ぶろぐのおけいこ

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温泉津温泉  神仏の通ひ路(1)

2022-11-03 18:13:19 | PiTaPaより遠くへ

 5年間乗った赤いクルマにさよならする時がきました。その前の銀色のクルマには14年間乗りましたので、随分早いさよならです。5年前と同じように、お別れする前にさよならドライブをすることにしました。

 島根県の温泉津に行こうと考えました。2年ほど前だったと思いますが、旅行会社の名物添乗員と言われる方の講演を聞いたことがあります。「今、お薦めする3つの温泉」という話題の中で、私には「温泉津温泉の薬師湯」だけが記憶に残っていたのです。松江や出雲は何度も行っているのに、同じ島根県でも石見の方は行ったことがありません。出雲市よりも西は知らないのです。

 温泉津に向かうには、中国自動車道を三次で下りて中国横断自動車道で宍道に向かうルートがあります。自動車専用道で宍道まで入るのなら、米子自動車道経由とあまり気分が変わらないような気がする。では、大回りをして千代田から浜田へ出て海沿いに東へ走る。これでは大回りが過ぎる。三次からは高速道を下りて、一般道をほぼ江の川沿いに下り、石見銀山の隣をかすめて仁摩に出るのが面白そうだと思いました。

 三次で一般道に下りてマツダ三次工場の横を抜け、市内を通って国道54号に入る。作木分かれで県道62号へ、突き当りを右折して375号線に入る。これで江の川と一緒に日本海側へれていきます。広島県辺りは石州瓦の赤い色が綺麗ですが、赤い屋根ばかりでなく黒い屋根もかなりあります。三次近辺では瓦屋根の大棟、熨斗瓦にちょっと特徴がある家を何軒も見ました。熨斗瓦にスリットが入っているのです。帰ってから調べてみましたが、大棟にはいろいろと意匠があるものらしい。サンドイッチのように平たい瓦を積み上げたものばかりだと(この年まで)思っていたのですが、遊び心というのか意匠が凝らしてあるものらしい。自分が見たものは。和違い熨斗瓦と呼ばれるもののようで、スリットになって大棟の向こうの景色がちらちらと見える。そんな屋根が広島県あたりにはちょいちょいと見られるようです。また、民家の瓦屋根ながら、鯱(鴟尾?)がついているのも、この山間部の特徴のように思われました。

 2018年に廃止された三江線の鉄橋や線路もそのまま残っているようです。廃線跡を歩く人たちもいるようで、ところどころ、「ここから先は入るな」という警告が掲示されているように見えます。

 江の川と別れたら、右手方向に三瓶山…があるらしい。谷を走っている道路からはおそらく三瓶山は見えないことでしょう。湯抱温泉はこっちという案内がありました。柿本人麻呂の終焉の地だと、斎藤茂吉が言ったのだというようなことを思い出しました。

 このまま国道を走ったら大田市に出てしまうので、県道186号線に乗り換えます。山の中を走っているような道路で、野生のサルを二頭見かけました。石見銀山の横をかすめて仁摩。そこから仁摩温泉津道路(山陰自動車道)に乗ったら、ふたつめのICが温泉津。三次から2時間弱ほどで温泉津の海沿い、観光案内所、「ゆう・ゆう館」に到着です。

 気温は20℃ちょっと。涼しいけれども陽差しがまぶしい。レトロな通りを通って、かの名物添乗員が推薦する薬師湯を目指します。

   ありました。昔の映画館の入り口のような懐かしい建物。昭和の初めの頃の建物かもしれません 。500円を払います。番台のお姉さんは心得たもので、「お客さん初めてですか」初めての客とみて丁寧に説明してくださる。脱衣場の天井には大きな扇風機が回ってるせいで、蛍光灯の光がチカチカします。これもまた建物以上に昔感を出してくれます。張ってある説明書きを読んで、お風呂に入る。

観光案内所でいただいたチラシから

 浴室は湯の花が取ってつけたかと思えるばかりに、こびりついています。その様子がまるで、幹回り何メートルもある大木をくり抜いて浴槽を作ったかのよう。洗い場にはおじさんがふたり、疲弊しきった兵士のようにじっとして動きません。湯治ですからそれも作法のひとつ。しかし熱がりの私には、少々お湯が熱い。先ほどの説明では、つま先から順にゆっくり入っていくと入れるということでしたがまあ熱い。大変です。短時間で何度か湯船に浸かったり上がって体を冷ましたりしながら30分ほどで切り上げました。由緒ある名高い温泉。雰囲気も古さもとてもいい。しかし、私には辛い。糖尿病や神経症、リウマチに効能があるという話ですが、たぶん、私には効能はないことでしょう。洗い場で過ごしてばかりいては温泉の効果はないだろうと思いますが、熱いものは熱いから仕方ない。そういや、若い頃野沢温泉に何度も出かけていますが、熱いという理由で外湯に入ったことがありません。熱がりは損ですね。

 レトロな建物の二階は休憩室だということなので、涼みがてら上がってみましたが、人気(ひとけ)がありません。三階はこの建物の屋上です。屋上では湯上りの女性が二人涼んでいました。ここからは通りの景色が見下ろせます。なんと細い谷にできた街。瓦は石州瓦。出雲に来ると思うのが、瓦屋根の大棟が左右に少し反っているように見えること。ここ石見でも三階から見える屋根も同じように反っています。

 土曜日の夕方が近いというのに、それほど宿泊客も見えない様子です。コロナのせいでしょうか。とても静かな、そして小さな温泉街です。人目を避けてこっそりと泊まりに来るにはとても良いところかなと思いました(私には縁のないことだけど…)。

 タイトルに「神仏の通ひ路」と書きましたが、ここは石見の国。これから「神仏の通ひ路」の出雲の国に行きます。

(つづく)

 


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