法改正も意識不変 違法ダウンロード激増、音楽配信も急ブレーキ
正直，記事を読んでも腑に落ちないことばかりだったので，出典元と思われるページを見てみた(「思われる」というのは元記事がリンクを貼っていないからだ．ウェブで公開されているのだから，直接貼ればいいものの)．
案の定，曲解が多そうな記事であることが分かった．
記事では，「着うた」の売上高が21年も前年同期比19％減と大幅に減少したことをあげ，日本レコード協会がその理由を「違法サイトからの無料ダウンロード」としていることを紹介している． 一方で，出典元と思われる資料を見ると，次のように書いてある．
音楽業界は，違法ダウンロードによる損失をすべて取り返すべく，海賊たちを槍玉にあげる．しかし海賊たちを撲滅させようというのは非現実的な望みであるだろうし，海賊たちを自らの無策を覆い隠す隠れ蓑に利用しているようにさえ思えるのである．
正直，記事を読んでも腑に落ちないことばかりだったので，出典元と思われるページを見てみた(「思われる」というのは元記事がリンクを貼っていないからだ．ウェブで公開されているのだから，直接貼ればいいものの)．
案の定，曲解が多そうな記事であることが分かった．
記事では，「着うた」の売上高が21年も前年同期比19％減と大幅に減少したことをあげ，日本レコード協会がその理由を「違法サイトからの無料ダウンロード」としていることを紹介している． 一方で，出典元と思われる資料を見ると，次のように書いてある．
「着うたフル®」 は金額で対前年104%と引き続き伸びており、…(中略)…Ringback tunes(待ちうた)は同115%と順調な伸びを見せています。ここを読めば，「着うた®」の売上減少分は，単に「着うたフル®」 や「待ちうた」に吸収されているように見える．そもそも，いくら「着うた®」の売上が減少しようが，それでもって違法ダウンロードが増加したと論理的に結論づけることはできない（必要条件でも十分条件でもないし)． さらに思ったのが，業界は違法ダウンロードがなされることを前提にビジネスを考えた方がいいということだ．記事には次のようにも書いてある．
「１８年の調査で、違法ダウンロードの総数は有料配信より１億４５００万件も多い年約４億７千万曲だった」と明かす。一番安い「着うたフル」（１曲約２００円）に換算すると約９４０億円が闇に消えた計算で、「その後もさらに増えているだろう」。940億円という金額は，実際のところ21年の有料音楽配信の市場規模と同程度である．つまり，現状ネットでやりとりされている2曲に1曲以上は違法なやりとりであると推測される．違法なネットでの音楽のやりとりは，常態化していて，ごく普通のことである． ここまでくると，違法ダウンロードを根絶やしにするのはあきらめて少しでも有料配信の利用者を増やす取り組みをするか，違法ダウンロードを前提にそれでも利益が出るビジネスモデルを考えるしかない．そして，そのどちらも十分にやっていないように見える． 有料音楽配信は，未だに新譜の出回るのが遅く，権利の制限が厳しい割には料金が高いというイメージが拭えない(限られた個人的体験で物をいっているわけだが)．新譜をすぐ配信して料金を安くするだけで，公式に配信された音楽を利用したいという層に訴求できそうなものだが．
音楽業界は，違法ダウンロードによる損失をすべて取り返すべく，海賊たちを槍玉にあげる．しかし海賊たちを撲滅させようというのは非現実的な望みであるだろうし，海賊たちを自らの無策を覆い隠す隠れ蓑に利用しているようにさえ思えるのである．