センター試験地理B2009年 

センター試験2006~2009年地理Bの解答解説。上のタイトルをクリックすると目次ページになります。

センター試験地理Bの解答解説(目次)

2009-02-08 | 地理解答
センター試験2009年地理B、2008年地理B、2007年地理A、2007年地理B、2006年地理Bを、解答解説します。
2009年、2008年については、★は、「完全マスター地理B問題集」「地理B実践ワーク」(二宮書店)にもとづいています。★の数でセンター試験の的中度合いを示します。★ほぼ、★★的中、★★★完全的中の区分です。

地理B解答解説 2009年第1問 第2問 第3問 第4問 第5問 第6問 
地理B解答解説 2008年第1問 第2問 第3問 第4問 第5問 第6問
地理B2006年
地理B2007年
地理A2007年
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①センター試験の問題文は設問に無関係の部分を省略しています。
②地理Bの解答解説は「詳解地理B」(2008、2009)、にもとづいています。
③2008年については、授業内容整理、白地図作業、それに大学受験テキストをかねた、「地理B実践ワーク」を利用します。
④2009年の「ワーク」とは「地理B実践ワーク」のことで、「マスター」とは「完全マスター地理B問題集」のことです。
⑤地理Aの解答解説は、「高校生の新地理A」を使います。
⑥2009年5月から印刷が途切れることが多くなりました。exproler8では調整できますが、それ以外では、必要部分をコピーして、wordあるいは一太郎に貼り付けると、よいようです。ただし、本文のみのコピーであり、図表類は不可能のようです。原因は不明です。exproler8への誘導を図るgooの方針かもしれません。


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●「地理B実践ワーク」は学習整理とセンター試験とから、構成されています。学習整理は空所補充の形です。問題はセンター試験の過去問を利用しています。
●「完全マスター地理B問題集」は2009年発刊のセンター試験想定問題集です。これまでのセンター試験問題、国公立大学・有名私大の入試問題を、センター試験出題の想定問題として改変しています。センター試験の予想問題集です。
●下の3点はいずれも二宮書店刊行です。

  



東京大学地理B2次





2009年センター試験地理B 第1問解答解説 

2009-02-08 | Weblog
第1問 ヨーロッパの自然

次の図1に関し、各問いに答えなさい。



問1 次の気候図は、ダブリン、タリン、マドリード、ワルシャワのいずれかである。マドリードの気候図は①~④のどれか。【 1 】



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解答【 1 】① 
○ ①は夏乾季の地中海性気候Csマドリードである。
× ②は温帯で気温年格差が少ない。西岸海洋性気候Cfbダブリンである。
× ③は気温年格差が大きい大陸性気候Dfである。ワルシャワ。
× ④最寒月平均気温が-3℃以下で降水量が多い。Df。高緯度のタリン。
解説 選択肢の気候図には、地中海性気候とまぎらわしいグラフがないので、やさしい。
教科書 p196
ワーク p19  ★
マスターp128 ★★★ 2007年の首都大学東京2次入試の改変問題。 


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問2 次の図3においてF★の島周辺に関し、大陸棚とプレート境界の位置は、①~④のどれが最も適当か。【 2 】



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解答【 2 】① 
○ ①はアイスランドが中央海嶺の一部であることが分かる。
× ②はアイスランドが大陸棚になっている点が誤り。
× ③はアイスランドが中央海嶺の一部になっていないから、誤り。
× ④アイスランドが大陸棚の一部になっている点が誤り
解説 中央海嶺はプレートの広がる境界で、大陸棚と重なることはない。アイスランドは大西洋中央海嶺の陸地化した火山島。
教科書 p6(図2)、p9(図1)
ワーク p2 ★
マスターp4 ★★ 図と問6参照


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問3 次の図4は、図1のABCDのいずれかの地形断面である。Aに該当する地形断面を、次の①~④から選べ。【 3 】


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解答【 3 】②
× ① B:侵食の進んだ低平の地形。安定陸塊のバルト楯状地である。
○ ② A:東部がバルト楯状地、西部がスカンディナヴィア山脈(古期造山帯)。
× ③ D:ドナウ川の低地と、トランシルバニア山脈(新期造山帯)。
× ④ C:標高が3000mに近いから、ピレネー山脈(新期造山帯)を含む断面と判断する。
解説 西はスカンディナヴィア山脈(古期造山帯)、ボスニア湾(バルト楯状地)である。
教科書 p196(図1)
ワーク p94 ★
マスターp26~28 ★(地形断面図)


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問4 次の文は、図1のFGHの自然災害の説明である。説明ア~ウと、図1のFGHの正しい組み合わせは、あとの①~⑥のうち、どれが正しいか。【 4 】

(ア)マグニチュード7以上の地震がたびたび発生し、多くの被害者がでた。
(イ)火山の噴火活動によって山体をおおう氷河が融解し、洪水被害が生じた。
(ウ)火山の噴火によって溶岩流が発生し、麓の町が被害を受けた。

解答(アイウの順)
①FGH  ②FHG  ③GFH ④GHF  ⑤HFG  ⑥HGF
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解答【 4 】⑤
(ア)-H:トルコはアルプス=ヒマラヤ造山帯に属し、地震活動が激しい。
(イ)-F:アイスランドは海底火山(大西洋中央海嶺)の陸地化した島。
(ウ)-G:イタリア南部のシチリア島。アルプス=ヒマラヤ造山帯に属する。
解説 アイスランドは火山帯には属さないが、中央海嶺の火山活動が盛ん。
教科書 p196
ワーク p93  ★ 
マスターp116 ★

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第5問 図1のKにおいては、局地風が見られる。次の説明文の空欄(カキク)に該当する組み合わせを選びなさい。【 5 】

この風は( カ )とよばれるヨーロッパの代表的局地風である。地中海からの風がアルプス山脈を越えると、山脈の風下側では、気温が( キ )し、湿度が( ク )する。

①(カ)-フェーン (キ)-上昇  (ク)-上昇
②(カ)-フェーン (キ)-上昇  (ク)-低下
③(カ)-フェーン (キ)-低下  (ク)-上昇
④(カ)-フェーン (キ)-低下  (ク)-低下
⑤(カ)-ボラ   (キ)-上昇  (ク)-上昇
⑥(カ)-ボラ   (キ)-上昇  (ク)-低下
⑦(カ)-ボラ   (キ)-低下  (ク)-上昇
⑧(カ)-ボラ   (キ)-低下   (ク)-低下

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解答【 5 】②
フェーン:アルプス山脈を越えて北に吹く風。高山で湿気を失い、風下では高温・乾燥の風になる。日本では「フェーン現象」として日常的に使われる。特に、高山風下側では火災の危険が高くなる。
ボラ:春先にディナールアルプスの尾根の低地を吹きおりる寒冷風であり、アドリア海沿岸の農業に低温被害をもたらす。
解説 「フェーン現象」が日常語として用いられると、「フェーン」は教科書から姿を消した。天気情報など、分からない言葉をそのまま見逃したり、聞き逃したりせず、自力で調べる努力が必要である。
教科書  p57(局地コラム)
ワーク  (なし)
マスター p23★ 


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問6 図1のM付近の原生林は、世界自然遺産に登録されている。どのような特徴のある原生林か。次の①~④から選びなさい。【 6 】
① 多種類の常緑広葉樹が密生する森林である。
② 乾燥に強い硬葉樹や灌木から構成される森林である。
③ 常緑広葉樹と針葉樹が混じり合った森林である。
④ 光沢のある葉をもった照葉樹が多い森林である。
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解答【 6 】③
× ① 熱帯雨林の説明なので誤り。
× ② 地中海性気候で、夏の乾燥に強い作物の説明。
○ ③ 温帯の広葉樹と冷帯の針葉樹の、混合林の説明。
× ④ 亜熱帯の照葉樹林気候の森林。
説明 ポーランドとベラルーシ国境には世界自然遺産登録の、ビャウォヴィエジャ原生林がある。針葉樹と広葉樹の混合林、それに野生動物が見られる。
教科書 p41
ワーク p10 ★
マスターp21 ★ 

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問7 図1のP地域には多数の湖が分布している。これらの湖について、説明した文として、①~④のどれが適切か。【 7 】

① 降水量を上回る蒸発によって塩分濃度が高くなった塩湖が多い。
② 蛇行した河川の流路変更によって形成された三日月湖が多い。
③ 氷河の侵食作用によって形成された凹地に水がたまった氷河湖が多い。
④ 火山の噴火によって形成された河口に水がたまった火口湖が多い。
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解答【 7 】③
× ① 塩湖は砂漠など、蒸発量の多い乾燥気候で見られる。
× ② 三日月湖は日本の沖積平野で見られる。河跡湖。
○ ③ フィンランドには2万年前の氷河期に、氷河の侵食作用でつくられた氷河湖が多い。スオミともいわれる。
× ④ 安定陸塊のバルト楯状地であり、火山活動はない。
解説 湖の成因による分類。2万年前の最終氷河期は、バルト海を中心に大陸氷河が発達し、氷河の強い侵食作用で湖ができた。北米の五大湖も氷河湖である。
教科書 p196(寒帯気候)
ワーク p94~95 ★
マスターp26   ★★ 


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問8 次の図5は、図1のX付近で見られる地形の模式図である。この地形の説明として、最も適当なものを①~④から選べ。【 8 】



① 活断層に沿って河川が侵食した。直線状の谷が見られる。
② 石灰岩が化学的に侵食された。なだらかな階段状の台地が見られる。
③ 地質構造を反映した非対称な断面の丘陵地が見られる。
④ 火山噴火によって流出した溶岩流からなる台地が見られる。
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解答【 8 】③
× ① 断層に沿う直線的流路は、徳島県吉野川、和歌山県紀ノ川で見られる。
× ② 鍾乳洞内部で、石灰石の棚状地形が見られる。カルスト地形。
○ ③ 地表面では硬い地層が侵食されず、軟らかい地層が侵食される。構造平野の一つであるケスタ。パリ盆地・五大湖周辺地域。
× ④ 火口から噴出した溶岩は、山地の形である。大規模な火山流の堆積地形は、デカン高原やエチオピア高原で見られる。
教科書 p18(図2)
ワーク p4 ★
マスターp5 ★ 


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2009年センター試験地理B 第2問解答解説

2009-02-08 | Weblog
第2問 市町村規模の地域調査として、鳥取県境港市を中心とする地域の調査をした。あとの各問いに答えよ。




問1 境港市を中心とする20万分の1地勢図(図1)の説明文①~④のうち、誤りはどれか。 【 9 】

① 弓が浜半島の内陸側にある中海は潟湖(ラグーン)である。
② 中海に流入する飯梨川河口には、三角州(デルタ)が見られる。
③ 大根島は、陸繋砂州で島根半島とつながる陸繋島である。
④ 島根半島の北岸には、リアス式海岸が発達している。
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解答【 9 】③
○ ① 中海は弓が浜半島で外海と直接はつながらない。ラグーンである。中海の湖水は地下水やいくつもの水路で、海水と混じり合い、汽水湖といわれる。
○ ② 飯梨川河口の赤江や坂田は、小さな三角州上にできた集落である。
× ③ 陸繋島は砂州で陸地とつながっている。大根島は人工的な橋でつながっているので、陸繋島ではない。
○ ④ 島根半島北側は山地の沈水でできたリアス式海岸である。
解説 陸繋島は沿岸流で陸地側につながった島であり、函館山などをはじめ、日本全国にある。中海のことを知らなくてもできる問題である。市町村レベルの問題の場合、その市町村外の受験生が不利にならないるように問題がつくられている。
教科書 p24(図2)
ワーク p148(函館)   ★
マスター p14(地形図)★  


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問2 弓ケ浜半島の写真1は、図1のABCDのいずれの上空から矢印方向に向かって撮影されたものか。【 10 】
  ①A    ②B   ③C   ④D


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解答 【 10 】①
解説 弓ヶ浜半島の日本海側が、弓の形になっている。また、中海の一部が写真右側にあることから判断できる。
教科書 p23~26(海岸の地形図)p140~141(諏訪湖市街)
ワーク p75 (沼田) ★
マスターp14(海岸地形)★

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問3 次の地形図(図2)の説明のうち、誤っているものはどれか。図1も参照して答えよ。【 11 】



① 地形図の北西部の建物密集地は、境港市の北部に位置している。
② 地形図の北東部、昭和町の工場は、美保湾側の造成地にある。
③ 地形図の中央部、中野町付近の土地は、標高10m以上である。
④ 地形図の南西部の深田川付近の農地は、畑と水田が列状に並んでいる。

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解答【 11 】 ③
○ ① 境水道が鳥取県と島根県の境界である。境港市北部は鳥取県北端であるとともに、境港市の北端でもある。
○ ② 弓ヶ浜の低地をコンクリート護岸で保護し、工場用地を造成した。
× ③ 中野町付近の標高点に3mがあるから、標高10m以上は誤り。
○ ④ 市外を流れる深田川に平行の畑は自然堤防である。水田は後背湿地である。
解説 境港市に関する知識は不要。地形図読図の基礎があれば十分。
教科書 p19 
ワーク p4(沖積平野)★
マスターp72(地形図)★ 


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問4 図3は日本の部門別漁獲量の変化を示す。図4は主要漁港の水揚げ量の変化を示す。正しい説明はどれか。【 12 】



① 1990年以降の海面漁業・海面養殖業は、すべての種類で減少傾向にある。
② 1990~2005年の水揚げ量の減少率は、境港が最大である。
③ 1990年の境港の水揚げ量は、日本全体の水揚げ量の10%以下である。
④ 1990年以降、境港の水揚げ量の変化は、沖合漁業の変化と同じ傾向にある。
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解答【 12 】③
× ① 海面養殖業は微増傾向にあり、すべてが減少傾向ではない。
× ② 1990年にトップであった釧路が、水揚げ減少率第1位である。
○ ③ 1993年の総水揚げ量は、図3から1000万トンと計算できる。1993年の境港水揚げ量は70万トンだから、10%以下である。
× ④ 境港は1993年がピークである。沖合漁業は1990年以降、2000年まで減少傾向であり、1993年はピークではない。
解説 グラフから簡単に読み取ることができる。地理を履修していなくても解ける。
教科書 p77(日本の漁業)
ワーク p41
マスターp57 
 
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問5 次の図5は境漁港の水揚げ量推移を示す。図6は境港市の製造業の事業所数推移と、その出荷額の推移とを示した。図5、図6に関連し、不適当な説明を選べ。【 13 】



① 1990年以降の境漁港における水揚げ量の変化は、イワシの水揚げ量の減少が大きな原因である。
② 1995~2005年にかけ、水産加工品製造業における1事業所当たりの出荷額は増加している。
③ 1995年と2000年とを比較すると、境漁港の水揚げ量の減少率は、水産加工品関係製造業における事業所数と出荷額のそれぞれの減少率より大きい。
④ 境漁港の水揚げ量の減少により、水産加工品関係製造業における事業所数と出荷額は、ともに減少傾向にある。
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解答【 13 】②
○ ① 1995年まではイワシが大量に水揚げされたが、2000年以降はイワシの不漁が続いている。
× ② 1事業所の出荷額は、1995年が420÷60=7億円。2005年が210÷42=5億円である。1事業所当たりの出荷額(平均)は減少傾向にある。
○ ③ 図5から、1995年と2005年の境漁港の減少は、3分の1になった。図6から事業所数は6分の4つまり、3分の2である。同じく図6から出荷額は2分の1程度である。水揚げ量の減少割合が最大である。
○ ④ 境漁港の水揚げ量、水産関係製造事業所数、水産加工品の出荷額、いずれも減少傾向にある。
解説 特に地理の学習をしなくても解ける。%の計算を正確に、素早くしなくてはならない問題だが、地理の知識は不要である。
教科書  該当なし。
ワーク  該当なし。
マスター 該当なし。


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問6 次の図7は境港市の観光施設への入込観光客数を示す。これに関連し、不適当な説明を選びなさい。【 14 】



① 1995年以降、「水木しげるロード」の入込客数が増加傾向にある。その背景について「水木しげるロード」を歩いて、特徴的な施設や店の種類を調べる。
② 1980年以降、「夢みなと公園」の入込客数が60万人代を維持していることと、訪問者の交通手段との関係について、「夢みなと公園内で訪問者数を調べる。
③ 1999年以降の「水産直売施設」における入込数の減少について、「水産直売施設」の各店舗で売上高の減少に関する情報を収集する。
④ 2005~2006年にかけ、「海とくらしの資料館」の入込数が増加した。その変化について、「海とくらしの資料館」で聞き取り調査をする。
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解答【 14 】②
○ ① 「水木しげる」ロードが観光客増加に役立っている理由を調べる。
× ② 公園内で訪問者数を調べても、どのような交通手段で来たのか、分からない。
○ ③ 水産直売施設で売上減少の理由を聞き取る。
○ ④ 海とくらしの資料館が2006年に突然人気を得た理由を聞き取る。
解説 各観光施設の来客数の増減は、直接、その施設から聞き取るのが、正確である。数を数えるだけでは、理由は分からない。統計と設問を丁寧に読み、常識的判断力を働かせると、簡単である。教科書・問題集で学習しなくても、簡単にできる問題である。
教科書 該当なし。
ワーク 該当なし。
マスター該当なし。


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2009年センター試験地理B 第3問解答解説 

2009-02-08 | Weblog
第3問 農林水産業について、各問いに答えよ。

問1 次の図1の①~④は、イネ、小麦、サトウキビ、とうもろこしのいずれかの栽培起源地である。小麦の栽培起源地はどこか。【 15 】


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解答【 15 】①
○ ① 中央アジアでは小麦原産地である。冬の乾季に生育する。
× ② 中国南部の雲南地方である。米(イネ)の原産地の一つである。
× ③ ニューギニア。サトウキビの原産地にも諸説があるが、かつてヒンドスタン平原(インド)原産地説が有力であったが、最近はニューギニア説が有力になりつつある。
× ④ メキシコ高原はとうもろこしの原産地。先住民の主食であった。
解説 小麦原産地は地中海性気候、つまり夏に乾季、冬に雨季である。
教科書 p61(図2)
ワーク p26 ★★
マスターp43 ★★


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問2 次の図2は、小麦の播種期と収穫期を示す、国別小麦カレンダーである。①~④は、イギリス、インド、オーストラリア、フランスのいずれかである。インドに該当するものはどれか。【 16 】

 

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解答【 16 】② 
× ① オーストラリア。収穫期が11月12月1月なので、南半球である。
○ ② インド。冬小麦だが、冬に温暖のため、収穫時期が早く、3~5月。
× ③ フランス。小麦を秋に植えて、翌年の夏に収穫。標準的な栽培である。
× ④ イギリス。寒冷地にも小麦栽培が広がり、春小麦も栽培される。
解説 小麦栽培とは通常は冬小麦の栽培のことであったが、冬に土壌が凍結する寒冷地では春小麦が栽培される。
教科書 p71(図20。小麦コラム)
ワーク p27 ★★★
マスターp48 ★★ 

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問3 次の説明文①~④は、アルゼンチン、インド、オーストラリア、スイスのいずれかのものである。アルゼンチンはどれか。【 17 】

① 19世紀末の冷凍技術の発達により、遠隔地への冷凍牛肉の輸出が可能になった。肥沃な草原では肉牛の飼育が盛んになった。
② 乾燥地域が広がっているので、スペインの乾燥地域原産のメリノ種が栽培され、世界最大の羊毛輸出国になった。
③ 乳牛を、夏は山地の牧場で飼育し、冬には麓の畜舎で飼育する。バターやチーズに加工される。
④ 牛や水牛の飼育頭数が多く、役畜として利用されてきた。近年は牛乳製品の需要が増加している。
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解答【 17 】①
○ ① アルゼンチンの草原地帯はパンパで肉牛が飼育される。欧米に冷凍肉を輸出する。
× ② オーストラリア。年降水量250~500mmの乾燥地域で、スペイン原産の羊が飼育される。
× ③ スイスアルプスの移牧である。夏には高地牧場で飼育する。冬は山麓の畜舎で飼育する。
× ④ インド。ヒンドゥー教国家なので、牛肉を食べることはできない。牛乳、チーズの消費量は多い。
解説 アルゼンチンではパンパからの肉牛輸出が盛んだが、パンパでは降水量の変動が大きいため、牧場経営は安定しない。
教科書 p69(牛・豚・羊のコラム)
ワーク p32  ★
マスターp121 ★★ 

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問4 次の図3ABCは、木材の伐採量、輸出量、輸入量のいずれかを、上位10国を示す。ABCは、①~⑥のどれが正しい組合せか。【 18 】





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解答【 18 】② 
A 伐採量 薪炭用に発展途上国での伐採量が多い。
B 輸入量 建築用・製紙用に先進国の輸入量が多い。
C 輸出量 カナダ、ロシアの冷帯林の広がる国が、輸出量が多い。
解説 カナダのビリテッシュコロンビア州から、日本・アメリカなどに木材が加工輸出される。
教科書 p84~85(林産資源)
ワーク p38 ★★
マスターp55 ★★★  

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問5 水産業の説明(ア)~(ウ)は、中国、ノルウェー、ペルーのいずれかの説明である。説明と国との正しい組合せは、どれが正しいか。【 19 】

(ア)湖や養殖池などの内水面で、ウナギやコイなどの養殖が盛んに行われている。
(イ)アンチョビーを魚粉に加工してから、肥料・飼料として輸出する。
(ウ)サバの漁獲が多いが、サケの養殖も盛んである。サバ・サケの輸出が多い。

  

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解答【 19 】②
(ア)中国。中国では河川・湖沼の内水面漁業が盛んである。
(イ)ペルー。寒流のペルー海流によって大量に運ばれる。
(ウ)ノルウェー。サバが加工されて日本に輸出される。また、フィヨルドではサケの養殖が盛んであり、日本に輸出される。
解説 中国は国別漁獲量が第1位である。造船技術・漁獲技術の進歩により、日本周辺の漁獲量が増加した。ペルーではアンチョビーの漁獲量が大半だが、ペルー海流の異変(エルニーニョ現象)により、漁獲量が急減することがある。ノルウェーでは、日本人の嗜好に合う漁業を展開している。
教科書 p75(世界の漁業)、p47(エルニーニョ現象のコラム)
ワーク p40 ★★
マスターp56 ★★★  

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問6 世界の農業について、不適当な説明はどれか。 【 20 】

① EUは域内における農産物の関税を撤廃する一方、域外からの安価な農産物には輸入課徴金をかけている。
② 穀物メジャーといわれる巨大穀物商社は、世界の穀物価格の形成に大きな影響を与えている。
③ 日本は農産物の輸入割合が高くなっているため、輸入相手国の不作の影響を受けやすい。
④ 米は小麦と比較して、世界の総生産に対する総輸出量の割合が高い。
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解答【 20 】④
× ① EU各国の食料自給率を高めるため、海外からの農産物輸入を制限している。特にアメリカからの輸入制限は厳しく制限している。
× ② アメリカの小麦・大豆・とうもろこしなどは、アメリカの穀物商社が価格支配をしている。
× ③ 日本では米が自給率100%だが、他の食料の自給率は低く、輸入が多い。輸入農産物の安全性が問題になっている。
○ ④ 米は年5億トンの生産量のうち、輸出は5千万トン程度であり、産地自給的傾向がある。小麦は年5億トンの生産量のうち、輸出は1~2億トンであり、国際商品の一つである。
教科書 p71(小麦のコラム)、p73、p201(EUのコラム)、p272(日本の食料問題)
ワーク p26 ★★★
マスターp135(予想問題)★★★ 

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2009年センター試験地理B 第4問解答解説

2009-02-08 | Weblog
第4問 村落、都市に関し、各問いに答えよ。

問1 次のABは、世界と日本の共通して見られる村落の、模式図である。ABの説明について、不適当なものを選べ。【 21 】

     

① Aは格子状に区画された耕地が広がる。アメリカ合衆国のタウンシップ制による開拓地域に見られる。
② Aは家屋が分散する散村形態をとっている。近代における北海道の開拓地域に見られる。
③ Bは道路に沿って家屋が並んだ集落である。ヨーロッパの森林地域で自然発生的集落に見られる。
④ Bは家屋の背後に短冊状の耕地が並んでいる。近世における日本の新田集落に見られる。

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解答【 21 】③
○ ① 19世紀、6マイルずつの区画に、入植者に4分の1マイルずつ分配した。アメリカ中西部の開発が進んだ。
○ ② 明治初期(1873~1904年)に、北海道の農業開発と日本の正規軍編成のために屯田兵集落が建設された。現在の札幌、旭川など。
× ③ ヨーロッパの林地村。所有地の道路沿いに強制的に居住させられ、林業・農業の仕事を割り当てられた。自然発生的にできた集落ではない。
○ ④ 日本では武蔵野台地の三富新田(埼玉県)が典型的である。
解説 計画的な道路とは、土地面積を公平に分けるためである場合が多い。開拓地であり、散村になる。
教科書 p105、p106
ワーク p71 ★★
マスターp72 ★★(地形図)


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問2 次の図2の(ア)(イ)(ウ)は、キャンベラ、チュニス旧市街、ニューヨークのいずれかである。正しい組合せを選べ。【 22 】

     




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解答【 22 】⑥
(ア)直交型街路。ニューヨーク以外に札幌、京都など。
(イ)迷路型街路。西アジア、北アフリカ。自然発生的に拡大した市街地と、戦争時の防衛目的に建設した市街地とがある。
(ウ)放射状街路。キャンベラはグリフィンの設計した放射状街路。他にモスクワ。
解説 迷路型道路のうちでも、軍事防衛目的のために、軍事的には高度な都市計画として建設された都市がある。
教科書 p111
ワーク p66 ★
マスターp79~80 ★★★

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問3 次の①~④は、シドニー、デリー、ハーロー、ボローニャのいずれかの都市の説明である。ボローニャに該当するのはどれか。【 23 】 

① 大都市の過密化の問題を解決するために、職住接近型の都市として、郊外に建設された。
② 都市再開発にともない、港湾地区にオフィスビルや商業施設などが整備された。
③ 古くからの市街地に隣接し、官庁街や住宅地、放射状街路が計画的に整備された。
④ 都市再開発にともなう街区保存により、中世からの歴史的町並みと新しい都市計画が見られる。
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解答【 23 】④
① ロンドンのニュータウン計画として、ハーローなどの職住一体型の都市が建設された。
② シドニーは18世紀からの古い都市である。沿岸地域に新しい市街地が建設された。
③ 古くからの市街地はデリーである。新しい都市ニューデリーがデリーに隣接して建設された。
④ 世界で最も古い大学がイタリアのボローニャ大学である。その近辺の歴史的地域を守るとともに、隣接して新しい市街地が建設されている。
解説 誤解の生じないような、タイプの異なる4都市の比較である。
教科書 p295(イギリスと日本のニュータウン比較)
ワーク p68 ★
マスターp79~80 ★★

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問4 次の図3はロサンゼルスにおける、いつくかの人種・民族の居住地を示す。①~④はアジア系、黒人、白人、ヒスパニックのいずれかである。次の説明文を参照し、図3の①~④のうちから、ヒスパニックに該当するものを選べ。【 24 】

● アジア系-かつては都心に隣接して多くのアジア系が住んでいたが、所得水準の向上とともに郊外へ移転した。
● 黒人-低所得者が多く、かつては都心に居住していたが、新たな移民の流入により、その居住地は縮小している。
● 白人-高所得であり、人口密度の低い一戸建て住宅地区に多く居住している。


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解答【 24 】②
① 黒人。都心のスラムに居住しているが、その面積は小さい。
② ヒスパニック。メキシコなどスペイン系白人。英語は苦手だが、低賃金労働者として米国では重要であり、都心に増加傾向である。
③ 白人。郊外の高級住宅地に住む。高速道路あるいは高速鉄道を利用し、都心の職場に通勤する。
④ アジア系の人口割合が減り、市内に散在している。
解説 人種・民族・所得別の棲み分けである。黒人に代わり、ヒスパニックが低賃金労働者として重要になった。
教科書 p291(分布図から都市問題を読み解く。同一問題、的中)
ワーク p69(問題2) ★★
マスターp81 ★★★(これほどの的中は奇蹟的)

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問5 表1の(カ)(キ)(ク)の3都市を、銀行、第2次産業比率、昼夜間人口について、比較したものである。3都市の正しい組合せは、①~⑥のどれか。なお昼夜間比率とは、昼間人口÷夜間人口の数値である。【 25 】






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解答【 25 】①
(カ) 第2次産業が少なく、銀行が多いから、地方の中心都市仙台である。
(キ) 昼間人口が小さいから、市外への通勤者が多い。千葉市。
(ク) 第2次産業が非常に多いから、工業の発展した浜松市である。
解説 いずれも政令指定都市である。まず(ク)の第2次産業が非常に大きいから浜松市と判断できる。(キ)は東京への通勤者の多い千葉と判断できる。残りが東北地方の経済の中心で、銀行の多い仙台である。
教科書 p110、p112
ワーク p127 ★(ブラジル人労働者数)
マスターp69 ★★(日本の工業) 

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問6 次の写真1は、4都市の商業地域を示す。写真(サ)(シ)(ス)(セ)の説明として、不適当なものを①~④から選べ。【 26 】



① (サ)はデパートや専門店などが集中している。大都市の鉄道ターミナル周辺に見られる。
② (シ)は売り上げの減少が著しい商店街である。地方中小都市に見られる。
③ (ス)は古くからの地元資本の店舗が大半を占める。都市郊外の幹線道路沿いに見られる。
④ (セ)は歴史的な古い町並みが残った商店街である。かつて城下町あるいは宿場町であった。
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解答【 26 】③
○ ① 大都市では、駅前が繁華街として賑わう。新宿、渋谷など。
○ ② 地方都市の中心地域は、自動車時代に対応できなかったり、郊外の大型店舗におされて、閉店する店舗が多い。シャッター通りといわれる。
× ③ 都市郊外の大型スーパーマーケットは、県外の巨大資本である。地元の老舗ではない。
○ ④ 城下町や宿場町の町並みを復活すると、観光客が増加する。土産物中心の商店街が成立する。
解説 地方都市の中心商店街には駐車場がない。駐車場の完備した郊外の大型スーパーマーケットに負け、シャッター通りになりつつある。
教科書 p129(商業地の変化)
ワーク p68 ★
マスターp74 ★★★

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2009年センター試験地理B 第5問解答解説

2009-02-08 | Weblog
第5問 カナダに関して、各問いに答えよ。

問1 次の図1のABCDの各地域について、不適当な説明はどれか。【 27 】




① Aの地域は、西岸海洋性気候区に属する。
② Bの地域は、新期造山帯に属する。
③ Cの地域は、タイガが広く分布する。
④ Dの地域には、エスチュアリーがある。

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解答【 27 】③
○ ① Aの太平洋岸を、暖流のカリフォルニア海流が北上するので、高緯度でも温暖である。太平洋岸は西岸海洋性気候になる。
○ ② Bはロッキー山脈である。新期造山帯で、環太平洋造山帯。
× ③ Cのヴィクトリア島は北極圏のツンドラ気候であり、針葉樹林はない。
○ ④ Dのセントローレンス湾は三角江(エスチュアリー)である。三角州のできない河口である。
解説 カナダ地誌の問題。1994年のセンター試験とほぼ同一問題である。
教科書 p24(三角江)、p36(ケッペンの気候分類)、p40(植生分類)、p153
ワーク p107 ★★★
マスターp121 ★★★ 


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問2 図1のF地域では、どのような農業が見られるか。【 28 】

① 自然の草や水を求める、トナカイの遊牧が盛んである。
② 飼料作物や麦類の栽培と、家畜の飼育を組み合わせた、混合農業が盛んである。
③ 大都市を市場とする、酪農が発達した。
④ 冷涼で乾燥した気候であり、春小麦の大規模栽培が見られる。
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解答【 28 】④
× ① トナカイ遊牧は北極圏で盛んであり、カナダ南部では行われない。
× ② 混合農業地域は、アメリカ合衆国側の五大湖南部が中心である。
× ③ 図1のF地域には大都市が少ない。酪農地域としては不適当。
○ ④ カナダプレーリーは土壌には恵まれているが、寒冷のため、春小麦が栽培される。
解説 アメリカ合衆国のプレーリーの延長上の春小麦地帯である。
教科書 p160(図4)
ワーク p107 ★
マスターp49~50 ★★ 

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問3 次の①~④の説明文は、図1で示されたバンクーバー、エドモントン、トロント、モントリオールのいずれかのものである。トロントに該当する説明はどれか。【 29 】

① 内陸水運の起点にある港湾都市であり、多様な工業が発達した。
② 石油・天然ガスなどの資源に恵まれた地域の都市である。小麦栽培が盛んである。
③ カナダ最大の人口の都市である。金融・保険業などの経済的中心である。
④ 水運・陸運の要衝であり、農林水産物・鉱産物の集散地として発展した。
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解答【 29 】③
× ① モントリオール。人口103万人。ケベック州で、フランス人が多い。
× ② エドモントン。アルバータ州にあり、人口61万人。
○ ③ トロント。オンタリオ州の州都であり、人口は63万人。
× ④ バンクーバー。ブリテッシュコロンビア州。人口47万人。
解説 カナダの代表的都市の問題。カナダの首都はオタワで人口113万人。
教科書 p148(表1)
ワーク p107 ★
マスターp120  ★★  

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問4 次の図2は、カナダ移民の出身地別割合の推移を示す。(ア)(イ)(ウ)は、アジア、中央・南アメリカ、ヨーロッパのどれか。①~⑥の組合せから一つ選べ。【 30 】




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解答【 30 】⑤
(ア)ヨーロッパ。1960年以降、急速に移民数の比率が低下した。カナダケベック州で、フランス系住民の独立運動が過激になったためである。
(イ)アジア。ベトナム戦争、香港、中国返還問題、朝鮮半島などの南北対立などがあり、カナダへの移民が増加した。
(ウ)ラテンアメリカ。アメリカ合衆国の移民政策によりアメリカ合衆国への移民が難しくなれば、カナダへ移民する。
解説 カナダのケベック問題は、フランス系とイギリス系は、すべてにおいて平等にすることで、一応は決着した。
教科書 p148(図2)
ワーク p110 ★
マスターp120 ★★ 

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問5 図3の(カ)(キ)(ク)は、図4の(P)(Q)(R)のいずれかの州(あるいは準州)の言語割合を示す。あとの①~⑥のどの組合せが正しいか。【 31 】



  


   

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解答【 31 】②
(カ)英語が75%を占める。太平洋岸のPはブリテッシュコロンビア州である。
(キ)フランス語が80%を占める。カナダ東部Qのケベック州はフランス系移民が多い。
(ク)英語が25%で、あとは英語でもフランス語でもない。カナダ北極圏ではイヌイットが自治権を得ている。イヌイット語が使用される。
解説 1970年代にケベック問題が大きな問題になると、カナダの英語圏でも英語とフランス語の2言語主義を取り入れた。
教科書 p149
ワーク p110 ★
マスターp119 ★★  

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問6 図5のXYZは、アメリカ合衆国、カナダ、メキシコのいずれかであり、3国間の貿易を示す。正しい組合せは①~⑥のいずれか。【 32 】





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解答【 32 】③
(X)カナダ。3国間のうちで最も輸出量が多いから、カナダと判断できる。
(Y)アメリカ合衆国。YからもZからも機械・燃料の輸入量が多い。
(Z)メキシコ。カナダXとの貿易量が少ない。
解説 NAFTを構成する3国の区別の問題である。アメリカ合衆国中心の自由貿易協定であることから、3国を区別する。
教科書 p159(NAFTAのコラム)
ワーク p108 ★
マスターp67  ★ 

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2009年センター試験地理B 第6問解答解説

2009-02-08 | Weblog
第6問 現代世界の諸問題について、各問いに答えよ。 

問1 次の図1は、一人当たりの水資源利用可能量を、国あるいは地域別に示したものである。あとの説明文をうち、不適当なものを選べ。【 33 】



① 水資源の高位のグループは、熱帯収束帯にあり、降水量が多い。
② ロシア・カナダは降水量が少ないが、人口密度が低く、水資源は豊富である。
③ 水資源の少ない地域は亜熱帯高圧帯にあって、降水量が少ない地域である。
④ イギリス・ドイツは水資源が少ない。降水量が少なく、人口密度も低いからである。
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解答【 33 】④
○ ① 熱帯収束帯では、毎日、対流性降水スコールがある。
○ ② 人口密度が低いので、日本のように国内河川はダムばかり、ということはない。
○ ③ 亜熱帯高圧帯は北緯(南緯)20~30度の乾燥地帯であり、砂漠が広がる。
× ④ イギリス・ドイツでは人口密度が高いので、水資源が少ない。
解説 オーストラリアでは水資源が多いが、現実には干ばつ被害が多い。水資源は降水量に依存する、不安定な資源である。
教科書 p282
ワーク p9 ★
マスターp20★★

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問2 次の表1は、結核発症数、医師数、乳児死亡者数を、アルゼンチン、ケニア、フィリピンについて示したものである。(A)(B)(C)は、これら3国のどれか。①~⑥の組合せから選べ。【 34 】



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解答【 34 】④
(A)ケニア。医師数が少なく、乳児死亡率が高い。
(B)フィリピン。医師数が多いからフィリピン。
(C)アルゼンチン。南米の先進国であり、結核も乳児死亡数も少ない。
解説 フィリピンは人口爆発の時期は過ぎ、少産少死へ向かっている。アルゼンチンは白人国家であり、工業化が進行中である。
教科書 p259
ワーク p125 ★
マスターp129 ★★

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問3 次の(ア)(イ)(ウ)は、図2の(P)(Q)(R)のいずれかの国の食料自給とその説明である。正しい組合せは①~⑥のどれか。【 35 】

(ア)政治的混乱、土壌劣化、伝統的主食作物の不作などで、食料生産が停滞している。人口増加も激しいため、食料不足は深刻な問題である。
(イ)輸出用作物の強制栽培制度の廃止と、多収量品種の導入により、食料生産が増加した。しかし、人口増加が激しく、食料は不足する。
(ウ)人口に比較して国内での食料生産は少ない。地下資源の輸出で得た外貨により、食料を輸入している。資源のある限りは、食料不足の恐れはない。






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解答【 35 】②
(ア)アフリカのコンゴ(ザィール)。ダイヤモンドやコバルトなどの資源獲得のために、内乱が絶えない。
(イ)インドネシア。オランダ植民地時代、さとうきびの強制栽培により、米が不足した。独立後は「緑の革命」で米が増産されたが、まだ米は不足する。
(ウ)アラブ首長国で砂漠国。日本への原油輸出が多い。オイルマネーによって米・小麦が輸入される。
解説 インドネシアもアラブ首長国も産油国である。特にアラブ首長国では、万一、豊富なオイルマネーが先進国の金融危機に巻き込まれると、大きな損害を受け、政治経済の混乱が起こる恐れがある。
教科書 p264(アフリカ)、p266(インドネシアの食料問題)
ワーク p36 ★★
マスターp112★★★


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問4 次の図3は、シンガポール、タイ、ドイツ、フランスの4か国について、出生率と65歳以上人口の割合を示したものである。シンガポールは①~④のどれか。【 36 】



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解答【 36 】③
① ドイツ。65歳以上の人口が少なく、出生率が低い。
② フランス。出生率向上のため、国家的政策が進められている。
③ シンガポール。 少産少死の状態が続き、高齢化社会への対応が進められている。
④ タイ。多産多死の傾向にある。経済発展とともに、少産少死になる。
解説 先進国では高齢化社会の問題が大きい。フランスは少子化対策を進めて、出生率が向上した。
教科書 p292
ワーク p124 ★★
マスターp127 ★  

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問5 次の図4はカンボジア、パキスタン、メキシコについて、いずれも、女性の第3次就業者、識字率、労働力率を示す。(カ)(キ)(ク)と国名の正しい組合せを①~⑥から選べ。【 37 】





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解答【 37 】⑤
(カ)メキシコ。女性の識字率が100%である。
(キ)カンボジア。女性の識字率が60%。女性も80%が働く。
(ク)パキスタン。女性の識字率、労働力率が低い。イスラム世界では女性の社会進出が厳しく規制されている。
解説 政教分離を進めて、近代化政策を推進してきたトルコでさえも、イスラム化が再び強化されている。女性の社会進出が次第に難しくなると懸念されている。
教科書 p230~231(イスラム社会)
ワーク p84 ★
マスターp106★
 

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