富士山(1)

2010年08月01日 | 登山

 3日目の後半に釣りの時間をとっていたが、それを待ちきれないのがいて2日間で山を下りてきた。下山直後に降り出した雨は、一夜経った今もなお降り続いている。結果的には2日目に下山して良かったのかもしれない。昨日のお昼に、山小屋で会った同郷の先輩方は、今頃カッパを着て急峻な坂道を登っていることだろう。雨の3000mは寒くて辛いにちがいない。

 昨夕から「野の花山荘」に泊まっている。新穂高温泉の旅館案内所で、いくつか紹介された中から選んだ宿だった。部屋の窓からは切り立った錫杖岳の絶壁が霧に霞み水墨画のように見えた。一品ずつ出される料理や窯で炊いた鮎御飯はそれなりに美味だった。風呂は男湯露天、混浴露天、それから野天に入った。

 朝食の後、一人は川へと飛んでいった。付近を散策し、12時を少し過ぎてから新穂高温泉を後にした。途中の平湯温泉に立ち寄り、二人はあれこれと土産を買い込んでいた。自分は「箱入り娘」という積み木のパズルだけを買った。それから安房トンネルを抜け、沢渡で蕎麦屋に入った。信州蕎麦を食べながら、次は北岳に登りたいという要望を承った。その後、東京へ帰る二人と別れた。

 明後日の昼まで静岡に到着すれば良かった。一日半フリーである。松本ICから高速にのり、小淵沢ICを下りた。2年前にベンチを借りた小淵沢駅へ行き、車のオドメータをリセットしてから編笠山の登山口である観音平を目指した。編笠山や権現岳は、東京出張の帰りに余分な交通費を出さずに行ける、数少ない2000m越えの山である。今後のために駅からの道順と距離を把握しておきたかった。観音平には約20分で到着した。ちょうど10km。標高差が700mあるから歩くと4時間を覚悟しなければいけない。ついでに大泉駅から天女山登山口を確認しておきたかったが、濃霧が出ていて走りづらいので止めた。

 明朝から編笠山へ登るのも一案であったが、編笠山へ登るときは赤岳まで通して歩きたい。3日間欲しい。それに出来るだけ次の出張先である静岡に近づいておきたかった。小淵沢ICに戻り、雨の降りしきる中央道を走った。南アルプスや鳳凰山は雲の中だった。大月JCTを右折し河口湖ICで下りた。そして富士スバルラインを走り吉田口五合目に到着した。970HPから980HP程度の台風の暴風雨状態で、雨が車の窓ガラスをビシバシと叩いた。表面積の広い車は風に煽られて左右に揺れた。コーヒーを入れようにもコッヘルがひっくり返りそうで出来なかった。

 風雨の中、リュックを背負い登山口へ向かう団体さんが何組もいた。御来光を期待できる天気ではないけれど、予定した行程の通りに登るのだろう。それでも登山者はいい。駐車場の交通整理をする警備員はゴアテックスのカッパを着ているわけではない。風雨と寒さの中、一晩中立っていなければいけなかった。

 携帯電波はどうにか届いた。メールチェックをすると平日なだけに、この3日の間にたくさん届いていた。急ぐものだけを返信し酒を飲んでから眠りについた。


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