ぶろぐのおけいこ

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峠に行く(2) 途中峠

2016-05-22 19:37:28 | PiTaPaより遠くへ

 逢坂峠からは浜大津に出て、湖西を北に走ります。 

 浜大津までに、京阪電車京津線の線路と並行して走る区間があります。電車が専用軌道ではなく、道路上を自動車と折り合いをつけながら走る(併用軌道というらしい)という路面電車でよく見る、あのタイプ。自分の生活圏にはないものですから、緊張して運転します。

 とても気持ちのいい季節。あちらこちらでハイキングの人たちを見ます。町も山も、ディパックを背負って帽子をかぶった人たちでいっぱい。

 湖西を北向いて走るといっても、いい加減な性格ですからろくに下調べもしていません。湖西から京都市北部へ入るつもりでした。琵琶湖大橋の西の袂から、西へ西へと登っていけば途中峠を越えて入れるはず。ところが、仰木というところを通っていけばいいと思い込んだものですから、経路を誤ってしまいます。仰木という地名は、写真家の今森光彦氏の活動拠点でもあったはず…なんて思いだしました。なるほど、なだらかな東向きの斜面に棚田がどこまでも続く。またちょうど田植えのシーズンですから、田んぼには水が張られ、畦は手入れよく草が刈られて美しい。その風景の中で人々が農作業に勤しんでいます。山には、視力がよくなりそうな気がしてしまうほどの新緑。葦原の瑞穂の国とはきっとこういう景色だったのではないかと思います。

 そして、たどり着いたのは、奥比叡ドライブウェイの仰木料金所でした。あれっ、途中峠は?

 そんな経験をずっと以前にもしたことがあります。春先に国境スキー場を目指して走っていました。「国境っていう以上は近江の国と若狭の国の間にあるということだろう。じゃ所在地は滋賀県と福井県かどっちなんだろう。」ということが走りながら気になったんです。その疑問は無事に解決して、国境スキー場は滋賀県マキノ町(当時)にあるということがわかりました。その途端に私の脳にはズレが生じて、国境スキー場を目指したはずが、マキノスキー場にたどり着いた。それに気づいたのは1000円の駐車料金を払って駐車場に入ってからでした。ほんの数分で駐車場を後にし、国境を目指したのでした。私の脳はよくズレたりブレたりします。

 じゃ、奥比叡ドライブウェィ経由で京都に入ってもいいかと思っていたら、休日は二輪車通行止めなんだって。あらぁ。ははん、それでさっき登り路ですれ違ったアメリカンバイクのおじさんが、サングラス越しに、こっちを見てたわけですね。「お前ももうすぐ、過ちに気づくぞ」と思っていたんでしょうか。おじさんのバイクは私のよりずっと排気量が大きいですが、二輪車は二輪車。ゲートで引き返してきたわけです。

 仕方がないのでまた坂を下りて、仰木近辺の美しい田んぼの中を北方面に走ります。農免道路でしょうか、きれいに舗装されたとても走りやすい道路です。伊香立中西の交差点で左折して国道477号、通称レインボーロードを登っていきます。これがもともと走るつもりだった途中峠に向かう道路です。ほどなく途中交差点。途中という地名はなんとも妙ですね。

 ここを左折して国道367号線に入るとすぐに途中トンネル。峠はトンネルの上にあるのではなく、トンネルを出てからの掘割部分が峠だということです。ここを超えると下り坂になって、やがて三千院のある大原です。

 2003年の秋、小浜からの帰りにこの367号を初めて走りました。地図を見て(まだナビなんてありません)、途中というところで滋賀県側に出れば、京都の町中を通らずに帰れると考えたのです。とっても機嫌よく走れる道路で、小浜から1時間強で”途中”までやってきたのでした。ところが、機嫌よく走っているせいでこの”途中”交差点で曲がれず、結局大原を通って八瀬に出てしまいました。小浜と大原がこんなに近いことに驚きました。でも悔しいので、数年後にやはり小浜からの帰りに通った折には、「もうじき途中交差点…」と何度もつぶやきながら、めでたく滋賀県側で出ました。

 そんなことを思い出しながら途中を過ぎて、京都市に入ったのでした。

 

(つづく)


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