ぶろぐのおけいこ

ぶろぐ初心者は書き込んでみたり、消してみたり…と書いて19年目に入りました。今でも一番の読者は私です。

秘密 東野圭吾  文春文庫

2023-12-02 19:21:43 | 読んだ本

 スキーバスの乗客のうち一組の母娘が事故に遭い、小学生の娘だけが生還するが娘の肉体には娘ではなく母の意識が生きている、夫と妻または父と娘の不思議な14年間のお話し。

 少し厚めの一冊を数行で表現するとこんな感じでしょうか。

 こういう不思議なお話しをファンタジーと呼ぶのでしょうか。まる1日でラストまで読み進んでしまいました。

 夫(父)からすれば妻であり娘でもある女性との二人の生活。こんな奇妙な小説から夫婦って何なのだ?親子って何なのだ?と考えされられる。後半では妻である時間と娘である時間が交互にやってきて、妻としての時間がだんだん少なくなっていく。やがて娘としての時間に妻の時間は飲み込まれていく。学校時代に習った『山月記』のパターンです。

 残りページが少なくなると、この不思議譚をどう決着させる気なんだろうかと心配になってきます。またタイトルの「秘密」とは誰のどんな秘密なのだろうと心配になってきますが、東野さん、ちゃんとラストまで読者を運んでくれます。

 よぅこれだけのリアリティある、それぞれの日常風景を奇怪な筋書きの中にはめ込んだものだと感心します。1999年に日本推理作家協会賞を受賞しているようです。さもありなん。1日かけて読んで、その値打ちは十分ある一冊です。


 本作が映画化(1999年)、テレビドラマ化(2010年)されていたことを読後に知りました。そして映画の主題歌が竹内まりやの「天使のため息」私はこの楽曲を本人よりも、マリリン・マーティンとジョー・ビズーロがデュエットしている「When Angels Cry」として歌っているのを知りました。本家の竹内さんはどう歌うのだろうと探してみたら、『ボナペティ』の中に入っていて、なんだ自分のコレクションの中にあったんだと気づいたことを思いだいました。私のお気に入りの一曲なのですが、腑に落ちなかったのは、なぜ自分のことを天使と呼ぶのだということ。一人称で語られる歌詞は、天使=私と読むしかない。この楽曲が映画の主題歌として書かれたとするなら、納得しようというものです。

 もうひとつ書かせてください。次男が読んで本棚に入れておいただろう東野圭吾の小説を何冊か病院に運んでもらって読んでいるのですが、この一冊はどこかで水を吸ったであろう跡があり、ベコベコになってページをめくりにくい。学校の行き帰りに電車内で読んでいて大雨に降られたのだろうか、喫茶店で誰かと話していて水でもこぼしたのだろうかと思いながら読んでいきます。先に読んだ人のことを想像しながら読むのも新本とは違う楽しみがあるものです。私の次男?元気に仕事をしていますよ。


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