Irisの八ヶ岳山麓便り

季節の移ろいを感じながらスローライフ

「虫がいない 鳥がいない」

2013年03月24日 | 最近読んだ本
久志富士男・水野玲子 著、(高文研、2012年)


少し前のブログで、「ハチはなぜ大量死したのか」という本を紹介しましたが、そこでは CCD(蜂群崩壊症候群)の原因は未解決でしたので、その後の情報を知りたいと思っていましたら、図書館の新着コーナーで上の本が目に留まり、早速読んでみました。著者の久志氏は高校教師時代から長崎県でニホンミツバチを飼い始め、退職後はニホンミツバチの普及に力を注いだ人で、この本は、ご自分の経験や見聞きしたことをを中心に書かれています。水野氏は環境問題に取り組んでいる科学者で、この本では農薬について簡単にまとめています。
久志氏によると、日本でもミツバチが大量にいなくなっており、その原因は農薬(とくにネオニコチノイド系)だと言っています。例えば、イネにカメムシがたかると米粒に斑点ができて黒くなる。そうなると、品質が下がるので農薬を撒くのだそうです。また、海岸の防風林としての松林をマツクイムシから守るために農薬の空中散布を、習慣として行っている地域があるとか・・。などなど・・・。その結果、ミツバチなどの昆虫、それを食べる鳥がいなくなっているという話です。ネオニコチノイド系の農薬は浸透性農薬であり、空中散布だけでなく、土中から吸い上げると植物の隅々まで行き渡るというのも特徴です。ですから、食べる前に野菜を洗っても、こういう農薬は落ちないのです。この農薬を染み込ませておいた種子を蒔く方法も普及しているようです。栽培用の種を食べてはいけませんと表示があるのは、そういうことなのです。
水野氏によれば、ネオニコチノイド系農薬とミツバチの大量死が疑われるとヨーロッパではすぐに厳しい対応を取ったけど、日本では規制レベルが格段に低いままのようです。何事も対応が遅い日本なのです。

久志氏は、ニホンミツバチを家族のように可愛がり、その普及に努め、また農薬禍から守るために力を尽くして来た人ですが、今年の1月に講演中に倒れ、そのまま亡くなられたということです。この本が出版されて一ヶ月後でした。氏のご意志がお仲間の方々に受け継がれていきますように。


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