2006年1月センター試験地理B第1問
第1問 あとの地図を参照し、各問いに答えよ。
問1 アイウのうち、実際の距離が長いのはどれか。
問2 PQRSの4地点で、最も高度が高い地点はどれか。
問3 Kの対蹠点はどこの国か。
問4 Xの地点は、どのような気候か。
第1問は続く
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解答
問1ア 問2Q 問3ニュージーランド 問4地中海性気候
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解説
問1
世界地図を衛星写真から考える。
赤道の全長は4万kmである。北極に近いほど緯線は短くなり、北緯60度の緯線の長さは2万kmである。つまり、問題の地図では、(ア)が最も短く、(ウ)が最も長いことになる。
赤道上で経度差20度の長さ(ウ)は、40,000×20/360=2,222kmとなる。
問2
P:カスピ海に注ぐ、ボルガ川の三角州。カスピ海湖面高度は-28mであり、ボルガ川の河口地帯はカスピ海沿岸低地である。
Q:アフリカ唯一の新期造山帯アトラス山脈がある。アルプスヒマラヤ造山帯に属するが、火山はない。最高峰トゥプカル山4,165m(モロッコ)。
R:ナイル川下流域であり、しばしば支流青ナイルの増水のため、夏に洪水が起こった。この上流にアスワンハイダムを建設し、洪水を防いだ。
S:ナイジェリアの外来河川ニジェール川。カインジダムの建設地点あたりである。ニジェール川は西アフリカの多雨地帯を水源とし、サハラ砂漠を流れる外来河川である。河口はナイジェリアの産油地帯である。
問3
Kは陸半球の中心。その反対側(対蹠点)はニュージーランド領のアンチポデス諸島である。アンチポデスは対蹠点という意味である。アンチは反対、ポデスはペダルで連想できるように、足のことである。アンチポデスは「足の裏」の意味。
ロンドンが近いから対蹠点は日付変更線に近いことから、ニュージーランドと答えることができる。
問4
ローマなど、イタリアの沿岸地域と南部は地中海性気候である。夏には亜熱帯高圧帯におおわれ、砂漠同様に乾燥する。夏は雨季、夏は乾季である。
なおイタリア北部・内陸は年中降水量が多く、日本と同じ温暖湿潤気候Cfaである。
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小縮尺の地図について、詳しい解説
1.北緯60度の緯線の長さが20,000km(赤道の半分)である。
赤道の長さ 2πR=40,000
rとRの関係は r=cos60・R=1/2・R
(rとRは60度の直角三角形をつくるので、rはRの半分)
従って、北緯60度の緯線全長は、次のように赤道の半分になる。
2πr=2π(1/2・R)=πR=20,000km
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2.等角航路と大圏航路の考え方。
図2のaはXY間の等角航路である。
XからYに向かう航路は、北Nと一定の角度で進むと、aの等角航路を進むことになる。確実に目的地に到着できるコースだが、遠回りになる。メルカトル図法では、等角航路が直線になる。
bは最短航路、つまり大圏航路である。地球を2等分する円の一部分である。航空機だけではなく、最近の船舶の航路にもなっている。
地球を2等分する円が「大円」である。大円上の2点間を結ぶ線が、大圏航路になる。
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3.方位、世界地図の東西は間違いやすい。
図3から、東京中心の東西の方位を拾い上げて線で結ぶと、下図のようになる。
アメリカが日本の東というのは間違い、ヨーロッパが日本の西というのも間違いである。
インドは東京の西にある。しかしインドから見て、日本が東というのは間違い。世界地図の小スケールにおいては、西の反対は東ではない。東の反対は西ではない。
第1問 あとの地図を参照し、各問いに答えよ。
問1 アイウのうち、実際の距離が長いのはどれか。
問2 PQRSの4地点で、最も高度が高い地点はどれか。
問3 Kの対蹠点はどこの国か。
問4 Xの地点は、どのような気候か。
第1問は続く
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解答
問1ア 問2Q 問3ニュージーランド 問4地中海性気候
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解説
問1
世界地図を衛星写真から考える。
赤道の全長は4万kmである。北極に近いほど緯線は短くなり、北緯60度の緯線の長さは2万kmである。つまり、問題の地図では、(ア)が最も短く、(ウ)が最も長いことになる。
赤道上で経度差20度の長さ(ウ)は、40,000×20/360=2,222kmとなる。
問2
P:カスピ海に注ぐ、ボルガ川の三角州。カスピ海湖面高度は-28mであり、ボルガ川の河口地帯はカスピ海沿岸低地である。
Q:アフリカ唯一の新期造山帯アトラス山脈がある。アルプスヒマラヤ造山帯に属するが、火山はない。最高峰トゥプカル山4,165m(モロッコ)。
R:ナイル川下流域であり、しばしば支流青ナイルの増水のため、夏に洪水が起こった。この上流にアスワンハイダムを建設し、洪水を防いだ。
S:ナイジェリアの外来河川ニジェール川。カインジダムの建設地点あたりである。ニジェール川は西アフリカの多雨地帯を水源とし、サハラ砂漠を流れる外来河川である。河口はナイジェリアの産油地帯である。
問3
Kは陸半球の中心。その反対側(対蹠点)はニュージーランド領のアンチポデス諸島である。アンチポデスは対蹠点という意味である。アンチは反対、ポデスはペダルで連想できるように、足のことである。アンチポデスは「足の裏」の意味。
ロンドンが近いから対蹠点は日付変更線に近いことから、ニュージーランドと答えることができる。
問4
ローマなど、イタリアの沿岸地域と南部は地中海性気候である。夏には亜熱帯高圧帯におおわれ、砂漠同様に乾燥する。夏は雨季、夏は乾季である。
なおイタリア北部・内陸は年中降水量が多く、日本と同じ温暖湿潤気候Cfaである。
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小縮尺の地図について、詳しい解説
1.北緯60度の緯線の長さが20,000km(赤道の半分)である。
赤道の長さ 2πR=40,000
rとRの関係は r=cos60・R=1/2・R
(rとRは60度の直角三角形をつくるので、rはRの半分)
従って、北緯60度の緯線全長は、次のように赤道の半分になる。
2πr=2π(1/2・R)=πR=20,000km
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2.等角航路と大圏航路の考え方。
図2のaはXY間の等角航路である。
XからYに向かう航路は、北Nと一定の角度で進むと、aの等角航路を進むことになる。確実に目的地に到着できるコースだが、遠回りになる。メルカトル図法では、等角航路が直線になる。
bは最短航路、つまり大圏航路である。地球を2等分する円の一部分である。航空機だけではなく、最近の船舶の航路にもなっている。
地球を2等分する円が「大円」である。大円上の2点間を結ぶ線が、大圏航路になる。
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3.方位、世界地図の東西は間違いやすい。
図3から、東京中心の東西の方位を拾い上げて線で結ぶと、下図のようになる。
アメリカが日本の東というのは間違い、ヨーロッパが日本の西というのも間違いである。
インドは東京の西にある。しかしインドから見て、日本が東というのは間違い。世界地図の小スケールにおいては、西の反対は東ではない。東の反対は西ではない。