさくらで世論を操作しようとします。「民衆よ、私を信任する声がほとんどだよ」と。

 基本的に、社会主義国や独裁国家においてはメディアも官製ですし、えてしてそうした国家では内務省や警察による取り締まりが厳しいため、やらせやさくらを批判する前に、あきらめのムードが通常は支配的なのかもしれません。今年、チュニジアに始まった中東の一連の民主化ドミノはそうした民衆の批判が爆発したものなのでしょう。

 いずれにしても、情報操作をしたがる者はそのフィールドで独占的にふるまうことが約束された独裁者たちばかりです。自由競争が保障されていなかったばかりに(注1)、愚かな電力会社が情報操作という倫理違反を犯してしまいました。情けないことです。

 私は、今回の「やらせメール」問題と、情報操作、世論操作に走った九電の失態を見、単なるトップの辞任問題だけでは終わらない、インフラ整備の整った現代日本においてはたして各電力会社の独占経営が許されていてよいのか、競争原理の働かない業界は不健全ではないのか、という問題をあらためて考えました。

 脱原発を支持するとかしないといった問題ではなく(私は脱原発論者ですが)、まず、業界における健全な競争原理がはたらくように、電力業界の自由化も同時に進めるべき課題と声高に申し上げたいですね。

(注1)競争原理がはたらくようにすれば、やらせが完全になくなるとは申しません。なくらないないでしょう。ただ、競争原理が機能する装置にしておけば、やらせという倫理違反を犯すことが競争相手との勝負で不利に働くという危機感を持たせる可能性はあります。やらせなどの小細工に走る前に、市場での競争に勝つことに力を注がざるを得ないでしょう。やらせに走る愚は多少は減るものと理解しています。




江戸川区議会議員 木村ながと
公式HP http://www5f.biglobe.ne.jp/~knagato-gikai/
ブログ http://blog.goo.ne.jp/knagato1/
ツイッター http://twitter.com/#!/NagatoKimura

不採択意見書

2011-07-05 17:12:16 | 地方自治
 今日、午前中の常任委員会が終了した後、午後一番で議会運営委員会理事会が開かれました。今日の議題の第一は各会派から提案されていた、国などに要望というかたちで訴えかける意見書案の協議でした。

 とは言っても、私は議会運営員会の委員でもなければ、理事でもないので、直接出席していたわけではありません。

 しかし、今回、原案としてそのたたき台を私が執筆していた意見書案がありましたので(「民主・ネット・えどがわ」「みんなの党」にも推敲してもらい、「無所属クラブ」を加えた共同提案というかたちで提出)、私としては今日の協議の結果が気になっておりました。

 意見書案の内容は、放射線量調査の実施を国に求めるというものです。

 ですが、残念ながら、結果は没。「民主・ネット・えどがわ」「みんなの党」「日本共産党」からは賛意が示されたようですが、「自由民主党」「公明党」からは理解を得ることはできなかったようです。

 苦労して仕上げた意見書だったので、トホホ…です。まぁ、これでめげてる場合でもありませんが。

 せっかくですので、日の目を見ることのなかった不採択意見書ですが、ここに掲載させていただきます。


------------

国に環境放射線量調査の実施を求める意見書(案)

 3月の福島第一原発における事故以来、東日本を中心とする全国各地で放射能汚染をめぐる深刻な懸念の声が出続けており、最近では放射性プルームの現象による「ホットスポット」の話題がその懸念に拍車をかけています。

 この間、空間線量検査に積極的に取り組む自治体がある一方で、検査の実施に消極的な自治体もあり、その対応は自治体ごとにバラバラに分かれています。同一の広域災害をめぐる、こうした自治体間の不統一な対応が、住民の不安を増幅してきた点は否めません。

 福島原発の事故は国難に値する広域的かつ長期的災害です。政府として、放射能をめぐるさまざまな課題について、国民を守るための統一した具体的策を法的に実施する必要があります。一般公衆が直面している放射能汚染の課題の中には未対応の部分も多く残されており、以下の具体策を強く求めるものです。

① 全国の指定地方自治体に対し、環境放射線量調査を定期的かつ継続的に実施するよう義務付けること。その際、検出された測定値の外部攪乱要素を最小限に留めるため、自治体職員でも分かりやすい測定実施マニュアルを作成、配布すること。

② 線量調査実施に要する経費については国が全額負担すること。また、独自の判断で調査を先行実施してきた自治体が負担してきた経費についても国が全額補てんすること。

③ 線量調査の実施により、年間推定被ばく線量が国際放射線防護委員会(ICRP)勧告に規定されている限度値1ミリシーベルト以上と予測された場所については、さらに詳細な調査を実施する措置を義務付けること。

④ 線量調査の実施とあわせて、国民の不安に対する具体的解消策の一つとして、国が一般にも分かりやすい、放射性物質のスクリーニング(汚染検査)および除染についてのマニュアルを作成、配布し、ホームページなどで広く国民に広報すること。

 江戸川区議会は、国に、環境放射線量調査の実施を自治体に義務付ける措置を講ずるよう強く求めるものです。

 以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出いたします。

平成23年7月  日
江戸川区議会議長


内閣総理大臣
厚生労働大臣
文部科学大臣
農林水産大臣
経済産業大臣 宛て

------------




江戸川区議会議員 木村ながと
公式HP http://www5f.biglobe.ne.jp/~knagato-gikai/
ブログ http://blog.goo.ne.jp/knagato1/
ツイッター http://twitter.com/#!/NagatoKimura

これって広義の「天下り」では?

2011-07-01 08:38:01 | 地方自治
 2~3日前のことになりますが、環境促進事業団(江戸川区の公園管理を担っている組織)の担当職員から、民法改正に伴う同事業団の公益財団法人化に際しての人事案件について説明がありました。

 公益法人化そのものは、2006年に始まる公益法人制度改革に則り、手続きが進められているものです。

 今回の移行措置の中で、人事をめぐり、いわゆる「天下り」と判断されても仕方のない事例がありました。江戸川区ではこれまで、皆無だったとは申しませんが、天下りの事例は国や都のそれに比べると、はるかに少なく、議員としてもこの点を誇らしく思ってきたところです。しかし、今回の人事案件は、それだけに、「なぜ?」という残念な思いです。

 平成11年に現在の区長が就任して以来、時代のニーズを終えた土地開発公社、区民施設公社といった外郭団体は順次廃止されてきました。これらの外郭団体は決して天下りの受け皿組織となっていたわけではありませんが、それぞれの廃止は的確な判断であったと賛同してきたところです。そして、今回、公益法人制度改革により区最後の外郭団体である環境促進事業団も解散に向けた移行措置に入っているわけです。

 しかし、そんな中にあって、今回の公益財団法人移行後の役員の案は残念なものでした。

 問題の部分は、4名の理事の選任です。4名の中の一人は外部の人、一人は現役の職員で、これはよいと思います。しかし、残りの二名のうち、一人は部長級で退職した元行政職員であり、もう一人は10期務めた元ベテラン区議会議員となっています。

 議員が半行政的な職に登用されるのを厳密な意味で「天下り」というのかどうかわかりません。外郭団体ではない、公益法人の職に就くことも「天下り」と呼ぶのかどうかわかりません。しかし、細かな定義は横に置いておくとして、これって、ほとんど「天下り」臭くないでしょうか? 少なくとも広義の「天下り」とは呼べるでしょう。

 この4人の理事を選任したのは環境促進事業団の理事会です。理事会のメンバー構成は、区長、副区長、各部長ら12人の行政関係者です。説明を受けた際、「なぜ元土木部長なの?」という質問をしたのですが、その時の答えは「余人をもって代えがたい」という趣旨のものでした。

「???」

 この説明で世間の理解を得ることができるでしょうか。

 確かに、公園行政には造園などとともに、土木、建設、街づくりなどの専門知識は有用かもしれません。この点をまったく理解しない、というわけではありません。しかし、この就職難の時代、そうした専門技能を持った人材をあえて外に求める努力をしてもよかったのではないでしょうか。

 元土木部長には何の恨みもありません。行政判断では対立する事項もありましたが、人柄はよいと思います。しかし、人柄と公益財団の人事とは別問題です。区民や社会の理解を得られるか、という視点が大切です。

 かの元土木部長は理事長職の候補ということで、月額報酬はなんと68万円!だといいます。現職議員よりも高い報酬です。

 しかし、私にはもう一人の、元区議の話のほうが同じ議会人としては残念でした。といいますのも、元同僚(というより、先輩ですが)議員がこうした役職を受けたという点です。

 行政の天下りを批判すべき立場にあったであろう人が、立場が変われば、こうも簡単に行政の有償ポストを受け入れてしまうのでしょうか。個人的にもお世話になった先輩議員で、とても言いにくいのですが、はっきり言えば、失望しました。

 元区議は専務理事の候補ということですが、常勤ではないので、月額報酬は35万円だそうです。常勤でないにもかかわらず、35万円です。この報酬だって世間のサラリーマン給与の平均以上です。

 こんなことでは、時代の趨勢とは逆向きです。今回の理事会の人事案はまことに残念です。

 公益法人移行措置の承認は内閣府または都道府県です。残念ながら、区議会の議案にはなりませんので、議会での賛否はいっさい問われません。(議案としてあがってくれば、迷わず反対。)東京都が8月に承認するかどうかの決定をするということです。

 4月末の選挙で大量得票をした区長ですが、こういう行政運営をしていると、区民の信頼は見えないところで少しずつ失われていくと思います。議員を除けば、表立って指摘する人は確かに少ないでしょう。しかし、逆に言えば、理事に就任予定のご当人たちは除いて、いったい何人の人がこの人事案を心底「素晴らしい」と歓迎しているでしょうか…?




江戸川区議会議員 木村ながと
公式HP http://www5f.biglobe.ne.jp/~knagato-gikai/
ブログ http://blog.goo.ne.jp/knagato1/
ツイッター http://twitter.com/#!/NagatoKimura

年間の推定被ばく線量の計算式について

2011-06-30 01:02:30 | 地方自治
 先週、東京都実施の放射性物質の線量調査を受けて区のホームページにアップされた計算式について、あらためてみてみると、ちょっとわかりにくい点があるなぁと感じました。

 問題のページは6月20日にアップされた「推定被曝線量(年間)算出方法 」というページです。間違いではありません。「今回の計算では、観測地点における自然放射線量のうちの外部線量を含んだ計算としました。」と、計算値の条件も注意書きされています。

 しかし、いっぽうで、「東京都による空間放射線量の測定結果(6月18日東京都実施)について 」のページには「(注釈)東京都福祉保健局から示された積算量の推計式により、自然放射線量0.05マイクロシーベルト/時を差し引いて計算しています。」とも記されています。

 ちょっと分かりにくいですね。

 国際放射線防護委員会(ICRP)勧告の年間推定被ばく線量の限度値1ミリシーベルトと同条件ですぐに比較できるように、自然被ばくによる日本の平均値0.05を差し引いた計算式だけを説明してくれたほうが、混乱がないと思います。

 そこで、あらためて6月29日に「推定被ばく線量(年間)算出方法」というページがアップされたのではないかと思います。こちらの計算式の説明のほうがずっとわかりやすいでしょう。

 毎時χマイクロシーベルトという値から年間の推定被ばく線量を算出する場合には、みなさんも「推定被ばく線量(年間)算出方法」にアップされている次の計算式で考えたほうがよいと思います。

 (測定結果-自然放射線量0.05)×(8/24×1.0+16/24×0.4)×24時間×365日

 このほうが分かりやすいでしょう。

 ちなみに、「測定した場所に8時間、その場所の木造家屋内に16時間居る」という仮定と「木造家屋内滞在における被ばく低減効果を60%(係数0.4)」という仮定を数式にした部分、つまり(8/24×1.0+16/24×0.4)は、実は、常に0.6となります。ですので、この部分を0.6と記憶しておけば、数式は次のように単純化できます。

 (χ-0.05)× 0.6 × 24時間 × 365日

 これで、すぐに年間推定被ばく線量の値が算出できます。




江戸川区議会議員 木村ながと
公式HP http://www5f.biglobe.ne.jp/~knagato-gikai/
ブログ http://blog.goo.ne.jp/knagato1/
ツイッター http://twitter.com/#!/NagatoKimura

江戸川区実施の空間放射線量調査の結果と評価

2011-06-29 23:50:24 | 地方自治
 6月27日、28日の両日にわたり実施されてきた区内19カ所における大気中の線量調査結果が、今日(6月29日)に公表されました(「区内における放射線量の測定結果について」)。今回の区の調査は、計測地点を2キロメートルメッシュで区切っており、先週実施の4キロメートルメッシュ区切りの都調査よりは、測定地点数においても拡充されました。ちなみに、一カ所ごとの測定地点はそれぞれ3カ所程度をピックアップしていますので(例えば、同じ施設であっても園庭、木陰、砂場など)、実際の測定地点は69地点となります。

 さて、その気になる結果です。

 各測定地点において、都調査の時と同様、地上1mと地上5㎝での測定が行われております。基本的に、放射線物質は地面に落ちていきますので、地上に近いところの測定値が高く出るのが自然です。ですので、とりあえず、より高い値が検出されやすい5㎝のほうの測定結果に注目したいと思います。(案の定、最大値は地上5㎝の地点で観測されていますし。)

 最大の測定値が観測されたのは、鹿本幼稚園と南小岩保育園における0.22マイクロシーベルト毎時(μSv/h)です。この値を、国際放射線防護委員会(ICRP)勧告に規定されている年間推定被ばく線量の限度値1ミリシーベルト(mSv)と比較しやすいように、年間の被ばく線量の推定計算をしてみます。

 計算式は「推定被ばく線量(年間)算出方法 」に分かりやすく説明されています。そのままここにも貼り付けます。以下の計算方法になります。


【測定結果から1年間の積算線量を推計する場合の条件】
○ 自然放射線量を全国平均値0.05マイクロシーベルト/時と仮定
○ 測定した場所に8時間、その場所の木造家屋内に16時間居ると仮定
○ 木造家屋内滞在における被ばく低減効果を60%(係数0.4)と仮定

【1年間の積算線量を推計するための式】

(測定結果-自然放射線量0.05)×(8/24×1.0+16/24×0.4)×24時間×365日

(注)1000マイクロシーベルト=1ミリシーベルト


 よろしいでしょうか。では、上記の0.22マイクロシーベルトを当てはめてみます。

 (0.22-0.05)×(8/24×1.0+16/24×0.4)× 24 × 365 = 893.52マイクロシーベルト(μSv)

 893.52ですが、ビックリしないでください。単位はマイクロシーベルトですので、ミリシーベルトにそろえなければなりません。1mSv(ミリシーベルト)=1,000μSv(マイクロシーベルト)ですので、893.52マイクロシーベルトは0.89352ミリシーベルトとなります。区のホームページでは小数点第3以降を四捨五入していますので、0.89ミリシーベルトと記載されています。

 結果、鹿本幼稚園と南小岩保育園では相対的に高い数値が検出されていますが、ICRP勧告の限度値以下ということです。あまり過度の心配をしなくても大丈夫な価であると言えるでしょう。

 ついでですので、私の西葛西の自宅の近くの、しばしば訪問している西葛西中学校での測定最大値0.14マイクロシーベルト毎時(μSv/h)についても、年間の推定被ばく線量を算出してみたいと思います。

 (0.14-0.05)×(8/24×1.0+16/24×0.4)× 24 × 365 = 473.04マイクロシーベルト(μSv)
                             = 0.47304ミリシーベルト(mSv)
                             ≒ 0.47ミリシーベルト(mSv)

 このようになります。とりあえずは、即健康被害がると言われるような数値ではないようです。

 ただ、放射線物質は存在する限り、有害な物質です。同時に、地球上に生活する限り、大地から自然放射線を年平均でも1~2ミリシーベルト受けざるを得ないという事実もあります。現在観測されているデータを認識し、今後もアンテナも張りつつも、ストレスをためてしまうほど過度に不安視せぬよう、これからも測定値に注意を払っていきたいと思います。


※このブログを書いたころは、私自身、上記のような考えを示しています。ですが、放射性物質汚染に対する私の考え方は、ブログ記事「『安全宣言』と『危険宣言』はともに慎むべき」を記したころより、変化してきました。現在はパターナリズム的なスタンスには反対です。




江戸川区議会議員 木村ながと
公式HP http://www5f.biglobe.ne.jp/~knagato-gikai/
ブログ http://blog.goo.ne.jp/knagato1/
ツイッター http://twitter.com/#!/NagatoKimura

区内の空間放射線量について

2011-06-24 23:46:49 | 地方自治
 みなさんの最大の関心事の一つが、今自分が住んでいる地域の放射線量ではないかと思います。いわゆる「空間放射線量」です。

 しかしながら、わが江戸川区、福島の事故以来みなさんもイライラしながら不安に駆られてきていたと思うのですが、行政の腰が重いこと、重いこと。

 確かに、当初、各地で素人の職員さんが(専門家が少ないので、素人であることを非難することはできません)あたふた測定するものだから、数値に統一性が欠け、かえって混乱を招いてしまったきらいは、なくもありません。区の判断は、それを懸念してのことだ、ということでした。

 しかし、どうでしょう? 私は逆に測定しないことで、つまり安心するための客観的データがまったく提供されない状況が何カ月か続いてきたことで、かえって区民の放射線量に対する不安が増幅してきてしまったように思われるのです。違いますかね?

 やはり、住民が不安に思うなら、できるだけ測定しべきです。そして、速やかにデータを公表しることが大切です。これが情報公開時代にふさわしい、情報提供制度というものです(注1)。

 しかし、ここにきてようやく各行政側に動きが出てまいりました。すでに区のホームページをチェックされた方や報道などで確認された方も少なくないと思いますので、簡単に記しておきます。

 まず、先週来、東京都が約100カ所で線量測定を行いました。江戸川区内では6月18日に、そのうち4カ所で測定されております。

 それぞれ地上5㎝と1mで測定しておりますが、これらの測定値の単位はマイクロシーベルト/h、つまり1時間あたりのマイクロシーベルトです。ですから、法律などで取り上げられている限度の年間の被ばく線量とは単位が異なりますので、推定換算しなければなりません。一喜一憂するのは単位を換算してからにしましょう。(都の測定結果は「東京都による空間放射線量の測定結果(6月18日東京都実施)について」で確認できます。)

 では、推定される年間被ばく量の計算方法は? 基本的には、ある測定値が観測された定点に、24時間365日、人がい続けるということは考えられません。ですから、人が屋外にいると思われる時間や屋内にいると思われる時間を推定し、観測された値にその時間をかけて、年間被ばく量の値を推定するのです。区では次のような計算方法を採用したようです。

 年間の推定被曝線量=365日×(計測値×8時間+計測値×0.4×16時間)

 あくまでも推定値です。これをさらに辛口に推定することも、甘く推定することもできます。例えば、外にいる時間をより長く仮定すれば、当然被ばく量は増えます。

 ただし、専門の放射線医学総合研究所などでも同様の条件を仮定して年間被ばく量を推定していますので(「放射線被ばくに関する基礎知識 第6報」)、私は、基本的に専門家による科学的裏付けのある無難な計算方法である考えます。

 それでは、気になる、そこから計算された推定年間被ばく量は? 地上5㎝と1mの観測地点それぞれの最高地点における推定被ばく量です。地上5㎝のところで0.79ミリシーベルトで、地上1mのところは0.68ミリシーベルトです。

 0ミリシーベルトではないので、もちろん無害とは言えませんが、放射線障害防止法がいうところの年間被ばく線量の限度の1ミリシーベルトよりも低い値ですので、過度に心配する必要はないようです。日本に住む限り誰もがどうしても浴びてしまう自然被ばくが1.5ミリシーベルトあることを考えれば、あまり神経質になって心配を募らせるのも、かえってよくありません。

 さて、以上は東京都が先週、実施した空間線量測定です。都調査では江戸川区内の測定カ所はわずかに4カ所だけでした。区民や議会から、区も独自に線量測定をすべきだ、とずいぶんと要望されてきました。9万5000人以上の子どもたちが住む江戸川区です(注2)。保護者の方々を中心とした区民の心配は自然なことと理解できます。

 そうした声がようやく届いたということでしょうか。区も独自に線量測定をするという方針を今日(6月24日)、ようやく示しました(「区内における放射線量の測定について」)。遅い決断でしたが、原発事故による災害が収束していない以上、やらないよりはずっとよいことです。

 今回発表された実施方法では、6月下旬から7月上旬にかけて「小・中学校、保育園、幼稚園、公園など19か所で測定」するということです。測定カ所はまだ少ないようにも思われますが、順次、拡充していくことを望むところです。また、速やかな測定結果の公表と分かりやすいデータの説明も欠かせません。



(注1)一口に情報公開制度といっても、そこにはいくつかの性質別の類型があります。諸説あるようですが、一般に、①法令や例規に基づく情報開示請求制度(「子どもの内申書を見たいから公表して」と開示請求するケースなど)、②法令や例規に基づく情報公表義務制度(すでに法律や条例によって、例えば入札結果を公表することになっており、それに基づいて公表されるケースなど)、③情報提供制度(特に法的義務はないけれど、広報などを通じ「区民検診を実施します」「ダンスサークル○○が会員募集します」などの情報サービスを提供するケースなど)、があると言われます。

(注2)「子どもたち」とは0~14歳までの年少人口のことを指します。平成22年度のデータによると、区内の年少人口は95347人です。




江戸川区議会議員 木村ながと
公式HP http://www5f.biglobe.ne.jp/~knagato-gikai/
ブログ http://blog.goo.ne.jp/knagato1/
ツイッター http://twitter.com/#!/NagatoKimura

科学が沈黙してしまうとき・・・

2011-06-23 04:13:14 | 地方自治
 先日(6月20日)、江戸川区健康部が区管理職級以上の職員と議員を対象に、放射線の専門家による研修会がありました。講師を務めた専門家は昨今、メディアでしばしば登場する放射線医療専門の中川恵一氏でした。

 みなさんの中でも、中川氏の見解や意見を新聞などでチラホラご覧になっている方も多いことと思います。ですので、放射線医療の専門家としての中川氏の講演内容をここに転載する意図はありません。また、講演内容は同氏いわく『放射線のひみつ』に書いてあることと同様だということでした。ご興味のある方はお読みになるとよいでしょう。私はコンパクト版しか持っていませんが・・・。感情的にではなく、放射線について実証的または科学的に理解したいという方にはお勧めです。そもそも原発に関する本ではまったくありませんし、原発に賛成の人も反対の人も、放射線というものに関する科学的な知見は備えておいて損はないと思います。

 さて、私はここに専門家による放射線の評価について展開する意図はないと申し上げました。と申しますのも、実際のところ、私は放射能についても放射線医療についても門外漢ですので、数字をつらつら並べて力説するには決して適任者とは言えません。私がかりに「何ミリシーベルトは危険だ、安全だ」と語ったとしたら、それは受け売りにしかすぎません。私に限らず、学生時代に原子力物理でも専攻していないかぎり、ほとんどの議員や政治家による原子力や放射能に関する昨今の「危険だ、安全だ」といった意見は専門家の見解の「受け売り」であるはずです。

 もっとも、受け売りが悪いとは申しません。原子力や放射能について語れる人は限られています。ゼネラリストたる政治家には、どんなに専門的な問題であっても、意見や判断を求められることが少なくありません。専門家から学ばざるを得ません。私はただ、政治家が放射線量について数字を取り扱ったり、評価するのはあまり適任ではないと申し上げているだけです。

 さて、私は今「受け売り」と申し上げてきました。専門家の示す数字をそのまま引用することは文字通り「受け売り」ですから。

 ところで、放射線量の値については、数字単体としてはあまり意味がありません。少なくとも、放射能の専門家以外の、私たち一般人にとっては、です。問題となってくるのはその数字をどのように評価するかという解釈の行為が行われたときです。

 例えば、一般公衆の年間被ばく限度の閾値(しきいち)は1ミリシーベルト(注1)なのか、10ミリシーベルトなのか、あるいは20ミリシーベルトなのか。この数字をめぐる疑問に対して評価または解釈がなされたとき、私たち一般人ははじめて大きな関心を持ち、数字に大きな意味が生じてきます。

 ある人は「1ミリシーベルトでも危険だ」と語るでしょうし、またある人は「1ミリシーベルトでは危険だとは評価できない」と語るかもしれません。ラドンのような放射能泉を例に「○○ミリシーベルトくらいならむしろ安全とさえ言える」という解釈も飛び出してくるかもしれません。(注2)専門家の間でもいろいろな評価があるようです(2011年3月25日開催の第373回食品安全委員会)。

 専門家がそれぞれの科学的知見を駆使し、数字に対するある評価や解釈を下すと、今度はそれをメディアが取り上げます。政治家も反応します(私も含め)。専門家の各評価を参考とし、その政治家の主観というフィルターを通し、その政治家の「解釈」がそこから開陳されていくわけです。

 ここで注意すべきは、それら閾値に対する評価や解釈は、専門家による分析評価に比べ、科学的純度の劣った素人の「解釈」だという点です。

 この点をもう少し補強しておきましょう。メディアは視聴率を意識しないわけにはいきません。美談や無難さを報じてもニュースとしてはインパクトが足りません。「ここではこれだけ測定できました! 政府の言う通りで本当に大丈夫なんでしょうか!?」と。ですから、メディアにとっての閾値は低い方が都合がよいでしょう。どちらがニワトリでタマゴなのかはわかりませんが、放射能の危険性は誰しも知っているため、社会的風潮としても閾値を上げることには抵抗があります。メディアと私たち一般人とのベクトルはここで一致します。

 政治家にとってはいつでも有権者(一般人)の動きが一番の関心事です。みなが「危険だ、不安だ」と言えば、「ごもっとも」と、閾値を下げようとします。「危険ですよ、不安ですよ、そうですよね」と。自分もそうですが、政治家は常に世間とベクトルを合わせようとします。というより、合わせざるを得ないというべきかもしれません。ある種の職業的運命というか・・・。

 しかし不幸なのは、メディアや政治家が語れば語るほど、科学的評価から徐々に遠ざかっていき、圧倒的な力を持つ社会的風潮の中で、非科学的な答えや解法が模索されようとするということです。

 放射能を不安に思うことがいけないわけでは毛頭ありません。私だって不安がないと言えば、ウソになります。またむしろ、不安に感じるほうが自然と言えるでしょう。放射能は実際問題、とても危険なものです。(人間は自分たちで制御できない原子炉というものを作り出してしまったのです。)

 しかし、そうした不安な見方を持った時こそ、感情で処理してはいけません。感情は理性で制御する必要があります。科学的データが公表された場合には、科学で理解するのです。前述の「解釈」に踊らされてはいけません! ましてや感情で理解するのも間違いです。イメージでもいけません。

 科学という理性で理解し、対処するのです!

 先日の研修会の開始冒頭、中川氏がこう語っていたのが、放射能の中身の話よりも皮肉にも私にとっては一番印象的なひとことでした。

 「放射線をめぐって、ある数値をもってして『安全だ』と語ると、すごい非難を受ける。東電から金をもらっているんだろう、政府の犬、御用学者、云々と。逆に、『危険だ、危険だ』と言えば、ヒューマニストだと評価される。私たちが語っているのは放射線と人体への影響という自分たちの医療の研究成果。原発の賛否など語ってもいないのに、研究成果と無関係に『危険』と語らなければ、言葉の暴力に襲われる。もはやわれわれ研究者は語らなくなってしまった。」(記憶の中で発言趣旨を綴っていますので、テニオハは不正確です)

 科学が沈黙してしまう・・・。

 社会として非常に不幸なことだと思います。科学は万能ではありませんが、科学者の研究成果の積み上げによって現代社会の多くの部分がつくりあげられてきたことは間違いないと思います。ことに、放射線や医療の研究となれば、その多くが自然科学に負うているはずです(医療においては脳死や輸血などの倫理、思想、宗教と密接な分野もありますので、すべてとは言えません)。

 私は、中川氏の講演を初めて拝聴したという立場で、個人的なお付き合いもありません。あえて無感情に(できるだけ客観的に)言えば、同氏が善人なのか悪人なのかは分かりません。原発に賛成なのか反対なのかもわかりません。(私は明確に脱原発を支持しますが。)政治的スタンスも知りません。ただ、それらは放射線と人体への影響をめぐる氏の医学的研究成果とはまったく関係のないことで、講演で伺った氏の科学的知見には見るべきものがありました。少なくとも、中川氏が科学的数値にきわめて忠実な方であるということは肌で感じられました。

 「何ミリシーベルトが危険だ、安全だ」という、メディアや政治家の「解釈」に踊らされそうになったら、科学的に測定されたデータを科学的に理解することです。ちょっと面倒かもしれませんが、専門家の本を1冊でもよいから紐解き、理解する努力を素人の私たち一人一人もすべきです。

 科学には、科学をもって反論。科学を社会の雰囲気が黙らせるとしたら、それは構造的暴力というものです。「安全?」な基準値が非科学的に「危険」と言われれば、それは冤罪というものです。

 放射能はたとえコンマレベルの微量でも浴びれば健康にはマイナスですので、「安全」という言葉は必ずしも適当とは言えませんが、地球上に自然被ばくのない場所がないという事実を踏まえ、現在観測されている線量値を冷静に受け止める必要があります。

 無論、行政はその判断材料となる線量値を、適切に測定し、速やかに公表する義務があるのは言うまでもありません。



(注1)放射線障害防止法において、一般公衆の年間被ばく線量の限度は1ミリシーベルトとされています。ただし、この1ミリシーベルトには自然被ばくと医療被ばくの値は含まれません。私たちが地球上で日常生活を送っているかぎり、大地からの被ばくを受けます。日本国における自然被ばくは年およそ1.5ミリシーベルトで、海外はそれよりも高くおよそ2.4ミリシーベルトだということです。また、日本人の医療被ばくは年平均で2.3ミリシーベルトということで、逆にこれは海外よりもずっと高いそうです。

(注2)放射線と人体への影響の評価において、実際には人の健康には他の要素、つまり喫煙や食生活などの生活習慣やそもそもの遺伝などの要素があるため、年100ミリシーベルト以下の影響評価は正しく判断できない、と言われています。例えば、100ミリシーベルト以下の被ばくによる危険要因と喫煙による危険要因が共存する場合、どちらがガンのリスクとなっているのかその主要因を客観的に評価はできないということです。


※このブログを書いたころは、私自身、上記のような考えを示しています。ですが、放射性物質汚染に対する私の考え方は、ブログ記事「『安全宣言』と『危険宣言』はともに慎むべき」を記したころより、変化してきました。現在はパターナリズム的なスタンスには反対です。




江戸川区議会議員 木村ながと
公式HP http://www5f.biglobe.ne.jp/~knagato-gikai/
ブログ http://blog.goo.ne.jp/knagato1/
ツイッター http://twitter.com/#!/NagatoKimura

山元町でのボランティア作業

2011-06-20 23:58:30 | 地方自治
 今日の午前1時半に宮城県山元町より無事に帰宅しました。まずはご一報です。

 ボランティア隊の皆さんの純粋な気持ちに感心したり、津波被害の実際を目の当たりにし衝撃を受けたりと、一言でまとめることはとても不可能です。震災から3カ月がたち、ある程度生々しい部分が取り除かれた今(地元の方談)でさえ、初めて訪問した私などにとっては十分な衝撃でした。

 今回ですべてをお伝えすることが困難ですので、何回かに分けてご報告したいと思います。今回はまず、ボランティア作業についてのみ記したいと思います。

 さて、それでは、現地での活動報告を詳細にいたします・・・と申し上げたいところですが、実は、具体的様子をお伝えするのに効果の高い、肝心の、作業の様子をお伝えする写真があまりありません。・・・というか、私が撮れたのはたったの1枚だけです。(作業前に地域の様子の写真は何枚か撮れました。)

 と申しますのは、実際にボランティアに入った場合をご想像いただくとお分かりになると思うのですが、みなさん、被災地の復興支援のために労働に来ている状況です。間違っても観光や視察ではありません。みな作業着のいでたちで、台車、スコップ、バケツ、バール、金槌などを手にしているのです。そんな中、カメラのシャッター音を響かせるというのは、ちょっと場を理解していないというか、もっと言えば、無神経なヤツということになりかねません。

 仕事の開始後は作業が一段落した際に、1枚撮るのがやっとでした。それさえも後ろめたい気がしたくらいです。

 作業現場で一緒になったチームのみなさんにも、自分が議員で、ブログで活動を報告したいから写真を・・・なんて説明などいちいちしません。ボランティアに来ていれば、それぞれの本職は何ら関係ありませんし。 

 ということで、画像が乏しいので、がれき撤去作業に関しては、文章での報告がメインになってしまいます。お許しください。

 私は前日の夜1時に江戸川区を出発し、首都高と東北道を乗り継いで、宮城県角田市(山元町の隣)にちょうど朝6時に到着しました。そこで、習志野レスキュー・サポート・バイク(NRB)の会長である石渡さんと合流し、ボランティアのみなさんが宿泊している宿へ向かいました。宿でみなさんと顔合わせをし、朝食をとって、8時に山元町の社会福祉協議会へと出発しました。

 朝8時半に山元町役場に隣接する社会福祉協議会に到着すると、ボランティアのみなさんが集まり、その日の作業現場や内容の指示を受け、確認していました。そして、それぞれの内容に基づいて台車、スコップ、シャベル、バケツなど、必要な道具を車に乗せていました。





 私たちはタグを組んでいる、現地のボランティア団体 band⇔aid のリーダーの方の指示を受けました。
 
 さて、現場で作業を始める前に「なるほど」と思ったことが一つありました。作業現場に散っていく前に、みんなで準備体操!をしたということです。

 「なるほど」というのは実は事後の感想であって、最初は実は「おやっ」と思ったのです。ただ、作業にとりかかってから、自分たちが取り組んでいるのは結構な肉体労働だということが理解でき、最初の準備体操に「なるほど」と感じた次第です。

 うかがった現場は、正確には分かりませんが、私の推測では海岸線から2キロメートル程度のところでしょうか。津波で床上1メートル程度まで迫った地区のようです。私が行動した100メートル範囲に限って言えば、家々は流されずに残っていましたが、各家の壁にはそれとわかる水かさの跡がありました。

 作業現場近くの写真です。



 3カ月たった今でも、汚泥の臭いが時折、風にのって鼻をついてきました。

 現場では、がれき撤去の作業をしました。もう少し正確に申し上げれば、今回は津波で浸水したお宅の床板剥がしおよびそこの汚泥の掻き出しでした。

 画像がないので、十分にお伝えできませんが、床板剥がしは大きなバールを手に一枚一枚剥がします。こ慣れた手つきの、我が習志野レスキュー・サポート・バイク(NRB)の石渡会長より手ほどきを受け、私も一枚一枚剥がしました。人が住んでいた家ですから、それなりのしっかりした造りです。そう簡単には釘を抜いたり、板を剥がすことはできません。素人には十分大変な作業でした。1時間半くらいは作業していたのでしょうか。複数人で取り組んだので、とりあえず、床板剥がしは無事に終了。でも、ここまでで相当の汗が噴き出ました。また、この日はとても暑い日で、シャツはもちろんパンツまでびっしょりになりました。

 作業現場をお伝えする唯一の画像です! 床板剥がしが完了したところです。

 上の画像の床板を剥がしたその下に汚泥らしきドロが何となく確認できませんか? 実は、次なる作業が、この汚泥の掻き出しでした。

 津波から3カ月たったというのに、この床下の汚泥はまだ十分に湿っており、べっとりとしていました。長靴が必須道具であるワケです。足元やズボンはかなりぐちゃぐちゃになります。

 海岸から2キロほどの距離がありながら、床下の泥の上にカビに覆われた小魚の死骸らしきものがあったのには驚きました。JポップらしきCDジャケットまでありました。汚泥と小魚の死骸とCDジャケットという、通常であれば共存しえないものが、民家の床下の泥の上で不調和なまま共存させられている光景を目にし、災害というものの有無を言わさぬ強制的な力の怖さを感じました。

 作業中は、暑いのと結構大変なのとで、もっともこんなことをゆっくり考えていたわけではありませんが、みなでスコップを片手に泥掻きを黙々と続けました。

 床上浸水などを体験されている方々はよくご存じなのかもしれません。私は自分では体験したことはないのですが、今回の民家の泥を見て気づいたことがあります。汚泥が二層になっているのです。まずは大部分が黒い油のような汚泥で、これがほとんどを占めていました。厚さは1.5センチメートルらいでした。その上に、茶色の通常目にする泥がうっすらを数ミリのふたをしています。

 黒い油のような汚泥は、それこそ上水も下水も油も何もかも一緒になったものなのでしょうか? よく分かりませんが・・・。

 昼過ぎまでこの作業を続け、去年10月に痛めた右手の靭帯がまた痛くなってきてしまいました。参った・・・! 

 この日は熱中症も心配されるような暑い一日でした。(みなさんがボランティアに行かれる際には、これからの季節は特に自身の熱中症対策を万全にとられることをお勧めします。自分が倒れてしまっては、何のためにボランティアに来たのか分かりません。)

 さて、私たち習志野レスキュー・サポート・バイク(NRB)のメンバーの作業はここまでで終了です。早いようでも、これで宿に戻って支度をし、千葉や東京に帰るとなると、到着は夜になります。みな、翌月曜日はそれぞれの仕事がありますので、仕事の切り上げが日曜日半日になってしまうのは仕方ありません。

 私は土曜日の作業に参加できていなかったので、正直、物足りない部分もあったのですが、前日夜中の高速移動で文字通り一睡もしていなかったので、あとで思えば、これで体力的には十分働いたのだろうと思います。

 と申しますのも、帰路の東北自動車道での睡魔たるや尋常ではありませんでした。NRBの仲間には先に帰路を急いでもらうことにし、自分だけは休憩し、ゆっくり帰ることにしました。さすがに自分でも「危ない」と思い、途中で2回の仮眠をいれました。いえ、トータルで実は5時間も寝てしまったので、仮眠というより熟睡してしまったのかもしれません。疲れてましたね~、実際。
 
 さて、東北道に乗る前に、会長の取り計らいで、30分程度、山元町の被害の現場をいくつか案内してもらいました。テレビやYouTubeなどで見ていた現場を目の当たりにしました。被災地を訪れた人が一様に、「実際に見ると、全然違う」と指摘していた意味がわかりました。この件に関しては、また別の記事でご報告いたします。

 話を戻します。ボランティアに来ている方々はいろいろでした。私が話をすることができた方々はほんの一部ですが、毎週末欠かさず横浜から来ている人、10日間も寝泊まりしてボランティアしている人(この方は女性でした)、などなど。この、運動部の合宿のような作業を、毎週末あるいは10日間もするといのは、・・・。ビックリです! 感心してしまいます! 

 そういう方々と話をしていると、ほとんど「別に大変だと思わないし」「楽しいからやっているだけだし」という答えが返ってきます。再度、感心!!

 みんなの純粋なエネルギーにボランティアワークというのは支えられているということを実感しました。また、いろいろなことを考えさせられました。本当に貴重な機会となりました。

 習志野レスキュー・サポート・バイク(NRB)も来月以降も、またボランティア隊を編成するようです。私も都合がつく時には参加していきたいと思います。今回の参加で現場の様子と要領が少し理解できたので、次回はもう少しよい装備で臨みたいと思います。




江戸川区議会議員 木村ながと
公式HP http://www5f.biglobe.ne.jp/~knagato-gikai/
ブログ http://blog.goo.ne.jp/knagato1/
ツイッター http://twitter.com/#!/NagatoKimura

今から、被災地の一つ宮城県山元町へ

2011-06-18 23:50:26 | 地方自治
 取り急ぎのお知らせですが、今から宮城県山元町へ行き、週末を利用したがれき撤去や掃除の手伝いに行ってきます。今回が、私にとっては最初の被災地入りとなります。

 実は先週、習志野レスキュー・サポート・バイク(NRB)の方々にお会いした際、6月18~19日にわたるがれき撤去のボランティア作業のご案内をいただいておりました。

 今日18日は、私がどうしても出席しなければならない会合が地元、江戸川区で夜の10頃までありましたので、私は遅れて今から出発し、すでに今日の昼間、現地入りしているNRBの方々に明け方合流する予定です。

 先週も記しましたが、NRBの方々はすでに何度か被災地入りし、がれき撤去や被災者支援に取り組んでいます。現地のボランティア団体とのコラボもしっかり組まれており、具体的な作業の指示は現地のボランティア団体から受けるようです。

 議員云々として現地入りするわけではありませんので、私もNRBの先輩方のアドバイスを受け、ジーンズ、長靴、防塵マスク、ゴム手袋、水筒持参といういでたちです。

 第一には、微々たるものかもしれませんが、少しでも復興支援の助力になれば、ということです。

 第二には、議員として、あるいは個人として、いずれを問わず、きちんと災害の現場を体感し、防災についてこれまで以上に考えていくきっかけにしたいと考えています。

 明日はネットにアクセスする十分な暇がないと思いますので、週明け、帰宅後にご報告ができればと思います。

 さて、夜間の高速走行で居眠り運転だけはしないようにしないといけません・・・!




江戸川区議会議員 木村ながと
公式HP http://www5f.biglobe.ne.jp/~knagato-gikai/
ブログ http://blog.goo.ne.jp/knagato1/
ツイッター http://twitter.com/#!/NagatoKimura

段階的な脱原発政策へのシフトを

2011-06-15 06:10:09 | 地方自治

 自由民主党の石原幹事長が反原発の風潮を「集団ヒステリー」と評しました。随分と短絡的かつデリカシーのない表現を使うものだなと感じました。原子力推進の立場だったとしても、もっと論理的というか、冷静な語り口があるのではないでしょうか。

 昨今の反原発の動きが「ヒステリー」だというなら、オーストリア、ドイツ、スイスなどの国民をはじめ、ちょうど昨日、国民投票で原発再開凍結の意思表示をした多くのイタリア国民(暫定投票率57パーセントでそのうちの90パーセント以上が原発の新規建設および再開の凍結を意思表示)の動きも「ヒステリー」だというのでしょうか?

 暫定規制値にはほど遠い値の食物を前に「ガンになるから食べない」と言い、食糧の買いだめをしたり、ひいてはトイレットペーパーの買いだめにまで走り回るのは、これはヒステリーと言えなくもありません。

 しかし、昨今の反原発の動きには明確な根拠があります。石原氏は何を見ているのでしょうか?

 福島第一原発の事故の発生来、近隣自治体は壊滅状態のまま、復興作業さえできません。行方不明の遺族の捜索もできません。近隣の第一次産業も壊されました。農業も酪農も放射能汚染で生産活動は止まり、廃業を余儀なくされ、自殺者まで出ています。

 この状況を受けてもなお、反原発の動きが「ヒステリー」だというのでしょうか? これ以上、人が反原発に動くのに十分な根拠はないと思います。

 200~300キロメートル離れた近隣都県でも放射線物質が観測されています(注1)。

 これでも、反原発が「ヒステリー」なのでしょうか?

 いいえ、むしろ、(原子力の科学的利点を自然科学の立場から説くならともかく、)意味不明の原発の「安全神話」なるまやかしの物語を唱導する専門知識とは無縁の推進派や、それをまた疑いの目を持たずに受け入れる国民のほうが「集団」でどうかしていると思います。

 そもそも原発がそんなに安全だと言うなら、なぜ被爆に対する防護服なる物々しい武装が必要なのでしょうか? 子どもでも素朴に感じる疑問です。

 原発は安全でも何でもない、ということです!

 ちょっと乱暴かつ意地の悪いことを言わせてもらえば、原発の「安全神話」を唱える推進者は原発敷地近隣に住民票を移し、終の棲家としてそこで生活する範を示すべきだろう、と感じます。

 でも、推進者の誰もそんなことはしないでしょう。当人だって原発が安全でないことぐらい分かっているだろうし、原発が「安全」であるということが事実とは異なる、まさに「神話」であることを知っているわけです。

 推進派の立場にある人は、原発が「安全」だから推進したいのではなく、たいてい原子力政策と何らかの利害関係がある状況(電力会社に勤めている、電力会社から政治献金を受けている、政府からまたは電力会社から補助金や利益を受けている、などです。別にそれが悪いとは申しておりません。人それぞれ置かれた状況がありますから。ただ、政治献金がらみのステークホルダーはあまり美しくはありませんね。)に置かれているから推進したいのだろうと思われます。

 私が学生のころの話ですから、ずいぶん前(約20数年前?)になりますが、『東京に原発を』という広瀬隆氏の本が話題を呼んだことがありました。話題を呼んだけれども、書店ではあまり見かけない、読者が増えぬよう電力会社が買い占めたのではないか、などという噂まで流れたのを覚えています(真偽のほどはまったく定かではありませんが)。

 同書をめぐっては反原発の一般読者から賞賛を受ける一方、科学的論拠に基づく冷静な議論が乏しいことから原発推進と反原発の両者から芳しくない評価もあったようです。

 確かに専門的な信頼性は乏しいかもしれません。それでも、同書は、素人が「原発がそんなに安全だというなら、都心にでもつくればいいじゃないか」と言いたくなる部分を代弁してくれた、とは言えるかもしれません。(注2)

 私は、火力、水力のほかに、自然エネルギーによる発電を鋭意進めることで、原発は段階的に廃止していくべきであると考えます。

 風力や太陽光などの自然エネルギーの研究と技術力の向上には時間がかかると思われます。また、原子力の中にはすでに住民合意を得、かつ発災時の事故確率が相対的に低い中で稼働中のものもあります。国民の財産を守るために現状の経済活動を破綻させるわけにもいきません。

 ですから、現状で相対的に危険性が少ないと判断される原発を利用しつつも、火力、水力、自然エネルギーによる発電の比重を高め、そして原発は他の代替エネルギーによる発電比重が増えるにしたがい、段階的に廃止していくのです。

 国民の命を守ることを考えるなら、原発の段階的廃止は自然なことですし、反原発の風潮は「集団ヒステリー」でも何でもありません。生々しいほどの具体的根拠あっての動きにほかなりません。


(注1) 地域によっては3月には農産物から暫定規制値を超える放射性ヨウ素などが検出されました。しかし、5月以降は少しずつ落ち着いてきています。この点は各農産物の生産県のホームページで検査データを確認するなど、みなさんも冷静にとらえてください。

(注2)ただ、今読むのであれば、もっとお勧めの本があります。『隠される原子力 核の真実』小出裕章、2011年、創史社。科学的な議論に裏打ちされた、非常に高い評価を得ている本です。




江戸川区議会議員 木村ながと
公式HP http://www5f.biglobe.ne.jp/~knagato-gikai/
ブログ http://blog.goo.ne.jp/knagato1/
ツイッター http://twitter.com/#!/NagatoKimura

食材をめぐる放射能汚染への対応と課題

2011-06-14 00:11:27 | 地方自治
 食べ物をめぐる放射能汚染についての不安の声が区民からかなり聞こえてきます。特に、赤ちゃんや子どもを持つ保護者からの不安の声は増える一方で、今のところ減る傾向はまだみられないようです。

 1、2ヵ月前に比べれば、実際には農産物などへの放射性物質データは減少しているですが、それでも日々、空間放射線量や食の安全管理の問題が報道されることで、放射能をめぐる国民の不安と危機の意識はより強くなっているように思われます。安全、安心の区民生活を確保するためには、できるだけデータ採集をし、速やかに情報を公表していくことが必要と考えます。そうすることで、不安を払しょくできると考えます。

 さて、子どもたちが日々口にする学校給食の食材について、いくつか確認してきた事項がありますので、ご報告したいと思います。

 まず、学校給食の食材をめぐる放射性物質の検査についてです。基本的に、厚生労働省の通知により、東北・北関東の各都県は地元産の農産物や魚介類などの食品について放射性物質の汚染がないかどうかの検査を実施しています。(厚生労働省「放射能汚染された食品の取り扱いについて」)

 学校給食用の食材はもちろん、市場に出回る食品については、このように生産地に当たる各都県で調査を実施しています。東京都では産業労働局がそれを担当しています。生産レベルで汚染食材が出回るのを防ぐという視点のようです。

 調査の産地別の実施地図にあるとおり、農業生産のない都心区を除いて江戸川区でも検査は実施されています。

 区では小松菜が調査され、汚染なしということで出荷制限等はかかっておりません。(「都内産農畜産物の放射能検査結果(第11報)」)

 安全基準に照らし、暫定規制値を超えるようなものについては当然、市場に出回らないように出荷制限がかけられます。検査の結果、汚染が明らかになり、実際に出荷制限されたものもご存知のようにあります。

 区内の学校で日々消費される給食用の牛乳についてもお問い合わせをいただきます。区立の学校で消費している牛乳の源乳の95パーセントは千葉県産の乳牛からです。これまでの県の検査では乳児に対する暫定規制値以下という結果が出ています。暫定規制値に届くような結果が出た場合には、当然、子どもたちの食用に供するわけにはいきませんから、出荷制限する必要があります。

 千葉県による検査結果を確認すると、3月には暫定規制値以下ながら微量の検出があったものの、5月に入ってからの検査では幸いかなり落ち着いてきているようで、検出されないところも増えてきています。ただし、今後もモニタリングを続け、見守っていく必要があります。(千葉県産の源乳)(千葉県産の牛乳

 区市町村やその教育委員会でも独自に食品中の放射性物質の汚染検査が実施できれば理想的です。実際、国の対応の混乱ぶりが目立つ中では、一番身近な政府である自治体にこうした対策を求める声が増えているのでしょう。

 政令指定都市のような大規模な自治体のなかには実施を開始したところもあります(京都市)。政令指定都市は一般の区市町村とは異なり、都道府県から多くの権限が移譲されており、多くの機能を独自に備えている特別な市です。食品衛生を司る保健所機能も充実しています。

 しかし、江戸川区をはじめ一般の区市で同様の検査を実施するには課題があります。

 端的には、一般の区市ではそのような検査室を備えていないということです。食品中の放射性物質の含有検査は空中の放射線量測定とは異なり、手持ちの線量測定機器などで簡単に測定することは困難だということです。いわゆるそれなりの備えのある実験室が必要だと言われています。

 都内でも、そうした検査が可能なのは東京都の健康安全研究センターと東京都立産業技術研究センターとの2か所くらいしかないと側聞しています(他にも大学などにおいて可能なところはあるかもしれませんが、私が現在、具体的に把握しているのは上記の2か所です)。

 これまで原子力行政の安全神話が当たり前のように理解されていたため、そうした検査機関の需要も少なかったことが理由であろうと推測します。

 今後、原子力行政から脱すべく国のエネルギー政策が軌道修正されるのかいなかにもよると思いますが、こうした事故に直面してみれば、食品中の放射性物質の検査が可能な機関が公と民とを問わず、必要なことが指摘できます。

 一朝一夕に実現しない課題もありますが、問題解決を声に出していかなければ物事は進みません。こうした諸課題について、区に対し今後も要望をしてまいりたいと思います。9万5000人という多くの子どもたち(0~14歳までの年少人口)が育つ江戸川区の責務は大きいと言えます。




江戸川区議会議員 木村ながと
公式HP http://www5f.biglobe.ne.jp/~knagato-gikai/
ブログ http://blog.goo.ne.jp/knagato1/
ツイッター http://twitter.com/#!/NagatoKimura

被災地への車の寄付の受け付けを再開します

2011-06-13 05:04:47 | 地方自治
 先月、いくつかの課題を抱える中で、被災地への車の寄付を残念ながら、一時中断しておりました。

 ですが、とある方のご支援を得ることができ、再開するメドがたちました。「ご支援」というよりは、「コラボ」といったほうがよいのかもしれません。

 コラボのお相手は「車を届けるボランティア」の山本さんです。

 正直言って、私よりも一歩進んだ態勢づくりをすでに確立しておられ、被災地への車の寄付を実践されています。思わず、感心してしまいました!

 協力を確認してまだ日が浅いので、私のほうに手続き上での試行錯誤があるかもしれませんが、そこは「車を届けるボランティア」の皆さんのアドバイスとご協力を頂戴しながら、確実に進めていきたいと思います。

 被災地ではまだまだ家も職も奪われ、持ち金もなく、でも車を必要としている人たちがたくさんいます。皆さんが、もしまだ走れる車を廃車してしまおうと思っていらっしゃるなら、ぜひご連絡を下さい。

 被災地へ皆さんの善意と車を届けるお手伝いをしたいと思います。




江戸川区議会議員 木村ながと
公式HP http://www5f.biglobe.ne.jp/~knagato-gikai/
ブログ http://blog.goo.ne.jp/knagato1/
ツイッター http://twitter.com/#!/NagatoKimura