左へ入り込んだ岸壁の先には芦屋マリーナがありました。一体何メートルあるのだろうと思うような大きなマストのヨットや、これより小さい住宅はなんぼでもあるで、と思うような大きなクルーザーがつながれています。桟橋の向こうにはどこか西洋の国のような瀟洒な建物(結婚式場らしい)も見えて驚きました。せいぜい1時間の間に、「行き倒れ」のビーチから釣り人の天国、つまり庶民的な雰囲気を通ったあとがこの風景ですから。この岸壁の向こう岸には、自分にはまったく無縁な世界がある。
写真を撮っていると「この先は通行不能」という看板がありました。でも「この先」から自転車に乗ってやってくるおじさんがいたので、尋ねてみました。「歩きなら行けるよ、阪急バスのところへ出られる」と教えてくれました。もし、通行不能なら、もと来た岸壁をベランダの中ほどまで、2㎞ほどを徒歩で戻らなければなりません。内側は宅地の整備工事中で、どこもかしこもフェンスに有刺鉄線が張られているのです。ラッキーと思いながら、マリーナの奥へと歩いて行くと、なんと、自宅から一歩も出ずにヨットやボートに乗れるという住宅がありました。レジデンシャルコーヴという名称。係留施設付住宅と呼ぶそうですが日本初らしい。さすが芦屋ですね。何軒かの「係留施設」には船がつないでありました。この国にこういうお家を維持できる人がいるわけですね。さらにびっくりです。
さあ、公道に戻ろうと思ったのですが、どこまで行っても公道への出口が見つからない。ちょうど、そこへ私の後方からさっきの人とは別のおじさんが自転車でやってきたので、「出口があると聞いてやって来たのだけど」と尋ねてみると、そんなことはない、ちゃんと公道に出られると言うのです。でも結局、そのおじさんも出られなくて、元の岸壁方面へ帰っていきました。私はどうしたらいいのか。有刺鉄線がなく、比較的低いフェンスがみつかったので、失礼して乗り越えさせてもらいました。
(つづく)
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