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「キング 罪の王」 罪のカタマリ

2006年11月29日 | 映画タイトル か行
予告で見た、ガエル・ガルシア・ベルナルの坊主頭が気になって
レディース・デー、観てきました。

「キング 罪の王」(THE KING・2005年・アメリカ)

除隊したばかりの青年エルビス(ガエル・ガルシア・ベルナル)は
まだ見ぬ父に会いに行った。
人々の信頼を集める裕福な牧師となった父
(ウィリアム・ハート)には、美しい妻と、
優秀な18歳の息子、16歳の娘がいて、
若い頃、娼婦との間に生まれたエルビスは
過去の過ちであり、認めたくない罪であった。
厄介払いされたエルビスは、娘(つまり異母兄妹)に近づき、
誘惑し、関係を結ぶのだった・・・。

以下の感想にはネタバレを含みます

なんとも後味の悪い映画で、いくらガエル君が魅力的でも
私はこの主人公になんの同情も共感も感じなかった。
正気の沙汰じゃない。彼の澄んだ瞳、無邪気な笑顔は
精神を病んだ姿としか思えない。

妹を誘惑して、肉体関係を結ぶのも知っていてのこと。
自分に冷たくした父親に復讐してやろう、
っていう魂胆よりも、ただセックスが好きで仕方のない
頭の弱い子みたいに見える。
(だって、軍を出て早々に女を買うシーンだってあったし)
出来のいい息子(自分の弟)を殺したのも、
計画的なことじゃない。
(テーブルの上のナイフを見た瞬間からヤバイと思ったよ)

要するに子供なんでしょう。
愛に飢えたまま大きくなった、不完全な子供。
自分の欲望は叶えたい。
邪魔なものは排除したい。
父親に抱きしめて欲しい。愛して欲しい。
ただそれだけ。
それを叶える手段があれじゃ・・・あまりにも。

自分は”父親の罪”だから、何をしても許されると思ってるのか?
”罪の王”だなんて、モッタイナイくらい。
まるで冷酷で完全犯罪を狙ったスゴイ奴みたいでしょ?
なーんも考えてない、自分勝手な、心を病んだ男。
罪のカタマリ、くらいか。

お父さんもお父さん。
息子がいなくなったら、疎んじていた私生児を
家に迎え入れる、っていうのも、
一体どういうことよ・・・と 奥さんじゃなくても
思います。それで過去が清算されると思ってるのだろうか。

ラストシーンでますます、エルビスが許せなくなりました。
ひどすぎる。何が懺悔じゃ。
(ずーっとカメラが動いていく、あの撮り方には
ドキドキさせられますね・・・)

深く考えれば、罪とは?神とは?許しとは?
なんて話になるのかもしれませんが、
どうにも受け入れられません。
誰でも過去の罪はあるのかもしれませんが
その罪に、こんな形で復讐されるというのなら
一体、懺悔って何?

ガエル君は相変わらずイノセントな顔して
フェロモン放出してます。
この役にはぴったりかもしれません。
なんといっても、このキャスティングが罪ですなぁ。
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5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
う~~ん、なるほど (choro)
2006-11-29 20:12:38
この映画、気になりつつ、観に行く機会がなさそうで、DVD待ちかな~と思っていたところなのですが、微妙なんですね。

後味の悪い映画は辛いですよね~
しかもキャストがいいと余計にがっくり来るかも。

DVDかWOWOWで観られるのを待つことにしますね。
返信する
なんで昼から? (チェブ)
2006-11-29 20:30:04
これ観に行きたいなーって思ってたんですよ~。
が、お昼からの上映しかないですよね?コレ。
時間が合わなくて来月の京都での上映を狙ってます。

あんまり気持ちの良い話じゃないのは覚悟してましたが
後味も悪いのですね。。
う~ん。。
でもますます許せなくなるラストも気になります。
返信する
人によっては (☆kino)
2006-11-30 07:56:41
>choroさん
いやー 私はダメだったけど、人によっては
”名作!心をえぐられた!”って思う人もいるかもしれません。
どうもね・・・無理があるというかなんというか。
観てみてください!

>チェブさん
一回目がお昼ですよね。けっこう上映期間も短いし。
読み取る力があれば、ふかーい物語なのかも
しれないけど・・・なんともどよーんとする話でした。
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名作ではないけれど、わりと秀作!? (かえる)
2006-12-04 01:53:07
ご無沙汰しておりました。
なるほど、罪なのはそのキャスティングでしたよね。
エルビスに共感はもちろんしないけれど、わりとエルビスサイドから展開を見つめる自分がいました。
そんなことも含めて興味深い物語でした。
この映画、意外と私は気に入ってます。(笑)
返信する
罪なガエルくん (☆kino)
2006-12-07 00:23:16
>かえるさん
コメントありがとうございます。
私はホントにエルビスが許せなかったので、
暗い気持ちのまま見終えてしまいましたが、
見方によっては深くてスゴイ映画なのかも・・・。
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