トロピック・サンダー 史上最低の作戦

中学の同級生に村上君（仮名）というのがいた。

村上君は男ばかり４人兄弟の末っ子だった。

父親は地元では有名な不動産会社の社長だった。

その村上君はモデルガンの改造を趣味としていた。

当時はモデルガンを使った犯罪が問題視され始めていた頃で、

モデルガンには金色のメッキを施さなければならないと

法律で定められたばかりだった。

僕たちは玩具屋で買い求めたモデルガンにトイレ洗剤

（サンポールだったかな？塩酸濃度の濃いやつ）をかけてメッキを剥がし、

それにガンブラックという商標の液体を塗って

ピストルを黒くして悦に浸り、それに飽きると銃身を金のこで切り落とし、

傘の柄を短く切ったものをあてがい、

要はモデルガン改造という犯罪の成立となるわけだ。


だが、それだけでは銃は発射できない。

銃弾が要る。

僕たちは銃弾も工夫して作った。

マネする人がいると困るので詳細は書かない。

それは子供が作った幼稚な仕掛けだったが、それでも

少年マガジンを２冊重ねておき２mぐらい離れたところから撃って、

１冊を貫通し、２冊目の真ん中ぐらいまで食い込む威力があった。


村上君の長兄は陸上自衛隊の隊員で、これも違法行為だが

本物の実弾を家に持ち帰ってくれたりした。

村上君は目を輝かせて、兄から伝え聞いた自衛隊の戦闘訓練を僕たちに話してくれた。

それによると、敵と見方に分かれて実弾を撃ち合うのだ。

今にして思えば、村上君はよくウソをついたので疑問なのだが、

弾は火薬を減らしてあり、当たると痛いが怪我はしないとのことだった。

後年、ゴムの弾を使うとも聞いたが、本当のことは知らない。


とゆー映画には関係のない長い前振りで誠に申し訳がない。

実はただ思い出したから書いてみただけでやんす。

で、短い本題に入るわけです。


この映画の役者たちは皆映画の撮影だと信じて実戦に巻き込まれるわけだから、

もっと、もっと面白い演出ができたはずだ。

俳優が映画の撮影だと信じて危ない場面に身を置くといったら、

三谷幸喜監督の『ザ・マジックアワー』があるではないか！

役者：佐藤浩市が本物のヤクザと知らず西田敏行の前でペーパーナイフを何度も舐めまわし、

西田敏行が「またそこから始めるわけね。」と返す場面！

足をセメント漬けにされて初めて映画じゃないと知る場面！

今思い出しても笑えます。


それに引き換えこの映画。

傲慢プロデューサーも不快だし、

生首もグロでやだった。

おバカさかげんも中途半端で物足りなさ過ぎー。

お金を使いすぎて、製作者も役者さんたちも

心に余裕がなくなってしまったのだろうとしか思えません。


しかし、キューピーの深層心理を探っていくと、

美女が一人も出てこなかったとゆーのが不満の根っこかも…？


思わず日本の映画の自慢をしてしまいました。