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プロレスと興行としてのプロレスの区別【プロレスを解き明かせ5】

2022-07-24 03:19:17 | 格闘技談話
いつしか多団体時代と呼ばれるようになっていったプロレス。
力道山が起こした日本プロレス当時から考えれば、
今のプロレスラーの数はあり得ないほど増えている。

それが良かったか悪かったかの答えを出すことは、かなり難しい事だ。
都市圏における多団体化は興行戦争を起こし、プロレスと言うジャンル
そのものの存続さえも脅かした。
一方で地方にホームを持った団体の出現により、都市部以外のファンに
プロレス興行に触れる機会を多く持たす事が出来た。
また、一定のレスラーにおいては、レスラー寿命を延ばす事にもなった。

賛否が分かれる話だと思うが、「なぜそうなったのか?」を考えた時に
想像できる理由が、セカンドキャリアに関する事だ。
現実的に、プロレスを続けたいという思いと同じくらい
「プロレスをやめるわけにはいかない」と言う状況があったという事だ。
もし早い段階で協会が出来上がっていたなら、そのような問題にも
対応できたのではないだろうか。まぁもしもの話はあてにならないが。

ただ、早い段階で協会を創りプロレスと言う物を整備できなかった事で、
現状にもたらした大きな変化が2点あげられる。

かつてアントニオ猪木は、レスラーに対し常々こう言っていた。
お前達はスポーツエリートである
ようは選ばれた人間たちなんだと言う事だ。
通常は競技として一般に広がり競技人口が増え、プロスポーツ化していくが、
プロレスはそれが形を変えて競技化(アマチュア化)した特有な物だ。
その特有さは、通常意識しない事だがあらためて考える驚く事だ。
それは、野球もサッカーも人と場所があればする事が出来るが、
プロレスはプロレスラーしかする事が出来ない、許されない物なんだ。
だから、レスラーである事に誇りを持てと。

しかし現代のレスラー飽和状態において同じことが言えるだろうか?
少なくとも、日本プロレス初期に比べれば窓口は広がっている。
もし選ばれるはずではなかった者がレスリングをしたらどうなるか?
それは”危険”か、それを回避するためのレスリングの”弱体化”。

もう一点、「プロレスとは何か」と言う思想が1本で繋がらない。
ただでさえ存続をかけた企業戦争の中において、興業としてどうするべきか?
が重要視されてしまうプロレスで、「プロレスとは何か」がしっかりと
継承されなければプロレスの源流自体が消えてしまう。
興行として行う”プロレスが存続をかけ変化するのは仕方がない事だが、
プロレスと言う物自体が”人前で行う疑似格闘”になってしまってはいけない。

どうやってもプロレスの奥にある物を伝えるのは道場論しかありえない。
それが途絶えてしまえば思想の継承もなくなってしまう。
そして、現状の多団体化の中でそれが出来て来たとは思えない。

この2点は、興行戦争で生き残るための変化を理解しながらも、
それを受け止める事が出来ずに、村から取り残されてしまった要因でもある。
レスラーが飽和状態にある中で、企業存続の為に
「あれもプロレス」「これもプロレス」言ってる内に原型が見えなくなった

そのような捉え方もあって、以降記していく中での前提の2つ目として、
源流としての”プロレス”と”興行としてのプロレス”を区別していく事となる。



これは完全に妄想ではあるが、猪木が参議院議員選挙に出なければ
今のプロレスはどうなっていたのだろうか?




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