センター試験地理B2009年 

センター試験2006~2009年地理Bの解答解説。上のタイトルをクリックすると目次ページになります。

2006年センター試験地理B(本試)

2006-09-01 | 06地理B
2006年の地理Bのセンター試験問題と解説です。問題は実質的内容ごとに分割して、単純な問題構成にしています。簡単な問題は省略しています。

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目次
第1問 小縮尺の地図  第1問の続き
第2問 函館市(地形図)  第2問の続き
第3問 世界の自然     第3問の続き
第4問 資源と産業  第4問の続き
第5問 南米の地誌  第5問の続き
第6問 現代社会の諸問題   第6問の続き

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2006年1月センター試験地理B第1問

2006-08-31 | 06地理B
2006年1月センター試験地理B第1問

第1問 あとの地図を参照し、各問いに答えよ。

問1 アイウのうち、実際の距離が長いのはどれか。
問2 PQRSの4地点で、最も高度が高い地点はどれか。
問3 Kの対蹠点はどこの国か。
問4 Xの地点は、どのような気候か。





第1問は続く
 

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解答
問1ア 問2Q 問3ニュージーランド 問4地中海性気候
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解説
問1
世界地図を衛星写真から考える。
赤道の全長は4万kmである。北極に近いほど緯線は短くなり、北緯60度の緯線の長さは2万kmである。つまり、問題の地図では、(ア)が最も短く、(ウ)が最も長いことになる。
赤道上で経度差20度の長さ(ウ)は、40,000×20/360=2,222kmとなる。



問2
P:カスピ海に注ぐ、ボルガ川の三角州。カスピ海湖面高度は-28mであり、ボルガ川の河口地帯はカスピ海沿岸低地である。
Q:アフリカ唯一の新期造山帯アトラス山脈がある。アルプスヒマラヤ造山帯に属するが、火山はない。最高峰トゥプカル山4,165m(モロッコ)。
R:ナイル川下流域であり、しばしば支流青ナイルの増水のため、夏に洪水が起こった。この上流にアスワンハイダムを建設し、洪水を防いだ。
S:ナイジェリアの外来河川ニジェール川。カインジダムの建設地点あたりである。ニジェール川は西アフリカの多雨地帯を水源とし、サハラ砂漠を流れる外来河川である。河口はナイジェリアの産油地帯である。

問3
Kは陸半球の中心。その反対側(対蹠点)はニュージーランド領のアンチポデス諸島である。アンチポデスは対蹠点という意味である。アンチは反対、ポデスはペダルで連想できるように、足のことである。アンチポデスは「足の裏」の意味。
ロンドンが近いから対蹠点は日付変更線に近いことから、ニュージーランドと答えることができる。

問4
ローマなど、イタリアの沿岸地域と南部は地中海性気候である。夏には亜熱帯高圧帯におおわれ、砂漠同様に乾燥する。夏は雨季、夏は乾季である。
なおイタリア北部・内陸は年中降水量が多く、日本と同じ温暖湿潤気候Cfaである。

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小縮尺の地図について、詳しい解説
1.北緯60度の緯線の長さが20,000km(赤道の半分)である。



赤道の長さ     2πR=40,000
rとRの関係は   r=cos60・R=1/2・R
 (rとRは60度の直角三角形をつくるので、rはRの半分)
従って、北緯60度の緯線全長は、次のように赤道の半分になる。
    2πr=2π(1/2・R)=πR=20,000km

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2.等角航路と大圏航路の考え方。



図2のaはXY間の等角航路である。
XからYに向かう航路は、北Nと一定の角度で進むと、aの等角航路を進むことになる。確実に目的地に到着できるコースだが、遠回りになる。メルカトル図法では、等角航路が直線になる。
bは最短航路、つまり大圏航路である。地球を2等分する円の一部分である。航空機だけではなく、最近の船舶の航路にもなっている。
地球を2等分する円が「大円」である。大円上の2点間を結ぶ線が、大圏航路になる。

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3.方位、世界地図の東西は間違いやすい。
    


図3から、東京中心の東西の方位を拾い上げて線で結ぶと、下図のようになる。
アメリカが日本の東というのは間違い、ヨーロッパが日本の西というのも間違いである。
インドは東京の西にある。しかしインドから見て、日本が東というのは間違い。世界地図の小スケールにおいては、西の反対は東ではない。東の反対は西ではない。







06年第1問(続き)

2006-08-30 | 06地理B
2006年1月センター試験地理B第1問(続き)
問5 次の写真はサハラの住居である。サハラの住居の特徴としては、次の①~④のどの説明が正しいか。



①住居の窓が小さい。強い日差しと強い風を避けるためである。
②集落の周囲にはゴムの木が植えられ、砂の侵入を防ぐ。
③家屋はレンガでつくられ、雨水をためる工夫がなされている。
④住宅の屋根は同一方向に傾斜しており、太陽光が効率的に利用されている。


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解答 
問5①
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解説
①正しい。窓を小さくし、砂嵐と高温の空気を屋内に入れない工夫をした、オアシス独特の住居である。オアシスではナツメヤシが栽培されている。乾果は遊牧の重要な栄養源である。
②誤り。ゴムはアマゾンの熱帯雨林原産であり、砂漠では栽培ができない。
③誤り。雨が降るのは年5回~10回。雨水をためても、すぐに蒸発する。
④誤り。屋根は太陽光に向かって傾斜しているかどうかは判断できない。太陽光を利用するようなハイテク設備はないだろう。

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さらに世界遺産のオアシス集落について、詳しい説明。
 
◆ガルダイヤ(アルジェリア)
アルジェリア中部のサハラ砂漠のオアシスに、「イスラム教の清教徒」と呼ばれるムザブ族のガルダイアがある。11世に、ガルダイアを中心に5つの町が造られ、どれも丘の頂上に建てられたモスクを中心に、麓に向かって町が広がった。
町は城壁に囲まれ、伝統的な町並みがそのまま残っている。高度な灌漑システムとしてフォガラをつくり、ナツメヤシを栽培する。



◆トンブクトゥ(マリ)
トンブクトゥはサハラの重要交易都市であった。黄金海岸ガーナから地中海岸への重要中継地であった。ガーナからトンブクトゥを経由してローマに運ばれ、さらたシルクロードを経由して、夜光貝が日本に運ばれ、京都や平泉の寺の装飾に使用された。
15世紀、サハラを横断するラクダのキャラバン輸送よりも、船でアフリカ西海岸をまわる方が、安くて安全になった。人口20万のトンブクトゥを中継地とするラクダのキャラバンが減った。トンブクトゥからは商人が去って人口が減ると、市街地を砂嵐から守ることができず、砂に埋もれてしまった。



2006年センター試験地理B第2問

2006-08-29 | 06地理B
06年センター試験第2問

第2問 次の地形図などを参照し、各問いに答えよ。地形図の縮尺は5万分の1である。
問1 Aの破線で囲まれた函館山の地形は、次のどれか。
 ①おぼれ谷 ②砂嘴 ③ラグーン ④陸繋島
問2 函館山D-Eの地形断面は、図2のどれが正しいか。

函館の地形図(図1)
        


地形断面(図2)


問3 次の説明のうち、誤りはどれか。
①船舶の航行の安全のため、港の入口に灯台が設置されている。
②函館港側と大森浜側とを比較すると、函館港側に工場が多い。
③函館山の南岸には、急崖を利用した天然の良港がある。
④函館山付近の市街地は、標高100m以下である。


第2問はさらに続く

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解答 
問1④  問2④  問3③
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解説
問1
①誤り。おぼれ谷は海水の進入した、フィヨルドやリアス式海岸のこと。
②誤り。砂嘴は先端が野鳥のくちばしの形。嘴とは鷹のくちばし。
③誤り。潟湖ともいう。海岸の一部が砂州によって閉じこめられ、多少の塩分が含まれる湖。
④正しい。函館山は陸と繋がった島なので、陸繋島である。函館市街地は陸繋砂州上にできた都市。陸繋砂州をトンボロともいう。

問2
函館山の中央の山が高く、東側には平野であるから、④が正しい。この写真の立待岬がEである。つまり写真は市街地側から撮影したのに対し、地形断面図は海側から見た断面図である。左右逆である点に注意。



問3
①正しい。函館港入口、防波堤先端に灯台の記号がある。
②正しい。図の北、浅野町付近に工場が集まっている。
③誤り。立待岬から大鼻岬までは、岩が露出する崖であり、港には不適当。
④正しい。80m以下が住宅地である。
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海岸地形の詳しい解説。



◆岩石海岸
砂浜海岸の反対語。岩石海岸には大河川が存在しないために、三角州のような砂泥の広い沖積平野が存在しない。山地が鉄砲水か地震で崩壊、海岸に大小の岩石が堆積する。
あるいは強い潮流が海岸を削り、削った岩石を他に運んで砂州をつくる。沿岸流は砂も運び、文字通りの砂州になる。
砂州がいつできたのかは、正確には分からない。5~6千年前に海面が数m上昇(縄文海進)した時の砂浜が、現在の砂州である、と考えられている。
◆溺れ谷
2万年前の氷河期に海面が120m低下し、侵食谷が現在よりも低かった。1万前に現海面まで戻った時、侵食谷に海水が進入した。フィヨルドとかリアス式海岸は溺れ谷である。谷のままでいるのは、大きい河川がなく、谷を埋めるだけの砂礫が供給されないからである。
せいぜい、波の運んだ砂で、せまい海岸平野(ポケットビーチ)ができる程度である。
◆海食崖
海岸の侵食崖である。数万年の長い年月をかけて、波が侵食した崖である。
海中まで崖が続いている場合は、2万年前の氷河期に海面が低下しながら120m程度の深さまで侵食をしたものである。
海食崖で侵食された砂礫が、海水(潮流)で運ばれ、砂州をつくることが多い。

06年第2問(続き)

2006-08-28 | 06地理B
06年センター試験地理B第2問(続き)

問4 青函トンネルが1988に開通し、青函連絡船が廃止された。下表は函館市を訪れた観光客の推移を交通手段別に示したものである。表のPQRは、航空機、船舶、列車のいずれかである。なお、PQRに該当するものは、次の番号で答えよ。
 ①航空機  ②船舶  ③列車 




問5 次の地図は、北海道南部の各漁港について、水産物漁獲量を円グラフで示したものである。XYZは次のどの水産物か。
 ①スケトウダラ  ②スルメイカ  ③ホタテガイ 
 


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解答
問1 P②  Q①  R③  
問2 X①  Y②  Z③
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解説
問4 
P)青函連絡船は東北本線と函館本線をつなぐ連絡船であり、貨物列車と旅客1,200人を一度に輸送できた。青森~函館を4時間で結んだ。JR青函トンネルが1988年に完成、海底トンネルを通る津軽海峡線が開通した。従来の青函連絡船が廃止された。船(青函連絡船)で函館を訪れる観光客は当然激減したから、Pが船である。

青函連絡船十和田丸


Q)函館には函館空港がある。東京・函館間の夜行列車は肉体的・精神的苦痛であり、航空機の利用が増加した。利用者数がコンスタントに増えているQが航空機である。
R)青函トンネルは最初のうちは物珍しさがあって鉄道利用者が多かったが、退屈さと高い運賃が災いして利用者が減少傾向にある。Rが列車を示す。

問5
①スケトウダラはカマボコなど水産練り製品の原料である。冬の北洋が重要な漁場であった。カナダ・アメリカ(アラスカ沖合)、ロシア(旧ソ連)が相次いで200カイリ漁業専管水域設定し、日本漁船を北洋漁場から締め出した。日本漁船は北洋漁場の日本の200カイリ内でタラを獲るようになった。北洋タラ漁は、冬の荒海で操業するため、大型漁船が使われる。タラ漁船の船主は都市に住み、加工食品の原料となるタラは都市の魚市場に水揚げされる。小樽が一番水揚げ量が多いのでタラはグラフのXである。

②スルメイカを刻んだイカソーメンは函館朝市の名物である。津軽海峡の出口・入口付近にはイカ釣り漁船が多い。函館山からの函館市街地の夜景と、イカ釣り船の漁り火(いさりび)は、有名である。スルメイカは津軽海峡に近いYが正答。

③天然のホタテガイの資源量が減少したため、東北地方・北海道では養殖が盛んになった。内浦湾は広く、波が静かであり、ホタテ養殖に適している。ホタテはZである。東北地方ではホタテガイの過密養殖で貝が死滅し、海が汚れて、収量が安定しない。内浦湾など、北海道の養殖場では過密養殖を避け、天然に近い状態でホタテを育てている。

2006年地理Bセンター試験第3問

2006-08-27 | 06地理B
06年地理Bセンター試験

第3問 地図のABCは、それぞれ異なるプレート境界である。これに関連し、あとの各問いに答えよ。




問1 図中のABCには、次の①~④のどの説明が該当するか。
①横にずれるプレート境界である。横ずれの断層運動で地震が起こる場合がある。
②広がるプレート境界である。場所によっては、割れ目からマグマが噴出する。
③狭くなるプレート境界である。海と陸のプレートの境界には海溝ができる。
④ホットスポットといわれる火山発生地点である。点がつながり、線になっている。

問2 次の地形断面①~④のうち、上の図中のP-Qに該当するのはどれか。



第3問はさらに続く

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解答
問1 A② B③ C①  問2④
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解説
問1
Aは中央海嶺である。地球内部の熱をマグマの形で放出する。海底山脈のような中央海嶺からマグマが吹き出し、重い玄武岩質溶岩の海洋プレートとなって海底を移動する。中央海嶺は大陸を分割したり、海洋プレート海溝となって海底を移動して大陸プレートの下に沈んで地震・火山の原因になったりする。


Bは狭くなる境界で、2プレートの「衝突」と「沈み込み」がある。
大陸プレートと大陸プレートの衝突は、問題の地図には、描かれていないが、アルプスヒマラヤ造山帯である。アルプスなどはアフリカプレートとユーラシアプレートの衝突でできた。ヒマラヤはインドオーストラリアプレートとユーラシアプレートの衝突でできた。
環太平洋造山帯は海洋プレートと大陸プレートの衝突であり、海溝・火山・地震をともなう。
東日本は太平洋プレートと北米プレートの衝突で、太平洋プレートがもぐり込んでいる。日本海溝と東日本火山帯ができた。
西日本はフィリピン海プレートとユーラシアプレートが衝突し、フィリピン海プレートがもぐり込んでいる。相模トラフ(浅い海溝)、南海トラフができた。西日本火山帯ができた。

Cは横ずれ断層。世界最大の横ずれ断層は、カリフォルニアのサンアンドレアス断層である。

Dのホットスポットは海洋プレートよりもはるかに深い位置からマグマがわき上がり、プレートを突き破って火山活動をする。ハワイ諸島が典型である。プレートの動きにともなってハワイ諸島は西に移動し、東端のハワイ島で火山活動が集中している。

問2
断面④は東経85度付近の南北断面である。

西シベリア低地はオビ川とエニセイ川にはさまれた低地。地形は、シベリア卓状地で、安定陸塊。
アルタイ山脈・テンシャン山脈は古期造山帯である。本来はもっと低平な地形なのだが、インドプレートの衝突の力を受け、再隆起した山脈であり、外見は新期造山帯である。再生山脈といわれる。
タリム盆地は安定陸塊で、タクラマカン砂漠が広がる。一部、海面下。
クンルン・チベット・ヒマラヤは新期造山帯(アルプスヒマラヤ造山帯)。火山はない。



06年第3問(続き)

2006-08-26 | 06地理B
06年センター試験地理B第3問(続き)

問3 次の雨温図カ、キ、クは次の3地点のいずれかである。それぞれどれが該当するか。
  ①イルクーツク  ②エドモントン  ③モントリオール   





問4  エルニーニョ現象について、不適当な説明を、次の①~④から一つ選べ。
①インドネシアでは高温少雨となり、干ばつや森林火災が多発する。
②オーストラリアでは全国的に少雨傾向が強まり、砂漠が拡大する。 
③東アフリカでは大雨が多発し、洪水被害が起こる。
④ペルーでは低温少雨となり、干ばつが発生することがある。

問5 次の地図の凡例サ◆、シ■、ス▲は、次の土壌のいずれが分布するか。
  ①褐色森林土  ②栗色土  ③ポドゾル  ④ラトソル  

     

問6 上図のZの国の農業などについて、次の①~④のどの説明が正しいか。
①気候が温和で土壌が肥沃のため、穀物・甜菜・ジャガイモなどが栽培される。 
②冬雨季、夏乾季であり、耐乾作物のオレンジ・コルクガシなどが栽培される。
③冬の低温、夏の乾燥が極端な場合があり、トナカイの遊牧に依存する。
④氷河地形のやせ地で穀物栽培が困難であり、牧草を栽培、乳牛を飼育する。
 


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解答
問3 カ③ キ② ク①  問4④  
問5 サ① シ③ ス②  問6④ 
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解説
問3
(カ)のグラフはカナダ東海岸のモントリオールである。大陸東海岸の気候は、夏に高温になる、年降水量が多いという特徴がある。ケッペンの気候区分ではモントリオールは亜寒帯湿潤気候Dfである。
(キ)はカナダ、ロッキー山麓の、石油の都市エドモントンである。ロッキー山脈の風下であり、降水量は少ない。乾季・雨季があるように見えるが、雨季と乾季の降水量の比が10倍にならない。したがってDfである。BSに近いDfである。
(ク)は1月の気温が低く、降水量も少ない。7月は気温が高く、降水量も多い。東シベリア、イルクーツクの大陸性気候Dwである。

問4
エルニーニョ現象は、寒流のペルー海流の水温上昇のことであるが、ペルー海流の異変にとどまらず、世界の気候の異変の原因になっていることが分かってきた。
ペルー海流が例年通り寒流として流れる場合、南米太平洋岸の上昇気流を抑え込むので降水量が非常に少なく、海岸は砂漠になる。ペルー海流のつくる海岸砂漠として、アタカマ砂漠、ペルー砂漠がある。
エルニーニョ現象の場合、ペルー海流の水温が上がり、海岸砂漠に雨が降る。アタカマ砂漠・ペルー砂漠に野草が育ち、花が咲く。これは干ばつではない。したがって誤りは④である。
①~③は通常でも起こる災害である。
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エルニーニョ現象は12年のうち2年間続けて起こる(平均)。アンデス山脈の高地に住むインディオの一部は、海岸砂漠に草が生え、花が咲くと、高地から海岸に移住する。そして、ペルー海流がまた強い寒流に戻って海岸が砂漠になると、インディオもアンデスに戻る。
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問5 
サ)褐色森林土。森林温帯は草原(長草原)・森林(広葉樹林)が広く分布する。褐色森林土、あるいは森林褐色土といわれる。草は冬に枯れ、森林は秋に落葉するので、土壌は腐植質を多く含み、農業に適した土壌である。
シ)ポドゾル。亜寒帯気候の針葉樹林帯タイガは低温地域であり、酸性灰色のやせ地ポドゾルが分布する。低温で、植物の腐植が進まず、酸性のやせ地になる。農業には、酸性土壌をアルカリ性にする土壌中和剤が大量に必要である。
ス)栗色土。栗色土は砂漠周辺の半乾燥草原地帯ステップに分布する。有機物が少なく、石灰の多い、やせ地である。農業は難しい。遊牧あるいは大牧場(企業的牧畜)が行われる。

問6(Zはデンマーク)
①誤り。デンマークは、氷河侵食のあと地は湿地ハイデであり、やせ地である。また、氷河の運搬堆積したモレーンが残っていて、農業の機械化が困難である。
②誤り。問題文は地中海性気候Csとその農業の説明。デンマークは西岸海洋性気候Cfbである。
③誤り。トナカイは北極圏の遊牧である。Dfの北部や ETの気候の地域である。トナカイの飼育頭数が増加して値下がりしたり、土地所有権の主張がうるさくなったりし、遊牧も難しい時代になった。
④正しい。デンマークは協同組合を中心とする酪農が盛んである。乳牛を飼育し、乳製品を輸出する。組合は営農指導と乳製品の集荷加工だけではなく、輸出の商社的機能、資金融通の金融業的機能も果たしている。


2006年地理Bセンター試験第4問

2006-08-25 | 06地理B
2006年センター試験地理B第4問

第4問 資源と産業に関連し、各問いに答えよ。

問1 下の表は原油輸出国(アイウ)から、主要先進国への輸出量を示す(2003年)。アイウは、あとの①~④のうちのどれか。



①アルジェリア  ②インドネシア  ③ベネズエラ  ④リビア 

問2 日本の主要発電所をエネルギー源別に示す。火力発電所は①~④のうちのどの分布図か。



第4問は続く

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解答
問1 (ア)③ (イ)① (ウ)②  問2②
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解説
問1
(ア)ベネズエラは南米唯一のOPEC加盟国。マラカイボ湖周辺の油田が中心である。アメリカに7割以上が輸出されたが、左翼政権が誕生してからは、中国への輸出が増加している。
(イ)アルジェリア。フランスの植民地時代(1834~1962)が長く、フランスとの経済的結びつきが強い。ただし、フランスはエネルギーの海外依存には危機感があり、フランス国内に多数の原子力発電所を建設している。
(ウ)インドネシア。東南アジア唯一のOPEC加盟国で、スマトラ島が最大の原油産出地である。原油・天然ガスを日本・韓国に輸出している。しかし原油産出量が減少しているため、シンガポール経由で世界各地から原油を輸入して、それをインドネシア産原油として輸出している。インドネシアには原油精製所がないため、シンガポールから石油製品を輸入している。インドネシアの灯油・ガソリンなどは政府の補助金政策があり、非常に安い。この安い灯油・ガソリンなどを、北朝鮮・中国などに密輸出する業者が少なくない。

問2
①水力発電(日本国内総発電量の9%)
福島県・長野県・富山県などの山間地に多いから、水力発電。
福島県の只見川流域は日本の電源地帯として有名であった。山間の谷間に多数のダムが階段状に建設された。只見川は新潟県では阿賀野川である。
ダムの放水による発電は1時間程度でダムが空になる。緊急に電力が必要になった場合、あるいは毎日電力消費の多い時間帯に、短時間、集中的に発電する。ダム湖に水がなくなると、自然の状態では補給に3日~2年もかかる。深夜に余剰電力を利用して下流からダム湖に水を汲み戻して補給する(揚水式発電)。なお、余剰電力は深夜も操業を続ける原子力・火力発電所の電力である。


②火力発電(66%)
大都市周辺に多いから、火力発電。火力発電の燃料として、値段の安い輸入石炭が使われる。石油(重油、原油)は価格の変動が上昇基調のあるので、火力発電への利用は減少している。液化天然ガスLNGをエネルギーとする火力発電所が増加している。LNGは価格が高いが、複数年にわたる長期契約で安定輸入ができる。大都市周辺の火力発電所には、クリーンエネルギーの天然ガスが使われる。

③原子力発電(24%)
福井・福島には原子力発電所が多く、海岸線の一部は原発銀座といわれる。
原発が全部操業すると、日本の総発電量の40%を占める。しかし、定期点検・故障で休止中の原発がある。また電力会社の安全性欠如のため、政府から操業停止を命令された発電所もある。原子力発電所の2004年の実績では24%である。
1986年のチェルノブイリ原発事故以来、原発から他の安全なエネルギーに転換をめざした国が多いが、風力・太陽光など現在の技術水準では実用性に欠け、再び原発に戻ろうとしている。

④地熱発電(1%以下)
大分県・岩手県など、火山・温泉の近くなので、地熱発電。
地下から高熱高圧の水蒸気を取り出し、発電タービンをまわす。チェルノブイリ事故があった時には期待が大きかったが、地熱発電は近隣市町村をまかなう程度の発電量であり、将来にはあまり期待ができない。むしろ、地下からの高温水蒸気に含まれる有害化学物質の除去にカネがかかり、地熱発電の新規建設が進んでいない。

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日本経済新聞(2006.8.2) 最近の原発の動向を詳しく
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中部電力は8月1日、浜岡原発5号機(静岡県御前崎市、138万キロワット)がタービンの事故で停止した問題を受け、タービン製造元の日立製作所1000億円超の損害賠償を請求する方針を固めた。事故は日立の設計不良が原因であると判断。今年度末まで浜岡5号機の運転が停止した場合を想定し、不足電力を割高な火力発電などで補うための追加コスト分を請求する。国内企業同士の損害賠償請求額としては過去最大級という。
中部電力浜岡原発5号機は6月15日に、異常振動をともないながらタービンの羽根が折れ、他の羽根を折る事故に拡大した。5号機の操業は中止。
日立の製造した志賀原発(石川県)でも、緊急点検の結果、同様にタービンの羽根が多数折れているのが発見され、操業が中止された。
日立の技術力低下が問題である。浜岡原発を所有する中部電力は5号機操業停止の損害の半分1000億円を日立に請求する。
志賀原発を所有する北陸電力も、損害額が分かり次第、日立に損害賠償を請求する予定である。

 

06年第4問(続き)

2006-08-25 | 06地理B
2006年センター試験地理B第4問(続き)

問3 下表のグラフは、主要国(韓国、中国、日本、アメリカ合衆国)の鉄鋼生産量の推移を示す。アメリカ合衆国のグラフは①~④のうちのどれか。


問4 次の(カ)(キ)(ク)は、あとの①~④のうちの説明である。それぞれ何か。
(カ)先進国が生産を独占するハイテク製品であったが、現在はアジアが世界生産の大半を占める。特に中国は、世界有数のアメリカ企業を買収し、世界市場に向けた生産を増やした。
(キ)先進国のうちでも、ドイツ、フランス、イタリアが伝統的高級品を生産する。日本と中国は大量生産システムの工場で、格段の技術のない低賃金労働者が働いている。アメリカは、輸入品増加のため、国内企業の経営不振が問題になっている。
(ク)先進国の有名企業が自国内で数量限定の最高級品を生産する。発展途上国の企業とは合弁企業をつくり、低賃金労働力によるブランド品を大量生産し、世界中に輸出する。

 ①衣服   ②自動車  ③パソコン(PC)  ④船舶 


問5 発展途上国の産業地域について、不適当な説明は次の①~④のどれか。 
①インドのバンガロールはソフトウェア産業が集積し、インドのシリコンバレーといわれる。
②中国のシンチェンは経済特区の指定を受け、多数の外国企業が進出した。
③フィリピンのマニラ郊外では原油が産出されるので、石油化学工業が成立発展した。
④マレーシアのクアラルンプール郊外には、世界各地から通信情報産業を誘致するため、サイバージャヤが建設された。


問6 下図は製造業従事者について、平均賃金の高い、中程度、低い、の3ランクを都道府県別に示す。各ランクに該当する説明を①~④から選べ。
①電気機械・一般機械・輸送機械の仕事に従事する者が多い。
②食料品・衣料に従事する者が多く、電気機械・輸送機械は少ない。
③電気機械・食料品に従事する者が多く、輸送用機械は少ない。
④一般機械に従事する者が多いが、他業種はほとんどない。 



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解答
問3② 
問4(カ)③ (キ)② (ク)① 
問5③  
問6(高位)① (中位)③ (低位)②
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解説
問3 各グラフは次の国である。 
①日本
臨海型の大型製鉄所で、自動車用・ステンレス用の高級品を生産する。生産工程の自動化が進み、少人数で操業(装置産業)。多品種の大量生産をしている。高級品では国際競争力が強い。
②アメリカ
鉄鋼需要側、例えば自動車企業は、安くて高品質の鉄鋼を、国籍を問わず、世界中から仕入れる。アメリカ国内の鉄鋼業は、輸入品に負ける。アメリカ政府が鉄鋼の輸入制限をして、アメリカの鉄鋼業を保護している。
③中国
市場経済化が進むと、鉄鋼の需要と生産が急増した。しかし、国内の石炭と鉄鉱石の供給が限界に達し、オーストラリアなどから鉄鉱石・石炭の輸入が増加した。
④韓国
浦項製鉄所が韓国各地の製鉄所のモデルになった。韓国内で自動車・電機産業が発展し、高級鉄鋼の生産が間に合わず、輸出より輸入量の方が多い。

問4
(カ)PC(パソコン)
2005年に世界で生産されたPCは1億6842台。そのうち中国で1億3333万台が生産された。世界の80%のPCが中国製である。アメリカ最大のPCメーカーIBMのコンピューター事業は、事業丸ごと中国企業LENOVO(聯想)に買い取られた。
(キ)自動車
大量生産で大衆車の輸出が急増したのが中国である。国別生産台数ではドイツを抜いた。1位アメリカ、2位日本、3位中国、4位ドイツである。
中国では日本・ドイツなどの旧型自動車を安く生産し、国内に安く供給するとともに、発展途上国への輸出を増やした。メーカー別では日本のトヨタが世界第1位。
(ク)衣料
最高級品はフランス、イタリア、ベルギーなどで少量生産される。伝統的な産業を少数の職人が守っている。
日本人向けブランド品は、先進国とインド・中国などの企業との合弁会社が、低賃金労働者を使って大量生産する。また、日本の衣料スーパー向けの安価な衣料品は、中国・インド・ベトナムなどの現地企業が受注し、大量生産する。

問5
①正しい。インドのバンガロールは科学技術大学とインド軍の司令部があり、産軍共同のソフトウェア開発が進んだ。
②正しい。共産主義から資本主義への移行を早めるため、中国政府は漁村シンチェンを経済特区に指定し、外国企業を誘致した。
③誤り。マニラ郊外では原油が産出されない。
④正しい。マレーシアにはブミプトラ政策があるが、サイバージャヤでは英語が使われ、国際的ハイテク産業の育成を図っている。

問6
日本では電機産業が全国的に分布する。他の産業で比較しなくてはならない。賃金の高いのは自動車とその関連産業である。
①電気機械・一般機械・輸送機械。最も賃金が高い(高位)。
②食料品・衣料とも低賃金労働力を必要とする(低位)。
③電気機械・食料品。食料品は低賃金(中位)。
④一般機械だけが単独で存在する工業地域はない。



2006年センター試験地理B第5問

2006-08-25 | 06地理B
2006年地理B第5問

第5問 ラテンアメリカについて、各問いに答えよ。

問1 地図中のABCの河川について、該当する説明を、①~⑤から選べ。
① 上流にはグランチャコといわれる草原があり、粗放的な牧畜が行われている。下流域はパンパといわれる草原であり、商業的な農牧業が発展している。
② 流域の大部分が森林でおおわれ、流域面積は世界最大である。本流・支流沿いには農産物・鉱産物などの輸出港があり、大型船舶が航行している。
③ 源流となる上流の支流域は多雨地帯である。中流・下流の砂漠でも流量の多い河川であり、外来河川といわれる。河口付近は原油産地である。
④ 流域にはリヤノといわれる草原地帯が広がる。下流部分では牧畜業が盛んだが、外国資本による鉄鉱石の採掘も行われている。
⑤ 河口部分の2国は、先住民インディオと移住して来た白人との混血メステゾが多い。ラテンアメリカでは最もメスチゾの割合が高い地域である。
   


問2 下図は南アメリカの1月と7月の降水量分布図である。その説明として、不適当なものを、①~④から選べ。



① K地点の月降水量は、1月に200mm以上、7月に100mm以上である。ここで1年中降水量が多いのは、赤道低圧帯の影響である。
② L地点の月降水量は、1月も7月も100mm未満である。ここで1年中降水量が少ないのは、沖合を流れる寒流と中緯度高圧帯の影響である。
③ Mの月降水量は1月に100mm以上、7月に100mm未満である。ここで1月に降水量が多いのは、前線や低気圧の影響である。
④ Mの月降水量は1月に100mm未満、7月に100mm以上である。ここで7月に降水量が多くなるのは、偏西風帯が北上するためである。


第5問は続く

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解答
問1 A④ B② C①  
問2②
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解説
問1
① C:ラプラタ川。
上流ピルコマヨ川とパラグアイ川にはさまれたパラグアイとアルゼンチンに一部は、気候がAw・Cwである。夏の雨季には牧畜の盛んなグランチャコ(草原地帯)が湿原になる。牧畜は高地に移動する。
下流域はパンパといわれる温帯草原であり、商業的混合農業が盛んである。
② B:アマゾン川。
流域の大部分が熱帯雨林セルバにおおわれる。19世紀のマナウシは天然ゴムの積出港としては世界最大であった。
③------該当なし。
アフリカのサハラ砂漠を流れるニジェール川。源流のギニア・シエラレオネ・リベリアは降水量が非常に多いため、の支流域は多雨地帯である。中流・下流のサハラ砂漠でも流量の多い河川である。ニジェール川は外来といわれる。ニジェール川河口付近のナイジェリアは原油産地である。
④ A:オリノコ川。
上流はベネズエラとコロンビアの熱帯草原リヤノを、東に向かって流れ、肉牛放牧地帯になっている。ベネズエラのサバナを東に流れる。ベネズエラはOPEC加盟の産油国でマラカイボ湖底油田が有名であったが、オリノコ川河口付近で油田が発見され、採掘が始まった。また、アメリカ企業がオリノコ川流域て鉄鉱石を発見(エルパオ)、アメリカに輸出している。
ベネズエラは原油がアメリカとオランダの支配下にあることに大きな不満があり、中国への石油量を増やしている。
⑤ Cの説明だが、メスチゾの多いことが誤り。Cのラプラタ川河口には、左岸がウルグアイ、右岸がアルゼンチンである。ウルグアイの白人割合は91%であり、先住民インディオとの混血メスチゾは8%である。アルゼンチンは白人95%、メスチゾは3%である。
ラプラタ川河口はパンパといわれる温帯草原であり、スペイン人が先住民インディオを追放してヨーロッパ型の混合農業を展開した。アルゼンチンもウルグアイも典型的な白人国家である。

問2 赤道、南回帰線、北回帰線を記入するとわかりやすくなる。赤道付近は年中多雨、回帰線付近は夏の乾燥する傾向がある。
1月は南半球は夏である。7月は南半球は冬である。太陽は赤道より北にある。


①正しい。Kはペルーのイキトス。アマゾンの船舶の遡及限界であり、熱帯雨林セルバが広がる。年中多雨であるのは、赤道低圧帯の強い影響で、ほぼ毎日スコールがあるためである。
②誤り。赤道直下のため、亜熱帯低圧帯(中緯度高圧帯)の影響は誤り。また沖合を流れるには南赤道海流(暖流)である。降水量が冬にやや少ないのは、南東貿易風が吹いた時、地形的に風下になるからである。
③正しい。Mは年中多雨だが、それでも夏に多く、冬はわずかに少ない。夏は移動性低気圧が多いからである、
④正しい。Nはチリ南部の地中火星気候Csの地域である。夏1月は亜熱帯高圧帯(中緯度高圧帯)の影響と、夏には冷たいペルー海流(寒流)の影響で乾季である。ペルー海流は寒流だが、チリ南部の海水温は年中10℃であり、冬には暖かく感じられる。冬7月には偏西風の北上とペルー海流(暖かい寒流)の影響で、多雨域が広がる。

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寒流の影響について、少し詳しく説明。
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ペルー海流(寒流)の影響。
海水温は年中10℃である。南極に近い地域では暖流のような暖かさである。
中・低緯度ではペルー海流の海水温は、常に気温よりも低いから、霧ができて太陽光がささない。上昇気流ができず、雨が降らない。このため、アタカマ砂漠、ペルー砂漠のような海岸砂漠ができる。さらに亜熱帯高圧帯が夏の乾燥を加速する。
10年か15年の間に2、3年、ペルー海流の水温が上昇し、海岸砂漠に雨を降らせることがある。砂漠が草原や花園になる。エルニーニョ現象といわれ、世界の異常気象と密接につながっている。

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カリフォルニア海流(寒流)の影響。
北アメリカを南下するカリフォルニア海流は、寒流である。カリフォルニア沿岸の海水温は冬12℃、夏16℃でる。
カリフォルニア海流は冬は気温よりも高いので雲をつくり、雨を降らせる。冬が雨季である。
夏は気温よりも水温が5~10℃も低いので、午前中は低層に霧ができて日射をさえぎる。昼には霧が解消するが、海水温が低いために雨雲はできず、夏は晴天が続く。夏は乾季である。夏が乾季の他の要因として、夏だけは亜熱帯高圧帯の影響があるということである。
カリフォルニアは夏は乾季、冬は雨季の地中海性気候Csである。 
カリフォルニア海流、北赤道海流、黒潮、北太平洋海流、カリフォルニア海流というように、北太平洋では名前を変えて海流が一回りする。これが環流である。大西洋にも環流が存在する。