六日のあやめ

にこやかに言われて傷つく

映画「任侠ヘルパー」は、アニキのカッコ良さにホレボレするけれど、老人介護に関することはもちろん、貧困や孤独等の切なさが描かれていて胸に詰まることも多い。

美保純さん演じる特別養護老人ホームの職員が、母親の状態が悪化していることを訴える葉子に対して「これから毎日顔見せてあげたら、だんだん思い出すんじゃないかな」って言うシーンがある。
発言した側に悪気はなくても、この言葉は葉子を傷つけるものだと思い、私まで悔しい気持ちになる。
連ドラのときには、施設に預けたままで面会に来ない家族を否定的に描くこともあったけど、映画での葉子の場合、母親を高額の施設に入れるためには高利貸しに頼るしかなく、その借金返済で昼も夜も必死で働いてクタクタになってる、毎日の面会なんて大変過ぎる。
毎日顔見せてあげればいい、って簡単に言えるのは、世の中には底辺で生活している人もいる、ってことを全く考えてない人だと思う。
美保さんがまた上手で、”私は間違ったことは言ってませんよ”ってな雰囲気を出してて、そのにこやかさに私は余計に腹立たしく感じる。(笑)

施設見学に行ったときに「個室だから料金はちょっとするけど、大丈夫か?」って言ってた八代も、底辺の生活わかってないおぼっちゃまだったよねぇ。
うみねこローンへの借金シーンより前だから、私も映画初見のときは、「それぐらいの蓄えはあるよ」って答えた葉子の言葉を疑いなく聞いたんだけど、日々の生活に精一杯で蓄えの余裕なんかあるわけないんだよね。見栄かわからないけど、お金がないと言ったら施設に入れてもらえない、と思ったのかもしれない。
映画鑑賞2回目以降は「蓄えはある」って嘘を答えた葉子の笑顔が切なくてたまらない。

底辺の生活を想像できない高級施設の職員さんの言葉とは対照的に、ラーメン食べながら彦一が子どもたちに言ったこと「かあちゃんだって、あれだよ、おめぇ、その、なんだ、ばあさん、施設に入れるためにだよ、あれだよ、がんばってやってんだ・・」この言葉は温かいよねぇ。
スラスラと言うんじゃなくて、あの、その、入れての話し方で、それがまた余計にグッとくる。
あー、毎日でもアニキに会いたいけどそれはさすがに難しい、明日はFさんが出張だからレイトショーに絶対に行くぞおぉ。

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