８月１３日（土） 標高２４００ｍの、夜のテント場を揺るがす重低音。基本的に二重奏だったが、おとなしい間奏をはさみ、高らかなソロもあった。雨水を通さないゴアテックス製のテントは、音に対しては全くの無力だった。３日続けて寝不足である。 パッキングに手間取り５時５０分にテント場を出た。小屋で水を補給し小屋の裏から登り始めた。いきなりの急登に、暖機運転不十分な足が重い。２ヶ所か３ヶ所、岩の直登か緩やかな . . . 本文を読む
稜線伝いに黒部五郎小舎に向かうルートを確認した。人影は見当たらなかった。みな日本一美しいと言われるカールの中を歩きたいのだろう。ザックをデポした五郎の肩まで戻り、尾根伝いに雲ノ平の方向に進んだ。ガイドに率いられたツアーグループと行き交う。小屋に荷物を預け、軽身での往復だそうだ。五郎の北壁を眺めながらカールに向かって下った。山頂から見れば美しかったのに、カールの中に入ると感動は薄かった。お天気や光 . . . 本文を読む
赤木岳に向かって下り、また登る。眼下に見える赤木平が美しい。緑の大地の中を川がゆったりと流れ標高２０００ｍとは思えないような風景だった。黒部五郎岳の右には笠ヶ岳、乗鞍岳、御嶽山が等間隔で並んでいる。槍や穂高側から見た笠ヶ岳は威風堂々としていたが、こちらから見るとかっこ悪かった。 ９時４０分、赤木岳は山頂の北側を巻いて通過した。テント場を出てから４時間経っていた。岩場に座り、唯一持っていた行動食の . . . 本文を読む
８月１２日（金） ４時半に起きた。昨夕、体つきから予想した通りに、お隣テントのにいちゃんの鼾がうるさかった。テント紐に掛けていたＴシャツやタオルはぐっしょり濡れていて、絞ると洗濯直後のように水がしたたり落ちた。夜露の量にびっくりである。ツエルトなしのビバークが如何に辛いかを理解した。濡れたテントをビニール袋に入れ、ザックの底に押し込もうとしたが昨日の状態には復元できず外に括り付けた。 ５時４０分 . . . 本文を読む
徐々に勾配が増してくる。意識的にゆっくりゆっくりと登った。１時間ほど登ると霧雨が降り出し、ザックにレインカバーを被せた。カッパを着込むほどではなく、火照った体を冷やすにはお手頃の雨だった。早くも太郎平から下山してくる人たちと行き交う。この辺りが一番つらい場所だから頑張って、と声をかけてくれる。苦虫を潰したような苦しい表情をしていたのだろうか。 ９時２０分、樹林帯を抜け休憩ベンチに着いた。薬師岳は . . . 本文を読む
８月１１日（木）
到着時刻の４時２８分を過ぎたが電車は走り続けている。乗り過ごしてしまったかと大いに慌てたが、携帯電話の時刻を確認すると腕時計のほうが３分進んでいた。まもなく電車はアナウンスのないままに富山駅に停車した。電車を降りて改札口へ向かうが、この電車に乗っていた登山者は一人だけだった。駅の南口を出ると、すぐ右手に１０人ほどの若い登山者が座り込んでいて、折立行きのバス停を捜す手間が省け . . . 本文を読む
８月１０日（水） なんとか仕事を片付けて荷造りを始めた。ダンボール箱には仕事衣装やノートパソコンなどの出張道具を詰め込み、下山前日に出張先に届くように手配した。それから山の準備に取りかかった。テントやシュラフ、シュラフマットなどをザックの底に押し込む。その上にはコッヘルやガスボンベを詰めた。１週間全て自炊するつもりなのでガスボンベは５００Ｔと２５０Ｔの２個用意した。水入れは２Ｌと１Ｌの２個を持っ . . . 本文を読む
雲上の楽園といわれる雲ノ平。百名山でなければ二百名山でも三百名山でもない。しかし行きたいと思う気持ちは槍や穂高と同列であった。折立から入山すれば２泊３日、新穂高から入山すれば３泊４日。四国からのアプローチを考えれば更に１日ないし２日間を加えなければならない。日程的に簡単に行ける場所ではなく、遠ければ遠いほど行きたいと思う気持ちは強かった。 ８月１７日から出張の予定だった。お盆明けから出張に出るよ . . . 本文を読む
胃カメラは特に苦しかったので別枠で書くことにした。 朝、カカさんに「昨夜何か食べたか」と聞かれた時に、胃の検査があるんだなと思った。 だが、胃カメラなのかバリウムなのかまでは考えが及ばなかった。 眼底写真を撮った後、次の検査場所を教えてもらった。 それが内視鏡だった。 この時になって、バリウムじゃなくって胃カメラなのだと分かった。 胃カメラの検査は４回目か５回目である。 その多くは胃が痛んで受け . . . 本文を読む