目の中のリンゴ

20年ぶりにオペラ座熱が再燃!!

いっぺん読んどくれやす 「さゆり」

2005年09月13日 | 読書
「さゆり」(Memoirs of a Geisha)アーサー・ゴールデン著です。
(上・下 文藝春秋社刊。文春文庫でも出てます)

ご存知(?)ハリウッドで映画化され、2005年12月全米・日本公開の
映画の原作。
私はこれ、かなり前、スピルバーグが監督するらしい、
マドンナが出演希望してるらしい
と言われていた頃に読みました。
アメリカ人に、”すごく面白かった。読むべき!”と言われたので・・・
翻訳でですが 読みました。面白かったです。
映画ももうすぐだよなー と思い、読み返してみたら、
やっぱり面白かったし、前に読んだ時と、感じ方もちょっと違いました。

日本海に面する小さな漁村で生まれた千代という少女が、
京都・祇園の花街に売られ、”さゆり”という名の
当代きっての名妓になるという話。
晩年 ニューヨークに渡った彼女が取材されて 自分の人生を語る、
という風になっています。

この小説は、翻訳が素晴らしい!
普通の日本人でも知らない 舞妓・芸妓の世界(花柳界、っていうの?)が
事細かに、女ごころまで丁寧に描かれていて、
それを完璧な京ことばで訳されているのだから、
外国人が書いた小説とは思えないような雰囲気です。
あんまりにも素晴らしいので、いったい英語でなんて書いてあるのか
興味が出て、わざわざペーパーバックも買ったくらい!

ちょっと見比べてみます。
たとえば、水揚げ前のさゆりをめぐって、ご贔屓さんたちとの宴席で・・・

"Poor Sayuri is only an apprentice,"said Mameha. "Perhaps we ought to spare her this conversation."
「おぼこい舞妓どすさかいー」と豆葉が言いました。「こないなお話、堪忍してやっとくれやす」

京言葉っていいですねー。翻訳者さん、いい仕事してます。
(映画の字幕はどうなるんだろ・・・)
カボチャに似てるから、とさゆりがあだ名をつけた”おカボちゃん”は
英語じゃ”パンプキン”って そのまんまやん。
しかし、アメリカ人に日本人の忍ぶ恋だの、本音と建前だの、
という心境がわかるんだろうか?

ストーリー自体は、サクセス・ストーリーといえばサクセス・ストーリー。
初めて読んだときには、さゆりと”会長さん”の関係を描く終盤が 
やけにアッサリしてて 物足りない感じもしたのですが、
久しぶりに読んでみて、”そこに至るまでが すべてなのだなぁ・・・”と
しみじみ思いました。だから、そこからは たいしたことじゃないのよ。

ああー 映画はいったいどんなことになるんでしょうね。
あろうことか、メイン・キャストは中国人女優さん。
ちらっと見せられる映像での チャン・ツィイーたちの
髪型や化粧も どこの国の人?って感じで不安だらけです。

映画の前に読むのもよし、映画を見た後で読んで ショックを緩和させるか・・・
ちょっと興味深い本なので 映画と関係なかったとしてもオススメです。

ちなみに キャストは

さゆり・・・チャン・ツィイー
初桃(いけずな、美しい悪魔のような先輩売れっ子芸妓)・・・コン・リー
豆葉(さゆりのお姐さん)・・・ミシェル・ヨー
会長さん(さゆりの憧れの人)・・・渡辺謙
延さん(”会長さん”の会社の社長)・・・役所広司
おカボちゃん(置屋に来た時からの友達)・・・工藤夕貴
お母さん(置屋のおかみ)・・・桃井かおり

コメント (23)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« またも新作 「苺の豆乳フロ... | トップ | 今シーズンのお気に入り 「... »
最新の画像もっと見る

23 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
私も心配 (catpurr)
2005-09-13 07:36:19
これ謙さんやチャン・ツイィーが出演してるので注目なんですが、監督は「シカゴ」撮った人ですよね。私もちょっと映像見たけど、西洋から見た東洋(日本も中国もごっちゃ混ぜ)になっていてオイオイ・・って感じのようで心配です。ほんまの京都が全然、無視されてるよ~!
返信する
原作に興味を持ちました。 (ミミヅク)
2005-09-13 12:11:19
キャスト、ほとんど日本の俳優なのに、

肝心の主演が違うんですね。

日本の女優さに、この人っていうのが

いないのが残念。男優も

いい役者なんだろうけど、

おいらには魅力的ではないですぅ。



がんばれ、日本の女優!



返信する
Unknown (よし)
2005-09-13 22:59:15
監督(シカゴのロブ・マーシャル)の話では、さゆりを演じられる世界で唯一の女優がチャン・ツイィーとのことです。その条件とは、圧倒的に美しいこと、15歳から40歳まで演じられること、偉大な女優であること、そして才気溢れるダンサーであること、そして英語が出来ることだそうです。非常に条件が厳しいです。これだけの条件を満たす女優はチャン・ツイィーしかいないのでは。日本の女優だけでなく、中国や韓国の女優でもこの条件に当てはまる人は思い浮かびません。皮肉なことに、さゆりの子供時代(千代)は、日本人の子役の大後寿々花が演じています。顔がチャン・ツイィーと似ていると評判です。そして、かわいくて頭がよいと、監督、チャン・ツイィー、ミッシェル・ヨーが、大絶賛です。出演時間が40分程と長いので、かなり注目されると思います(その時間の間はスクリーンを占有してることになるので)。

将来、チャン・ツイィー並みの女優なってほしいものです。

返信する
楽しみは楽しみ (kino)
2005-09-14 00:54:02
>catpurrさん

この映画はファンタジーらしいですから、リアリティを求めるとダメなのかも・・・。

これが日本映画になると、ありきたりになってしまうのかなぁ。

”会長さん”のイメージも、謙さんではちょっと違うんだけどな・・・。



>ミミヅクさん

原書と翻訳と読み比べて観て欲しいです!

英語のアッサリさ加減が面白いですよ(笑)



>よしさん

詳しいお話をありがとうございます。なるほど・・・。

確かに、英語ができて、世界に通用するような日本人女優って 思いつきません。

子役の日本人、楽しみです。

チャン・ツィイー、”さゆり”は合ってると思いますよ。

ただなぁ~ 日本の風俗や文化の描き方が心配。

(と言えるほど、私も花柳界を知りませんけど)

なんだかんだ言っても楽しみではあります。

返信する
私も心配。。 (Cartouche)
2005-09-16 19:20:53
私も大分前に原作を読みました。今までかすかに知っていた京都のこの世界のことを、翻訳モノによって知ったって何か不思議が気分でした。でも本当にすごい訳なんですね。しかし、しかし。。。映画の方は大丈夫でしょうか??
返信する
寿々花ちゃん (ミミヅク)
2005-09-16 23:03:26
写真みたら大人っぽいですね。よしさんの配役、子役の話、興味深く読ませていただきました。40分も出ずっぱりとは、将来が楽しみ。



翻訳はやっぱ京言葉(?)へ意訳しないと

成り立たないですね。

比べ読み、全部は無理だけど、

オモシロソウ。
返信する
異国のファンタジー (ミミヅク)
2005-09-16 23:10:21
しかし、やっぱ、ヘンだよね。全編英語の日本は。。。日本にけっこう忠実だった

ブラック・レインでも最後の決闘シーンの

農村はどこの国?状態だったし。



ある意味オモシロ日本?
返信する
面白いです (kino)
2005-09-17 08:09:34
>cartoucheさん

そう!外国人の作家がこれだけのものを書いた、というのが

不思議だし面白いですよね。

日本の、こういう作品を読んだことないのですが、

この世界に興味を持ってしまうような内容でした。



>ミミヅクさん

私も原書は全部は読んでいないけど、あまりにアッサリしてて 

違う小説のような気さえする(笑)

ああー 映画化はまたすごいブーイングになりそう・・・。
返信する
映画の予告編 (よし)
2005-09-18 21:35:59
映画の予告編見れます。

日本版  :http://www.movies.co.jp/sayuri/

アメリカ版:http://www.helloziyi.us/

映像美はすごいと思います。

チャン・ツイィーは小説の中のさゆりに見え、かつ非常に美しいです。

返信する
おおーーなかなか! (kino)
2005-09-18 22:38:50
よしさん、ありがとうございます。

早速観てみました。ちらっと見たことはあるけど、

少女時代のシーンもたくさん出てますね。

字幕はやっぱり 京言葉じゃなくて普通の話し言葉に

なってたけど・・・ま、仕方ないか。

チャン・ツィイー、綺麗です。(日本髪の形が微妙に違和感ありですが。)

楽しみになってきました。
返信する

コメントを投稿