10月12日火曜日、未明から風が強かった。
テントの通風孔から見た北穂はやはり雲を被っていた。今日も一日小さいながら高気圧の中にいるはずで、そのうちに晴れ間が見えるだろうと期待した。残念なことはテントの入口が東向きであったことで、寝そべりながら奥穂や涸沢岳が見える向きに設営すれば良かった。
7時半に起き、外に出ると東の空に彩雲が出現していた。彩雲が地震の予兆だというご意見があるが、帰ったら地震の有無を調べてみようと思った。8時頃になって雲が飛び紺色の空が現れた。山の上にいると宇宙が近いと感じる。
いつまでも居たいけれどバスの時間がある。途中で道草するかもしれないし、8時半からテントを撤収し始め9時に出発した。涸沢ヒュッテに寄ると、おでんが有ったので朝ご飯代わりに食べた。
涸沢ヒュッテの東側を20mほど下り、パノラマコースへと入った。10分ほど歩くと木々の間から穂高や涸沢が見え出した。別れを惜しむように何度も振り返った。眼下には2日前に歩いた涸沢の谷が色づいている。暫く歩くと紅葉した南岳のカールが見えた。この辺りはどのコースを歩こうが絶景には事欠かないようだ。
峠まで大して標高差がないはずであるが荷物が足腰にずしりと堪えた。やっと蝶ヶ岳の見える峠に着いて一休みした。右へ行けばクライマー御用達の前穂であるがもちろん左へ進んだ。北へ200m進むとたくさんザックをデポしている場所がある。屏風の頭という所から眺める景色がいいらしい。他の人と同じようにザックを置いて空荷で上がった。10分ほど登ると大岩があり前穂、奥穂、北穂の全景が見渡せた。南岳カールは見えるけれど槍ヶ岳の方向は雲の中だった。屏風の頭には上がらずに此処から引き返した。
峠に戻ると、原宿で見かけそうなカラフルな山ガールがいて、シャッターを押してくれと頼まれた。本当は自分のカメラで彼女たちを撮りたかった。カメラを首にぶら下げている時とそうでない時では、ぶら下げている時の方がシャッター押しを頼まれる確率が高いように思う。それにしても朝から飛び回っているヘリが気にかかる。奥穂高やジャンダルム、それに前穂の辺りを何度も往き来している。荷物輸送や怪我人救助ではなく遭難者を捜している様子だった。
左に長塀山を見ながら下った。日差しが強く何度となく涸沢ヒュッテの無料の水のお世話になった。梓川は2キロ先に見えるのだがなかなか近づかない。自分のいる高さを長塀山に投影し、梓川からの標高差を測った。結局、奥白又の分岐に着くまで2時間弱かかった。
奥白又池へ通ずる道を見上げた。道らしき道はなく地図を確認すれば標高差が600mある。仮にザックをデポしたとしても這い上がる元気は残っていなかった。前穂の絶壁とは此処でお別れである。ここから道は幾分緩やかになり砂防堤防が見えてまもなく作業道に出た。
彩雲
朝の涸沢
横尾本谷方向
南岳カール
涸沢と横尾本谷
最新の画像[もっと見る]
秋の涸沢、なんとかして?一度は訪れてみたいとこです。
う・う・羨ましい・・・・・!
"一度は・・・" というタイトルに反応し、
kazashiさんが行かれた大キレット越えを一度は経験しなければと思いました。
今日は木枯らしが吹いて冷え込んでいます。
四国の山の紅葉はとうとう拝めずじまいでした。
これから祖谷へ向けて出発しようと思います。
寒波に身をさらしたら、しゃきっとするかなと期待して。
行き先は未定ですが、ひと月ぶりなので足に負担をかけず
kazashiさんが以前したように落合峠でテント張るのもいいかなと思ったり・・・