私たちにも経験がありますが、資金繰りに困っている経営者は、
「衣食足りて礼節を知る」という意識が崩壊してきます。
むしろ、「恒産なければ恒心なし」と心まですさんできます。
「貧すれば鈍する」と言われるように、頭の働きまで鈍くなり、さもしい心を持つようになってきます。
ですから、少なくとも当面の資金繰りを解消しなければ、経営改善どころではありません。
しかし、最初にお断りしておきますが、当ステップの「緊急資金繰り対策」は最終目的ではありません。あくまで経営改善対策を行うための準備です。
その考え方は医療とよく似ています。
歯医者に行っても、歯がうずいているときは痛み止めの注射を打ってくれるだけで、治療はしてくれません。
高熱がある時は、まず熱を下げ、体力を取り戻してから本格的な治療や手術に入るはずです。
経営改善が本格的な治療だとすれば、【緊急資金繰り対策】は痛み止めの注射あるいは解熱剤でしかないのです。
実際、経営改善という手術や治療を施し、健康な体に戻るまでには、相当の時間を要します。第3ステップ以降で解説するさまざまな対策は、すぐに効果が出るものばかりではないからです。
したがって、それらが効果を出すまでの期間、「資金繰りにわずらわされることなく、経営に打ちこめる環境を作る」ことが、このステップの大きな目的となります。
■資金繰り対策と経営改善とは異なる
ほとんどの小規模企業経営者は、「経営改善=資金繰り対策」と考えているようですが、それは大きな間違いです。
痛みが取れ、熱が下がったら、本格的な体質改善をします。
当面の資金繰りが解消したら安心するのではなく、そこから本当の意味での改善対策を始めるのです。
しかし現実には、緊急資金繰り対策で資金繰りが楽になると、経営改善そのものを忘れてしまう経営者が実に多いのです。
でもみなさんは、当ステップで学ぶのは資金繰りの緊急対策であって、抜本対策ではないことを忘れないでください。
■資金繰り対策の掟
資金繰り対策で最も注意しなければならないことは、場当たり的な行動を起こさないことです。
多くの小規模企業経営者の方は、
「売上さえ上がれば、以前のように安定した経営をすることができる」
「○○万円さえあれば、経営危機から脱却できる」
と考えがちです。しかし、こうした短絡的な行動は、さらに経営を悪化させることにつながります。結果的に万策尽き果て、井上経営研究所に相談に来られる経営者も、毎週というほどお会いします。
しかし、本来、最初にやらなければいけないことは、
いつ、いくらショートするのか
を正確に把握することです。
そのためには「日繰り資金繰り表」の作成が不可欠です。
「来週○○万円不足する・・・どうしよう」と焦るから、抜本的対策が取れなくなり、どんどん【負の連鎖】の蟻地獄にはまっていくのです。
「日繰り資金繰り表」を作成すれば、この先何カ月間の資金(現金)を日単位で把握することができますので、冷静な判断でその対処策を実行することが可能になります。
「経営改善プログラム講座」http://www.sbms.jp/では、緊急の資金繰り方法や支払い優先順序などについて詳しく解説しています。
第2ステップで取り組む通信講座の項目(目次)
『実務テキスト』
第2ステップ 当面の緊急資金繰り対策
2-1 緊急資金繰りの心構え
2-2 資金繰り対策の原則
2-3 「日繰り資金繰り表」の作り方
2-4 「日繰り資金繰り表」見本
2-5 資金繰りショートまで時間がない場合
2-5-1 支払い優先順序の解説
2-5-2 金融機関への元金返済猶予の交渉
2-6 「売上なし」からお金を作る
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