サンダルに履き替え着替えを抱えて法華院に向かった。間に遮るものがなく近そうに見えるが10分かかる。受付で500円を払い風呂場へ行った。九州最高所の温泉が貸し切りだった。洗い場は水しか出なかった。冷たくて湯船に入る前の体洗いが出来ない。だから湯船の中は垢がいっぱい浮いていた。それでもちょうど良い湯温で気持ち良かった。最初は独り占めだったが、だんだんと人が増えてきた。湯船が混雑してきたので上がることにした。風呂から上がり服を着ていると、同じ黄色いテントの人がやってきた。
風呂に入る前のことだった。風呂場横の休憩所で4人さんが足を高くして寝ていた。窓の桟に足を乗せている人もいれば、ザックの上に足を乗せている人もいた。足の疲れを取るためなのだろうか。理由は分からないが真似をしてみた。積み重ねた座布団の上に足を乗せ、備え付けの漫画を読んだ。10分ほど寝そべっていただろうか。隣のテントの人が風呂から上がりビール片手にやってきた。よぼった中年オジサンとしては、若い人に話かけづらいのであるが話かけた。
福岡の人で坊がつるで2泊するとのこと。奥さんと一緒に出来るスポーツということで3年前に登山を始めたそうだ。その奥さんは仕事で来られなかったとのこと。途中からもうひとり加わって30分ほど話し込んだ。夫婦で趣味を共通にして、少しでも一緒にいたいというところが非常に羨ましい。これが熟年夫婦になると、二人の仲をどうにか繋ぎ止めるために、ののしりあいながら共に山歩きをしているケースもあるのではないか。若い人が羨ましい、と云うよりも、若い頃に戻りたい。
晩ご飯を作るためにテントに戻ることにした。山の上と違って水がたくさん使えるのが有り難い。まずは、きのこソースのペンネというのを作った。湯の中に入れて7分間かき混ぜるだけである。山で食べるには十分過ぎる味である。しかし分量が少なかった。次に五目ごはんを作った。こちらも湯を入れて15分間待つだけである。具材はみじん切りの人参と油揚げが少し入っているだけだった。五目ごはんと言うよりも人参のふりかけごはんである。乾燥米なので持ち運びが軽いし、湯の代わりに水を入れても60分あれば出来上がる。味は失格であるが山の機能食としては素晴らしい。きのこソースのペンネは今後とも山メニューに加えたい一品である。
結局テントは5張りだった。暗くなる前に雨がポツリポツリと落ちてきた。プリントして持ってきた坊がつる讃歌の歌詞を見ながら、隣のテントに聞こえないように小声で歌ってみた。やっぱり荒城の月になってしまう。音痴は生まれ変わらないと治らないようだ。歌うのはやめて歌詞の情景を想像してみた。歌の作られた50年前に、山男たちがどういう思いで九重の春夏秋冬を感じていたか。少し切ない想いがした。前夜の睡眠不足もあって19時には寝ついてしまった。
中岳斜面から大船山
中岳斜面
きのこソースのペンネ
五目ご飯
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