廊下にセミが転がっていた。ちゃんと合掌しながら息絶えていた。拾ってそっと置いてみる。生きてるセミと息絶えたセミの容姿は違わない。とんな夏でも羽化した夏がそのセミの夏。どんな夏でも夏を一瞬切り取って劣化することなく逝くのがなんだかうらやましい。