目の中のリンゴ

20年ぶりにオペラ座熱が再燃!!

「SAYURI」 ファンタジーなのよ!

2005年12月22日 | 映画タイトル さ行
こっ、こんなの日本じゃなーい!!! 
ぜいぜいっ・・・ いきなり叫んでしまいましたが、
映画化を知って原作本を読んで早5年。
原作を読むたびに その素晴らしい翻訳に、祇園の女の世界を思い描いて
楽しみにしていました。
その期待は・・・儚くも破れ去ったのでございます。

とはいっても、それは私の思い描いていた花柳界の映像と
かけ離れていただけで、アメリカ人を魅了する神秘の国JAPANの
ゲイシャの世界
としては 十分美しく、魅力的に描かれていたのでは
ないでしょうか。

すでにこの映画をご覧になった方々の感想を拝見しては、
その勘違い振り、違和感、おかしいと感じる点など、
ふむふむ、とチェックして、まぁ ハリウッド映画だし・・・と
鷹揚に構えていたのですが、いざ観てみると、
やっぱり許せないのが着物。

”芸者には着物が命”なんて言ってるわりに、そんなのでいいのか?
どの着物も高価で美しいものに見えない、安っぽい”オシャレ着物”の
類に見えてしまう。ゴワゴワしてたり、シワシワだったり、
襟元がおかしかったり・・・。
着物に関してはシロウトの私でもそう感じるのだから、
ちょっと着付けなんか知ってる人には どう見えるんだろ・・・。

コン・リーのしどけない乱れた姿は キャラクターと解釈するにしても
チャン・ツィイーの似合わないこと・・・。華奢すぎるんだろうか。
(もんぺ姿にホっとした)
その点ではミシェル・ヨーが一番さまになってたかな。

芸者を象徴する着物姿の美しさ、髪形やかんざしや化粧などなど、
やっぱり一番大事なところだもの、気になって当たり前ですよね。
演技はよくても、あの姿じゃ、初桃が祇園一の華であり、
怖いほど美しい売れっ子芸妓には見えないのが残念。
年中 だらしなく色気を放出してるふしだらな性悪女みたいだ~。

火花を散らす女の世界はなかなかのものだと思いましたが、
ああー なんか違うのよ!!
もっと華やかで艶やかで、でも凛として威厳に満ちた
気高い世界を想像してたのに。
”芸者は娼婦ではない”なんて台詞も 説得力がないんですけど・・・。

英語での台詞はあんまり気にならなかったです。
これは、普段、フランス人もドイツ人もロシア人も
英語を喋るハリウッド映画を見慣れているせいかなぁ。

ともかく、私がこの映画を観て受けた印象は、
「ムーラン・ルージュ」を観た時に似ています。
華やかでゴージャスで、コテコテな世界を めいいっぱい描いていて
俳優たちもがんばってるんだけど、どこか違和感があって、
素直に入り込めない。”演じてる感”がアリアリで、
”オールスター新春かくし芸大会”のような印象を受けるのです。

チャン・ツィイー、コン・リー、ミシェル・ヨー、桃井かおり、
工藤夕貴、大後寿々花、渡辺謙、役所広司などなど、
俳優さんたちはがんばってました。
(特に大後寿々花ちゃんは 英語も上手かったし、可愛かった。
桃井さんは雑誌のインタビューでイロイロ語ってた通り、
堂々たる女優っぷりでした!カッコイイな。)

まぁ、これを日本映画として作ったら、
たぶん 今更、って感じで面白みもないわけで、
これはファンタジーだ!日本じゃないんだ!と思うしかないです。
TV放送でちらっとしか見たことのない五社英雄監督の映画を
じっくり観てみたくなりました。

ところで、神社で”ゴーン”ですが、あれがお寺なら
違和感なかったのに惜しい(笑)お寺では拝む時に銅鑼っていうの?
鳴らしますよね。千代ちゃん、綱を引いて鳴らしてたし。
神社の鈴なら布(?の紐)が下がってますよね。
鳥居の中を駆けていく印象的なシーンの後には
日本人としては やっぱり”カランカラン”という鈴の音を
セットで思い浮かべてしまうわけで。

風鈴のステキな使い方や、斬新すぎるさゆりの舞にも度肝を抜かれました。

結局どうだったかというと・・・この先原作を読み返すことはあっても、
この映画は、たぶん二度と観ないだろうな・・・という感想です。
ああー なんかまだまだ書き足りないのですが、
ともかく、原作の翻訳を、いっぺん読んどくれやす!
なのです。 (それについてはコチラ
また思い出したらUPします。
コメント (19)    この記事についてブログを書く
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19 コメント

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そうですか・・・ (ska)
2005-12-23 09:23:56
ファンタジー映画風なんですかね。。。

DVDにしようかな。でも原作はすっごい面白そう☆

返信する
そうですなぁ・・ (のら(ぶんちょう))
2005-12-23 09:34:55
着物ね・・お金はかかってるんでしょうけど

高く見えなかったですよね。

ファンタジーととるしかないっすかね~。

日本人にとっては。



五社監督の映画「吉原炎上」や「陽暉楼」

を私はテレビで見たぐらいですが

情念の世界というのかな。

すっごい迫力ありますんで

良かったら見てみてくださいね~。



初桃が売れっ子っていうのも

ど~もしっくり来なかったですね。
返信する
Unknown (Notorious♪)
2005-12-23 11:13:56
こんにちは♪



あのゴ~ンの鐘の音にはトホホでしたね。

中国テイストが抜けきらないハリウッドの

日本描写には正直ムカついちゃいます ^^;
返信する
やっぱり・・ (Cartouche)
2005-12-23 12:26:05
kinoさん。うまい!

そうです。アメリカ人から見た神秘の国で良かったんです。もうすこしだけキチンとしてくれれば・・

そうですよね。原作を読んだ者としては、もっともっとあでやかで凛とした花街の裏事情を描いてほしかったです。かくし芸大会ね~このコピーは最高だわ。
返信する
やっぱりね~ (choro)
2005-12-23 21:48:33
kinoさんのおっしゃること、全部よ~~くわかるわ~

主要人物の着物の着こなしは同じように感じました。

チャン・ツィイーは着物型の体型じゃないように思うな~(少しいかり肩?)

 

原作を先に読まれていたとなると余計に感じるでしょうね~(私は今読み出したばかりのところです)

外国の人があの世界を映像化するのはやっぱり難しいでしょう。



私はその辺、無視してドラマとしてのみ楽しんでしまいましたが、日本でTVドラマでもいいからもう一度作ってくれないかな~やはり日本人の手で作られたものが観てみたいですね。
返信する
まだ見ていないんですが・・・ (かるたす)
2005-12-23 22:43:18
キル・ビルみたいな映画だったらあんな日本でも楽しめちゃったけど・・・着物の着こなしとかってそこだけは一番気を使ってもらいたい部分では?

でもkinoさんの記事読んで違った意味で興味出てきました。
返信する
catpurr (Unknown)
2005-12-24 00:54:14
新春かくし芸大会!上手い事言いますね~!あの扇子回しなんか、まさにマジで今度のTVでやりそうですね!噂によると、あの着物は京都の古着の着物屋さんで、ごっそり買っていったらしいですよ。

チャン・ツィイーは痩せてるんだから、日本だったらタオル6枚はツッコミますけど、そんな着付けというか、知識をもった方が、現場にいなかったのでしょうね。

ラスト・サムライはまだ許せるけど、これは??って人が多いですね。ロブ・マーシャルにはハードルの高すぎた作品だと思います。



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参考になりました (ロイ)
2005-12-25 01:49:21
コメントありがとうございました。

皆さんの意見をみてると賛否両論のようですね。

参考になりました。

私はたぶん行かないと思いますが・・・
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TBさせてもらっちゃいました。 (チェブ)
2005-12-25 12:57:27
『オールスター新春かくし芸大会』

・・・(笑)

そういややってますね。

気合の入ったドラマ。

すごくよくわかります(笑)



ほんと‘日本じゃない’と思えば十分楽しめますよね。

あの風鈴の使い方は笑わせていただきました。

って、実はそういう使い方するのか!?

なんてちょっと考えちゃいました。。
返信する
やっぱ面白いなぁ~ (kim)
2005-12-25 13:49:32
Kinoさんのレビュー最高!

私も”オールスター新春かくし芸大会”のところに受けました(笑)

結局、この三連休は外出できず;;;でも、今年の映画なので、年内には是非観たいと思っております。

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