センター試験地理B2009年 

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2008年センター試験 地理B第5問解答解説

2008-01-22 | 地理解答
2008年センター試験 地理B第5問解答解説

第5問 人口問題


問1 次の図1は、国会の議員中の女性議員の割合を示す。ABCのの正しい組合せを、①~⑥から選べ。【25】



【25】解答⑥
解説 凡例A:女性議員20%以上。
女性議員の割合が高い国は、福祉水準の高い北欧諸国に多い。女性の権利、女性の社会進出が、制度的に保障されているためである。
女性議員の割合の高い国(2007年)
スウェーデン 47.3%
フィンランド 42.0%
ノルウェー 37.9%
ドイツ 31.6%
ルワンダ(アフリカ) 48.8%
オーストラリア 24.7%
凡例B:女性議員が10%~20%である。
日本(衆参計) 11%
アメリカ(下院)16.3%
イギリス(下院)19.7%
★ 人口問題 124p


問2 図2のEFG3国の2000年における、64歳までの人口ピラミッドである。図3は(ア)(イ)(ウ)3国の全人口に占める65歳以上の人口割合の推移と予測を示す。図2のEFGと図3の(ア)(イ)(ウ)の正しい組合せを、①~⑥から選べ。【26】






【26】解答②
解説 E-(ア):イギリス。高齢社会がゆっくり進むので、福祉政策を丁寧に展開できる。
F-(ウ):インドネシア。インドネシアは人口増加が続き、高齢化社会になるのは遅い。
G-(イ):シンガポール。図2Gの人口ピラミッドは中国に似ているが、シンガポールである。シンガポールは華僑が多く、中国の政治事情を忠実に反映する。
図3(イ)の高齢化速度は、中国の2030年予測値は16.2%、シンガポール27.4%である。(世界国勢図会07/08。74p)
★★★ 人口問題 124p


問3 発展途上国がかかえる問題として、不適当なものを①~④から選べ。【27】
① 乳幼児死亡率の低下が一因となり、人口増加が著しい。
② 初等学校では女性の就学率が低く、教育面での男女差がみられる。
③ 不衛生の不良住宅地区は、農山村を中心に形成される。
④ いくつかの都市には、ストリートチルドレンがみられる。


【27】解答③
解説 ①○ 発展途上国では、多産少死の人口爆発の状態である。多産多死の状態が終わり、少産少死の先進国型人口構成になりつつある。子どもと老人が少ないと、労働者は賃金を全部、自分のものとして使うことができる。国全体が同じ傾向にあると、高齢化社会の到来までは、経済水準が向上する。人口ボーナスといわれる。現在の中国、インドがその例である。
②○ イスラム世界では、女性に対して根強い差別がある。国によっては、就学が困難であるだけではなく、外出さえも自由にできない。
③× 不良住宅地区は大都市にあり、スラムといわれる。農村などから大都市に仕事を求めて来ても、満足な仕事がなければスラムに住むことになる。
④○ 家族全員が働いて生計の成り立つ貧困家庭が多い。子どもは貴重な労働力だが、子どもの多い家庭はカネがかかって貧困から抜け出ることが難しい。
★★ 都市構造 68p


問4  言語・宗教・民族などの歴史や動向について、正しい説明を①~④から選べ。【28】
① 北アイルランドでは、人口の6割を占めるプロテスタントと、少数派の東方正教徒との間の対立が続いている。
② 旧ソ連地域では、連邦解体後には、民族を単位とした多くの共和国が独立をしたため、旧ソ連時代の民族問題は解決した。
③ ブラジルでは、多様な人種の間にも均質な文化がみられ、国民のほぼすべてが日常生活ではスペイン語を使っている。
④ カナダのケベック州では、古くからフランス系住民が住んでおり、連邦政府からの分離独立運動がみられる。


【28】解答④
解説 ①× 少数派は東方正教ではなく、カトリックである。東方正教はロシア正教やウクライナ正教など、スラブ系のキリスト教である。カトリックはラテン民族のキリスト教である。
②× ソ連が解体してロシアが復活した。そのロシアからの離脱を考えるチェチェン共和国の例がある。また、ロシアとウクライナの対立のような、異なる共和国間の対立もある。
③× ラテンアメリカにはスペインの旧植民地が多い。しかし、ブラジルはスペイン植民地ではなく、ポルトガル植民地であった。ブラジルでは、旧宗主国の言葉ポルトガル語が使われる。
④○ カナダのケベック州はフランス人の方が多い。フランス語圏の独立運動が行われた。独立運動は失敗したが、フランス語と英語が対等になった。カナダの多文化主義とは、フランス語と英語を学校教育では対等に扱い、国内外の公的文書には2言語表示をすることである。
★★★ 民族問題 130p


問5 次の表1は、スウェーデン、スペイン、ドイツ、フランスにおける外国人労働者の国籍について、その国籍別人口の上位3位を示したものである。①~④はそれら4国を示す。ドイツに該当するものを、①~④から選べ。【29】 



【29】解答②
解説 ①フランス。アルジェリアとモロッコは元フランス植民地であり、フランスに出稼ぎに来て、低賃金労働者として働いていた。 
②ドイツ。1990年以前、西ヨーロッパでは低賃金労働者が不足し、出稼ぎ先のないトルコ人を積極的に西ドイツに集めた。
③スペイン。モロッコはフランス・スペインの2国の植民地であった。エクアドル・コロンビアはスペインの植民地であった。
④スウェーデン。北欧には、北欧からの出稼ぎ労働者が集まった。
★ 世界の人口 122p


問6 図4のLKMの3地域の歴史についての説明は、あとの説明(カ)(キ)(ク)のいずれが該当するか。①~⑥の組合せから選べ。【30】


(カ)ユダヤ人国家の建国にともなって、多数の難民が発生した。
(キ)統一国家が崩壊し、複数の民族。国家間の紛争が長く続いて、難民が発生した。
(ク)干ばつなどの自然災害の他、内戦がいくつも重なり、難民が発生した。


【30】解答③
(カ)-L 1イスラエル。1947年、国連でユダヤ人国家イスラエルの建国が承認された。イスラエルの建国の地パレスチナに住んでいたイスラム教徒の大部分は隣国に逃れ、パレスチナ難民となった。
(キ)-K ユーゴスラビア。多民族国家だったが、チトーの政治力によって統一国家になっていた。チトー大統領が1980年に死去、以後、ユーゴスラビアでは、カトリック、ギリシャ正教、イスラム教、無宗教などの民族を単位として、内戦が始まった。
(ク)-M ソマリア。北部がイギリス、南部がイタリアの植民地であった。1970までには全土の独立を宣言した。全土の大半が砂漠である。1978年には隣国エチオピアと領土戦争をして負けて、多数の難民を出した。経済的自立は難しく、各国からの経済・軍事援助に依存している。
★★★ 民族問題 130p
★★ 地中海沿岸の地誌 92p



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