金木病院

太宰治のふるさと津軽の金木町。危機に瀕した金木病院がみんなの協力でもちこたえました。

救急再開の現場記録!

東奥日報「社説」

2007年08月12日 10時47分57秒 | 金木病院を守ろう
継続へ一層の医師確保を/金木病院救急体制

地域住民は、ほっとしていることだろう。

深刻な医師不足の影響で、今年一月から救急車の受け入れを休止していた五所川原市の公立金木病院が、十月一日からの受け入れ再開を正式決定した。

県内の自治体病院は医師不足にあえいでいる。金木病院も例外ではない。同病院は二〇〇六年十二月に内科医二人が退職し、常勤医が四人(うち内科医一人)に減少した。この影響で、同病院は今年一月一日付で救急告示を取り下げ、救急車の受け入れをやめた。

受け入れ休止の反響は大きかった。「万一の場合、死なずに済む人が助からなくなる」「急に具合が悪くなったらどうすればいいのか」。救急医療崩壊の危機に直面し、住民は不安を口にした。

「近くに身寄りがいない年寄りは、誰を頼ればいいのか」。特に、持病を抱える高齢者の声は悲痛だった。

休止を受け、地域住民でつくる「金木病院の救急体制を維持する会」は約二万人の署名を集め、行政を動かした。休止後、病院側も医師確保に努めた。

その結果、病院は一月に婦人科一人、二月と六月に内科医各一人の常勤医を採用。常勤医七人体制(うち内科医三人)となり、ようやく救急再開のめどが立った。

今後は、救急休止に伴って減らした看護職員の増員を図り、十月から再開する予定だが、一方で課題も山積している。

金木病院の医師充足率は七月一日現在、非常勤を含めても約83%。医師が足りない状況は変わらない。救急体制を維持するには、一層の医師確保が求められる。ハードルは高いが、地域住民の命を守るためにクリアしなければならない命題だ。

金木病院の救急車受け入れ休止に伴い、津軽半島北部の患者は同病院から十キロ離れた西北中央病院(五所川原市)に搬送しなければならなかった。搬送距離が長くなり、一刻を争う急病の場合、大きなハンディとなっていた。

救急再開で長距離搬送は解消される。しかし同時に、金木病院に重症患者がどんどん入院することになれば、常勤医の負担もかなり増えてくる。

さらに、医師の充足率が不足している現実を考え合わせると、再開した救急車受け入れを再び休止しなければならない事態が起きないとも限らない。

常勤医七人体制は救急体制を維持するにはぎりぎりのラインだ。金木病院を運営する一部事務組合管理者の平山誠敏五所川原市長も、内科医をあと一人確保したい考えを示している。

救急維持には医師の増員はもちろんのことだが、常勤医の負担を軽減するため、非常勤医のサポートを含め医師の職場環境の見直し・改善について具体的な方向性を打ち出していくことも必要だ。

そして、住民側も救急車の適正利用を心がけなくてはならない。軽微な症状にもかかわらず、タクシー代わりに救急車を呼ぶケースもあると聞く。

救急体制の維持は、病院、行政の努力だけでは成り立たない。住民の協力も求められていることを忘れてはならない。

『東奥日報』社説
http://www.toonippo.co.jp/shasetsu/sha2007/sha20070812.html