衿元

昨日文楽を観に行ってきました
そのとき人形遣いの違いについて考えました
というのは昔のヴィデオがロビーに映し出されていたのですね
其れは亡くなった吉田玉男さんと吉田簑助さんが
「妹背山婦女庭訓」の金輪五郎と橘姫を遣っていました
開幕のベルが鳴っているのに見入ってしまったのです
何が惹きつけたか
「気品」
でした

昨日の簑助師匠は私が初めて見る「関取千両幟」の
渋い女房の「おとわ」です
着ている物も唐桟縞の地味な衣装
しかし終わってみると
「今日の主役はおとわ」
とみんなでハモってしまったくらいです

どうしてなのでしょう
楽屋にご挨拶に行って「おとわ」さんに会ってきました
そして分かったのは
「胸元」
ココの着付け方が美しい所作の現れるルーツでした

「こんにちは」
といったら
「こんにちは」と返してくれたときの首の動かし方
これは気品のある衿元を作らないと
清潔な色気は出てきません

夜寝る前まで何か心にひっっかるものがあり
其れを考えているうち分かったのは
どんな役でも衿元一つなのだなーーと
むかし人形の着付けの写真を撮らせて頂いたときのことを思い出しました

基本だったのだ衿元