ぼかぽかポカリ☆(仮)

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2-4 プロモーション

2009-10-07 19:03:50 | 日記
2-4 プロモーション
サンプルで認知を
 発売当初はポカリスエットを1本でも多く置いてもらえるように、前述のような販売店を回った。しかし、店主に「味がまずく売れないから取り扱うことができない」と断られた。一般消費者の意見を聞いてみても、「まずい」という評価を得た。
そこで社長は、無料サンプルを無制限にひたすら配布する戦略を打ち出した。野球をしている少年のような「汗をかきやすいと考えられる場所」に出向きサンプルを配布した。そこでの評判は上々であったが、無料配布本数が約3000万本で赤字額が40億円にも上った。
そうした中で、発売から2年目の夏、ポカリスエットの製品コンセプトがようやく消費者間に広まり、売り上げが前年の3倍の280億円まで伸びた。ポカリスエットの発売後、後続商品が続々と発売され、7年後には市場規模が1000億円まで成長した。
結局、味の問題よりも製品の認知度が低く、製品特性を実感できなかったことが初期の販売不振の理由と言える。
CM
ポカリスエットは発売当初、外国人を起用したテレビCMで、異質感を演出していた。これは、既存の製品とは全く違うことが強調され、それはあたかも江戸時代の黒船のようであった。
その後、アクエリアスの登場により1988年に値下げを行い、CMのイメージを一新した。若手女優を起用し、「青春」や「爽やかさ」を感じさせるテレビCMに仕上げていった。商品認知度が極めて高い中で、消費者はフレッシュなイメージを喚起できた。
2007年には、イメージを一新して国民的アイドルグループSMAPを起用した。CMコンセプトを「ACTION」とし、500mlペットボトルで国産最軽量容器に刷新したことをアピールした。これらに共通することは、前に進み続けること、つまり、商品の中身は変わらなくても、止まっていないというイメージをアピールした。
 また、SMAPの起用はより幅広い世代にポカリスエットをアピールする狙いもあった。ライバルのアクエリアスはスポーツ選手を起用したテレビCMを展開していた。ポカリスエットはスポーツ時だけでなく様々な機会に飲まれているとの分析を元に、さらに購買層を拡大しようとしたのである。広告の評価が高いこともあり、2007年4~6月は単品で前年実績を上回る販売実績に上げた。


2-5 ブランド
ポカリスエット発売当初は競合製品が少なかったスポーツドリンク市場も、後続商品が次々と登場し、機能・味などの面において、商品ラインナップに広がりを見せていった。
しかし、その中でも現在でもポカリスエットのシェアを上回るものはアクエリアスの他にはない。なぜ、ポカリスエットは長年に渡り消費者に支持され続けているのだろうか。その理由として「ポカリスエットブランド」を確立できたことがある。
 アメリカ・マーケティング協会は、ブランドを「個別の売り手もしくは売り手集団の商品やサービスを識別させ、競合他社の商品やサービスから差別化するための名称、言葉、記号、シンボル、デザイン、あるいはそれらを組み合わせたもの」と定義している。ポカリスエットは日本のスポーツドリンク市場の草分け的存在である。市場開拓商品の優位性もあり、「スポーツドリンクといえばポカリスエット」という認識が消費者に定着した。

ポカリスエットブランドの3ポイント
 ポカリスエットは「ネーミング」、「パッケージ」、「キャッチコピー」というブランド確立のための重要な要素を的確におさえている。この3点は商品イメージを形付けるために欠かせないものである。ポカリスエットは飲料市場に新星として登場した背景から見ても、ここはマーケティング戦略の中でもポイントとなる。
まず、ネーミングについてだが、大塚製薬によると“ポカリ”は語感の軽い明るい響きを持つ言葉としてつけたもので、特別な意味はない。“スエット”は日本語の意味通り、身体から失われる「汗」を表し、汗の代用になることを通じて、水分やイオンの大切さを訴えるネーミングになっている。
 2つ目にパッケージについてである。ポカリスエットはパッケージカラーに“青”を採用した。ポカリスエット発売当時は、食品関係のパッケージに“青”を使用するのはタブーとされていた。青は冷たく淡白なイメージがあることや食欲減退色であるからである。
しかし大塚製薬は、ポカリスエットのパッケージで青い海と白い波をシンボライズし、「身体の中には海がある」ことをデフォルメした。このパッケージは「汗」、「渇き」、「海」など細胞から発せられる体の切実な訴えの受け手として、十分な記号を持ち合わせている。
また、青いパッケージは爽快感を印象付け、発売当時の既存商品との識別を容易にし、ポカリスエットブランドを確立させる重要な要素となった。
 最後にキャッチコピーについて触れていく。ポカリスエットはキャッチコピーをCMごとに変化させている。このような変化は2-4にあるように、常に新しいイメージを消費者に与えている。
商品を変えずに、新しいイメージを与え続けることは、ロングセラーブランドのセオリーであるとともに、ポカリスエットが長年に渡って支持を集める理由でもあろう。
最後にコトラーの言葉を書いて、ブランドのまとめとする。
長年のマーケティング活動や製品を経験した結果、個人や組織の心に残っている印象に太刀打ちするのは、容易ではないだろう。