学生時代は、夏休みの課題に「自由研究」というのがありました。
これは、学校教育の一環としてやらされる行事でしたから、それなりに対応してきました。
社会人になってからは、自ら率先して研究する事もなく、漠然とした生活を送る毎日でしたが、
この夏、自主的に「自由研究」に取り組んでみました。笑
自由研究のテーマは、「キアシナガバチの生態について」です。
蜂というと、「刺す、痛い、恐怖」等のイメージがあり、近寄りたくない存在の昆虫です。
蜂の中でも、最も恐れられている存在が「スズメバチ」の類です。
毎年、刺されて命を落とす人が絶えません。原稿を書いている今日も、
「除草中に蜂に刺されて死亡」の報道が入ってきました。
私も一度だけ、森戸川の藪の中を歩いていて、スズメバチに噛まれた事がありました。
刺されなかった事が不幸中の幸いでした。
そんな近寄りがたい存在の蜂ですが、何年か前から、自宅のベランダの軒下に巣作りする蜂がいます。
その蜂は「キアシナガバチ」。巣作りする度に、家族からの猛反発を受けてやむなく駆除。
今年も6月の初めから1匹の女王蜂がやってきて、発見した時は、既に10部屋が完成。
アシナガバチの中では、「特に攻撃性が強いとか毒性が強い蜂」といわれていますが、
「実際の所はどうなのか?」を調べてみたくなりました。
家族には「こちらから威嚇しない限り大丈夫」と宥めて、巣を駆除することなく観察しました。
ベランダは、物干し場として利用しているので、洗濯物を干したり取り込んだりする時に観察します。
■観察して解った事。
・攻撃性の無い大人しい蜂。
・発見後の1ヶ月は、女王蜂1匹で子育てと巣作り。30部屋作る。
・1匹の蜂が毛虫を団子にして巣に戻ると、別の蜂に口移しで渡して幼虫に与える。
・猛暑日には、成虫が羽をバタバタさせて巣の幼虫に送風する。
・猛暑日には、幼虫がいない部屋に頭を突っ込む所を何度か目撃。理由は不明。
・仕事をさぼり、休んでばかりいる蜂がいた。
・台風8号がやってきて、強風(15m)で巣が飛ばされる事を危惧したが、飛ばされず。(剣崎で25m)
後日、蜂が完全に居なくなってから巣を駆除したが、巣を固定していた主軸の柱の堅い事。
これには驚いた。
・成虫間近の幼虫には、部屋に蓋をするが、10匹以上の幼虫が部屋から落ちた。落ちた幼虫を、
成虫が戻すことはしない。後は死を待つのみ。
・蓋をした部屋から成虫が出てきた所は、一度も確認できず。
・巣の材料は木材。木材を口でかじり、それを唾液と混ぜて巣材にしている様子。
・死んだ成虫が3匹(累計)ベランダの床に落ちていた。原因は不明。
・巣の部屋は約160室あったが、最後に数えた成虫は88匹。残りの72部屋は何の目的か?
死んだ蜂の数とも合わないし。
・8月20日、巣から蜂が居なくなった。巣から離れた場所の軒下に、小群の群れがいたが、
翌日の21日は完全に居なくなった。
・運んでくる餌の大半が、緑色の青虫だった。益虫と言われる理由は、そういう事か。
・触覚の長さの違いで雄か雌かが解った。(次回は比率を確認したい)
■考察
実際、巣から1mくらい離れた場所で巣を観察しましたが、洗濯物を干したり取り込む際に、
蜂の方から襲う行動に出た事は一度もありませんでした。
「蜂の利用価値は?」と聞かれると「ハチミツ」を連想しますが、この巣からはハチミツは取れません。笑
この蜂は蜜や花粉は集めませんから。子育ての為に青虫を捕えてくるだけです。
巣を撤去して解った事は、その堅固な主軸となる柱。巣材が材木と蜂の唾液だけで、
あそこまで堅い建造物ができるなら、その巣材の成分を分析して、人工的に何かの役に立てそうな
気がしました。
最後に、自己責任において観察した様子を報告しました。危険を覚悟の上の観察報告ですから、
決して真似しないで下さい。
たまたま、我が家に営巣したこの家族が大人しかっただけかも知れませんから。
フラッシュを焚いて撮影しても攻撃してきません。
88匹数えた(ピーク時)
8月20日巣から居なくなった。
8月20日巣の近くに居た蜂
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