2-1 製品
製品政策は、市場需要の創造・開拓と拡大を達成するためにどのような製品を開発し、それを育成していくかということに関わっている。この領域での主な問題は、新製品開発プロセスをどのように作り上げ製品コンセプトをいかに確立するか、ブランドをどのように作り上げるか、パッケージ政策をどのように計画し実践する加などを考えることである。
製品コンセプトとは品質や性能が最高である製品や、革新的な特徴のある製品が消費者に好まれるという考え方である。優れた製品を提供することは消費者の支持を集めることにつながる。しかし、製品コンセプトは「マーケティング・マイオピア」につながりかねないので注意しなければならない。
具体的にポカリスエットはどのような製品政策が取られたのだろうか。
ポカリスエットは、「汗をかいたときの水分補給を行うための製品」として開発された。ポカリスエットの販売当時、スポーツドリンク市場においては先行商品としてゲータレードがあったが、味がおいしくなかったことから、苦戦を強いられていた。そこで大塚製薬は研究を重ね、体液に近く、素早い吸収性を持ち、低カロリーで、飲みやすい味の製品開発に成功し、「ポカリスエット」として販売した。ゲータレードと比較して消費者に好まれる味であったことに加え、ゲータレードがスポーツドリンクとして市場を限定していたのとは対照的に、ポカリスエットは、商品コンセプトを「飲む点滴」として、スポーツ、仕事、風呂上がり、寝起きなど日常生活のあらゆる場面での摂取を印象付けることで、市場を限定することなく様々な消費シーンの提案を行い、支持を拡大した。
また、ポカリスエットといえば青いパッケージが印象的であるが、このパッケージにも工夫がされていた。今でこそ飲料で青のパッケージはそれほど珍しいものではないが、ポカリスエット発売当初は、飲料で青いパッケージを採用しているものはなかった。ポカリスエットは、青いパッケージを採用することで、爽快感を印象付けることに成功し、根強い人気を獲得するに至ったということができる。
2-2 流通
ポカリスエットの発売にあたり、大塚製薬は小売店回りを徹底して行った。飲料は、最寄品であるため、積極的なプロモーションを行っても、取り扱い小売店が少なければ消費者の購入を期待することはできない。そこで、営業による小売店回りで、ポカリスエットの機能性や味を徹底してアピールし、多くの小売店で商品を扱ってもらうことに成功した。1982年に「二日酔いに効く」という訴求点を新たに加え、酒店を中心に販売店を拡大した。更には、脱水症状に効果があるとして、医者や病院にも販売先を求めた。この間には多くの競合飲料が販売されたが、ポカリスエットは確実に売上を伸ばしていった。
2-3 価格
ポカリスエットは発売当初1缶120円で売り出した。その後アクエリアスがほとんど同じ製品として登場し、価格だけを100円に設定し差別化を図った。
2-4 プロモーション
ポカリスエットのプロモーションの特徴として挙げられるのが、キャッチコピーを明確にし、消費者にはっきりとした製品コンセプトを伝えているという点である。元々、ポカリスエットは「発汗によって失われた水分を適切に補給する」という明確な製品コンセプトがあるが、それに加えてキャッチコピーを設け、テレビコマーシャルなどを通じて消費者に対して発信することで、より強い商品イメージを与え、購入を促す効果がある。
最大のライバル商品であるアクエリアスの広告と比較した際に特徴であると言えるのは、アクエリアスはスポーツ選手を起用したプロモーションを行っているのに対して、ポカリスエットはタレントを起用したプロモーションを行っているという点である。アクエリアスは、国際オリンピック委員会やFIFAワールドカップの公式飲料になっていることからも、スポーツを行う際に飲むドリンクとしてのプロモーションを行っていることから、スポーツ選手を起用していると言うことができる。一方のポカリスエットは、前にも述べた通り、スポーツドリンクというカテゴリーに位置しているが、日常生活における様々な場面において飲むことを推奨している。そのためプロモーションにもスポーツ選手ではなく、タレントを起用しているということができる。
また、ポカリスエットのプロモーションとして挙げられるのが、スポーツイベントにおけるキャンペーンである。発売当初は大量のサンプルを配布し、ポカリスエットの認知度を高めることに成功した。その他にも、中学生や高校生の試合において、スクイズボトルを配布し、ポカリスエットを無料で提供するといった活動を行っている。
2-5 ブランド戦略
日本のスポーツドリンクの草分けといえるポカリスエットは、発売30年目を迎えた今でも、幅広い世代から支持されている。その理由として挙げられるのが、大塚製薬がとったブランド戦略である。発売当初から商品コンセプトを堅持し続け、ポカリスエットのブランドイメージを浸透させた。
また、青いパッケージもポカリスエットのブランド確立において大きな役割を担った。ブランドにおいて「色」は、他との識別や固有イメージをつけるという点で重要な役割を担っている。ポカリスエット発売当時は、食品のパッケージに「青」を使うのはタブーとされていた。理由としては、青は冷たく淡白なイメージがあることや、食欲減退色であることが挙げられる。しかし、ポカリスエットは、青いパッケージで販売することにより、爽快感を印象付けることに成功した。また、ブランドカラーを全面に押し出すことで、消費者に対して“赤い缶=コカ・コーラ”“青い缶=ポカリスエット”というイメージを植え付けた。
2-6 その他
ポカリスエットが長期間に渡り市場首位を維持し続けたのは、他社に先駆けて様々な取り組みを行ってきたからであるということができる。学生が飲むイメージが広告などからも強くあるが、購入者には主婦や高齢者も多い。その理由として挙げられるのが、環境保護意識を高めたことである。ポカリスエットは業界に先駆けて1997年にペットボトルのラベルにミシン目を入れ、ゴミの分別回収をしやすくした。更に、2007年には国産最軽量のペットボトル容器を採用し、主婦の購入者を拡大した。
また、ポカリスエットがスポーツ時以外にも、健康と関連付けて商品イメージを確立させてきたために、風邪など体調不良の際にポカリスエットを飲む消費者が非常に多い。これにより、冬場は需要が落ち込みがちなスポーツドリンク市場において、冬場でも一定の売上を保つことができている。
2-7 SWOT分析
強み(Strengths)
スポーツドリンクの元祖として、ブランドを確立していることは強みであるということができる。また、ペットボトルだけでなく、缶、更に粉末タイプも販売していることは強みであるということができる。
弱み(Weaknesses)
日本においてはアクエリアスに負けずに十分な売上をあげているが、世界的に見るとアクエリアスは国際オリンピック委員会やFIFAワールドカップの公式飲料になっているように、アクエリアスの規模が圧倒的である。
また、アクエリアスがアクエリアス・アクエリアスビタミンガード・アクエリアスゼロ・アクエリアスゼリー・アクエリアスフリースタイル・アクエリアスオアシス・アクエリアスクエン酸インなど、用途に合わせて多くの製品ラインナップを揃えているのに対し、ポカリスエットはポカリスエット・ポカリスエットイオンウォーターのみと限られている。大塚製薬はポカリスエットの他にアミノバリューやエネルゲンをスポーツドリンクとして展開しているが、「アクエリアス」と「ポカリスエット」というブランドで比較した際に、ポカリスエットは総合的なブランド力では劣るということができる。
機会(Opportunities)
最近、健康に対する意識が高まり、それに伴い日常生活の中に運動を取り入れたり、休日にジムに通ったりする人が増えている。スポーツ人口が増加することで、スポーツドリンクに対する関心も高まり、市場が拡大することが予想される。
脅威(Threats)
健康志向の消費者をターゲットとした機能の高い製品が多く登場してきている。花王の「ヘルシアウォーター」は、特定保健用食品の表示許可を得ている飲料で、価格は他社のペットボトル飲料と比較して高めだが、その機能性から根強い人気を誇っている。今後は更に機能性を重視した飲料が登場してくることが予想される。機能性から見ると、大塚製薬はOS-1という「飲む点滴」としての機能に特化した特殊用途飲料を販売しているが、服用に際して医師や薬剤師の指示が必要であることから、販売経路が極めて限定されていて、現時点では幅広い支持を得ることは難しいと言える。
まだ途中で、内容も薄い状態なんですが、とりあえず現段階でできているところまで載せました。
7日までにはもう少しきちんと考えておきます。
製品政策は、市場需要の創造・開拓と拡大を達成するためにどのような製品を開発し、それを育成していくかということに関わっている。この領域での主な問題は、新製品開発プロセスをどのように作り上げ製品コンセプトをいかに確立するか、ブランドをどのように作り上げるか、パッケージ政策をどのように計画し実践する加などを考えることである。
製品コンセプトとは品質や性能が最高である製品や、革新的な特徴のある製品が消費者に好まれるという考え方である。優れた製品を提供することは消費者の支持を集めることにつながる。しかし、製品コンセプトは「マーケティング・マイオピア」につながりかねないので注意しなければならない。
具体的にポカリスエットはどのような製品政策が取られたのだろうか。
ポカリスエットは、「汗をかいたときの水分補給を行うための製品」として開発された。ポカリスエットの販売当時、スポーツドリンク市場においては先行商品としてゲータレードがあったが、味がおいしくなかったことから、苦戦を強いられていた。そこで大塚製薬は研究を重ね、体液に近く、素早い吸収性を持ち、低カロリーで、飲みやすい味の製品開発に成功し、「ポカリスエット」として販売した。ゲータレードと比較して消費者に好まれる味であったことに加え、ゲータレードがスポーツドリンクとして市場を限定していたのとは対照的に、ポカリスエットは、商品コンセプトを「飲む点滴」として、スポーツ、仕事、風呂上がり、寝起きなど日常生活のあらゆる場面での摂取を印象付けることで、市場を限定することなく様々な消費シーンの提案を行い、支持を拡大した。
また、ポカリスエットといえば青いパッケージが印象的であるが、このパッケージにも工夫がされていた。今でこそ飲料で青のパッケージはそれほど珍しいものではないが、ポカリスエット発売当初は、飲料で青いパッケージを採用しているものはなかった。ポカリスエットは、青いパッケージを採用することで、爽快感を印象付けることに成功し、根強い人気を獲得するに至ったということができる。
2-2 流通
ポカリスエットの発売にあたり、大塚製薬は小売店回りを徹底して行った。飲料は、最寄品であるため、積極的なプロモーションを行っても、取り扱い小売店が少なければ消費者の購入を期待することはできない。そこで、営業による小売店回りで、ポカリスエットの機能性や味を徹底してアピールし、多くの小売店で商品を扱ってもらうことに成功した。1982年に「二日酔いに効く」という訴求点を新たに加え、酒店を中心に販売店を拡大した。更には、脱水症状に効果があるとして、医者や病院にも販売先を求めた。この間には多くの競合飲料が販売されたが、ポカリスエットは確実に売上を伸ばしていった。
2-3 価格
ポカリスエットは発売当初1缶120円で売り出した。その後アクエリアスがほとんど同じ製品として登場し、価格だけを100円に設定し差別化を図った。
2-4 プロモーション
ポカリスエットのプロモーションの特徴として挙げられるのが、キャッチコピーを明確にし、消費者にはっきりとした製品コンセプトを伝えているという点である。元々、ポカリスエットは「発汗によって失われた水分を適切に補給する」という明確な製品コンセプトがあるが、それに加えてキャッチコピーを設け、テレビコマーシャルなどを通じて消費者に対して発信することで、より強い商品イメージを与え、購入を促す効果がある。
最大のライバル商品であるアクエリアスの広告と比較した際に特徴であると言えるのは、アクエリアスはスポーツ選手を起用したプロモーションを行っているのに対して、ポカリスエットはタレントを起用したプロモーションを行っているという点である。アクエリアスは、国際オリンピック委員会やFIFAワールドカップの公式飲料になっていることからも、スポーツを行う際に飲むドリンクとしてのプロモーションを行っていることから、スポーツ選手を起用していると言うことができる。一方のポカリスエットは、前にも述べた通り、スポーツドリンクというカテゴリーに位置しているが、日常生活における様々な場面において飲むことを推奨している。そのためプロモーションにもスポーツ選手ではなく、タレントを起用しているということができる。
また、ポカリスエットのプロモーションとして挙げられるのが、スポーツイベントにおけるキャンペーンである。発売当初は大量のサンプルを配布し、ポカリスエットの認知度を高めることに成功した。その他にも、中学生や高校生の試合において、スクイズボトルを配布し、ポカリスエットを無料で提供するといった活動を行っている。
2-5 ブランド戦略
日本のスポーツドリンクの草分けといえるポカリスエットは、発売30年目を迎えた今でも、幅広い世代から支持されている。その理由として挙げられるのが、大塚製薬がとったブランド戦略である。発売当初から商品コンセプトを堅持し続け、ポカリスエットのブランドイメージを浸透させた。
また、青いパッケージもポカリスエットのブランド確立において大きな役割を担った。ブランドにおいて「色」は、他との識別や固有イメージをつけるという点で重要な役割を担っている。ポカリスエット発売当時は、食品のパッケージに「青」を使うのはタブーとされていた。理由としては、青は冷たく淡白なイメージがあることや、食欲減退色であることが挙げられる。しかし、ポカリスエットは、青いパッケージで販売することにより、爽快感を印象付けることに成功した。また、ブランドカラーを全面に押し出すことで、消費者に対して“赤い缶=コカ・コーラ”“青い缶=ポカリスエット”というイメージを植え付けた。
2-6 その他
ポカリスエットが長期間に渡り市場首位を維持し続けたのは、他社に先駆けて様々な取り組みを行ってきたからであるということができる。学生が飲むイメージが広告などからも強くあるが、購入者には主婦や高齢者も多い。その理由として挙げられるのが、環境保護意識を高めたことである。ポカリスエットは業界に先駆けて1997年にペットボトルのラベルにミシン目を入れ、ゴミの分別回収をしやすくした。更に、2007年には国産最軽量のペットボトル容器を採用し、主婦の購入者を拡大した。
また、ポカリスエットがスポーツ時以外にも、健康と関連付けて商品イメージを確立させてきたために、風邪など体調不良の際にポカリスエットを飲む消費者が非常に多い。これにより、冬場は需要が落ち込みがちなスポーツドリンク市場において、冬場でも一定の売上を保つことができている。
2-7 SWOT分析
強み(Strengths)
スポーツドリンクの元祖として、ブランドを確立していることは強みであるということができる。また、ペットボトルだけでなく、缶、更に粉末タイプも販売していることは強みであるということができる。
弱み(Weaknesses)
日本においてはアクエリアスに負けずに十分な売上をあげているが、世界的に見るとアクエリアスは国際オリンピック委員会やFIFAワールドカップの公式飲料になっているように、アクエリアスの規模が圧倒的である。
また、アクエリアスがアクエリアス・アクエリアスビタミンガード・アクエリアスゼロ・アクエリアスゼリー・アクエリアスフリースタイル・アクエリアスオアシス・アクエリアスクエン酸インなど、用途に合わせて多くの製品ラインナップを揃えているのに対し、ポカリスエットはポカリスエット・ポカリスエットイオンウォーターのみと限られている。大塚製薬はポカリスエットの他にアミノバリューやエネルゲンをスポーツドリンクとして展開しているが、「アクエリアス」と「ポカリスエット」というブランドで比較した際に、ポカリスエットは総合的なブランド力では劣るということができる。
機会(Opportunities)
最近、健康に対する意識が高まり、それに伴い日常生活の中に運動を取り入れたり、休日にジムに通ったりする人が増えている。スポーツ人口が増加することで、スポーツドリンクに対する関心も高まり、市場が拡大することが予想される。
脅威(Threats)
健康志向の消費者をターゲットとした機能の高い製品が多く登場してきている。花王の「ヘルシアウォーター」は、特定保健用食品の表示許可を得ている飲料で、価格は他社のペットボトル飲料と比較して高めだが、その機能性から根強い人気を誇っている。今後は更に機能性を重視した飲料が登場してくることが予想される。機能性から見ると、大塚製薬はOS-1という「飲む点滴」としての機能に特化した特殊用途飲料を販売しているが、服用に際して医師や薬剤師の指示が必要であることから、販売経路が極めて限定されていて、現時点では幅広い支持を得ることは難しいと言える。
まだ途中で、内容も薄い状態なんですが、とりあえず現段階でできているところまで載せました。
7日までにはもう少しきちんと考えておきます。