Cutting Edge on My Life

社会心理学者の筆者が切り取った日常[Academic Life/Social Life/IT Life]を書き溜めます.

電子書籍は出版業界の黒船なのか

2010-05-08 09:25:43 | Social Life
電子書籍は一体誰が恐れているのか 1

はじめに元ネタの元ネタについて,本屋さんというビジネスモデルと紙の書籍とを分けて考えた方がよい.
小寺さんの言うとおり,本屋そのものはもう終わっているビジネスモデルだと思う.ネット書店の方が,品揃えは多く,品切れ状態も少なく,探すのが容易で,「最近こんな本が出ましたよ」「あなたひょっとしたらこんな本に関心がおありじゃないですか」などと,わざわざ言ってきたりもする.

「おまえはもう死んでいる」のだ.

既存の本屋がネット書店を上回っているところはあるのだろうか.
ターミナル駅の大型書店に行っても,ただの暇つぶしっていう感じで店にいることが多い.って言うか,本屋は他の業態(×他の小売,×カフェ…)と組み合わせて存続していくしかないと思う.実際それを思わせる店舗はいくらでも思いつく.

一方,紙の本はというと,物理的に印刷物として保持したいというニーズは,やっぱり残るのではないだろうか.音楽の電子配信があっても,CDを買っちゃう人はそれなりにいる.もっとも,音楽の場合,権利がデバイスにひもづけられ,権利の継承がめんどくさかったり,その点で不安を覚えることもあるが(mora winとかは,うっかりケータイから買うと,その楽曲をPCで再生できなかったりする.iTuneは大丈夫なんでしょうか).
物理的な書籍の流通はなくなっても,追加料金を払えば,オンデマンド出版され,紙の書籍が手にはいる,くらいのところで落ち着くのではないだろうか.

タイトルへの答えとしては,私は違うと思う.「黒船」という言葉には望んでいない,人為的な変化というネガティブな意味づけがある.電子書籍の定着は,決してそのような変化ではなく,ネット社会の登場により自然に必然的に起こっていく変化の一つであると思う.だから,好む好まざるに関わらず対応しなければならないものであって,権謀術数を駆使してで退けるものではない.この辺の認識は,小寺さんと共通であると思う.


コメントを投稿