きらせん

仙台のきらめき










東北大学公共政策大学院准教授
佐分利 応貴

 「食糧安全保障を考える日・続報」

2008-01-04 22:07:22 | Weblog

  1月3日の産経新聞の1面と3面、4日の同新聞の社説に、経済産業行政論ゼミの学生の取組が掲載された。ネットでも報道済み。
   
  

MSN
http://sankei.jp.msn.com/economy/business/080102/biz0801021727000-n1.htm

YAHOO
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080102-00000909-san-soci

  これは、ウチの学生が、年末に農水省幹部の推薦を得て農水省の記者クラブに資料を投げ込んだところ、産経新聞の正月版に取り上げられたもの。
  学生チームには、農水省のM参事官(元東北大学公共政策大学院教授)、現役の東北大学公共政策大学院U教授(元東北農政局長)という一騎当千のアドバイザーがいる。年末年始の学生の働きかけにより、宮城県から後援名義を得るとともに、東北農政局からも視察が来ることが決まった。当日はNHKやらTBC(東北放送)、産経新聞や河北新報、日本農業新聞等が取材にくるという。また、この新聞記事を見て、遠くは佐賀・熊本、大阪や新潟、東京等日本各地から電話がかかってきて、大学の先生や学生が見学に来るという。
  また、本件のコアメンバーである法学部2年の保理君は、日本放送の取材を受け、本日(4日)榊原郁恵のラジオ放送(静岡ラジオ)の番組に電話で生出演したらしい。いいぞ~ どんどんやっとくれ。

  1ヶ月前には影も形もなかったものが、12月8日に学食メニューの提供でいこうと話が決まり、生協の協力のおかげで一気に構想が実現した。まさに「天の時、地の利、人の和(サポート)」のおかげ。経産ゼミでは「社会を動かす」「社会問題を1cmでも1mmでも解決する」がテーマだが、社会に対するインパクトとしては期待以上の成果である。

  これらの広報効果を試算すると、産経の広告料(公式レート)が1cmで5万5000円だから、記事だけで500万円以上。1面と3面、社説等の注目度を勘案するとこの倍以上の広報効果があるのではないか。加えてネット記事やラジオの広報効果もある。言い換えれば、農水省が税金を使って新聞広告しようとすれば、1,000万円以上かかっただろう「食糧自給の重要性」の周知が、この食糧安保チームの活動で達成できたといえるのでは。

  保理君をはじめとする学生達のこうした活動を褒めてほしいし、農水省のタイムリーなサポートがこうした結果を生んだことにも注目してほしい。これぞ21世紀型の行政。役所が自ら金を使わず、場を与え、見事に成果へと結実させたのだから。


  なお、イベントの日時等は以下のとおり。ぜひお越しいただきたい。

1.日時 : 平成20年1月15日(火)、16日(水)の2日間
2.場所 : 東北大学川内北キャンパス厚生会館(第一食堂)
3.内容 : 農水省の推計を基に、国内の農業で供給できる食糧をメニュー化
        して提供。朝昼晩、各食30食限定。
        値段は朝食300円、昼食300円、夜食280円。
        http://www.maff.go.jp/j/zyukyu/anpo/pdf/p8.pdf
  
  ※このメニューは、平成27年度に見込まれる農地面積(450万ha)、農業技術水準等のもとで、カロリー確保を最優先に生産(水田のうち湿田以外の1/2にカロリー価の高いいも類を栽培)した場合のもの。ちなみに、平成19年度の全国の農地面積は465万ha。まぁ、簡単に言えば、海外からの食料輸入が断絶した場合、田んぼにいもを植えれば何とか死なない程度の国民のカロリーは確保できるということ。こういう栄養の偏った食事でいいかどうかは別問題として。


  残された課題は「So what?」(だから何だ)。
  イベント一発やったらそれはそれで成果だが、それだけでは足りない。
  どうやってこれを「持続的な取組」にするのか。Overall Goal (最終的な目標)は食糧安全保障の実現であり、このプロジェクトの Project Goal が「食糧安保問題について大学生が考えること」とした場合、一発花火ではインパクトは限定的である。さらにこの広報をどうやって波及させるか考えて欲しい。教師の要求は高いのだよ。

  ※例えば、このイベントの成功を受けて、日本各地、できれば学校給食なんかで同様のメニューを出してもらうようにするとか。おっとぉ、今度は食育、文科省と農水省の連携の話になるぞ。