田園都市の風景から

筑後地方を中心とした情報や、昭和時代の生活の記憶、その時々に思うことなどを綴っていきます。

福島八幡宮の燈籠人形奉納

2022年10月13日 | 日々の出来事

 秋分の日から三日間は八女にある福島八幡宮の放生会でした。

 放生会では伝統芸能のからくり人形「燈籠人形」が奉納上演されます。最終日の夜の公演に行ってきました。観に行くのは6年ぶりです。左が燈籠人形が上演される組み立て屋台。正面奥が八幡宮社殿です。開演前なのでまだ屋台の前を人々が行き交っています。

 まずは八幡様にお参りします。いまは社殿の大改修中で、隣に仮殿が設けられていました。この八幡宮は、ここから少し東に鎮座する土橋八幡宮から勧請されたものです。

 屋台は三層二階建てで、釘やかすがいを使わずに組み立てられます。一層目は閉じられていて、人形を下から操る下遣いの人が使います。1階部分が舞台で、両方の袖に人形を横から操る横遣いが陣取ります。2階には三味線や太鼓などの囃子方が座ります。上演にあたっては人形方や衣装方、囃子方など数十名が携わるそうです。

 観客席は屋台前と玉石垣。この高台は廃城前、福島城の巽櫓があったところです。

 開演20分前。舞台が始まると2階の囃子方の障子は閉められます。

 幕が開きました。燈籠人形の演目は数曲ありますが、今年は「春景色筑紫潟名島詣」。 6年前に来た時と同じでした。春もたけなわ、殿様が筑前の名島弁財天に詣でます。門前の茶店で盃を傾けていると、いつしかまどろみ、夢の中に童子を連れだった弁財天が現れるというお話。

 名島神社はいまも県庁や九州大学の近く、開発が進む博多湾に臨むところに鎮座しています。昔は信仰を集める景勝地だったのでしょう。

 下手から弁財天が現れます。殿様と太刀を持つ小姓は飾り人形で動きません。舞台の両袖には上演中、後見役と呼ばれる少年が座っています。

 弁財天は舞いながら進んでいきます。奥の両袖からは朱色の橋が出て来ます。

 奥の橋を渡っていきます。見どころの一つ橋渡しです。

 渡り終えました。写真には写っていませんが、橋の上にはもう一人の女性がいます。

 もう一つの見どころ、衣装の早変わりです。

 早変わりは一瞬の間で、観客席から拍手がわきます。

 よく見ると後見役の子どもは途中で交代しているようです。

 燈籠人形は江戸時代、大阪豊竹座で浄瑠璃作者をしていた福松藤助が八女福島に帰郷後、人形芝居の基礎を形作ったものです。郷土史家によると福松は松延甚左衛門といい、福島の大庄屋の身分でしたが、職を放擲して大阪の浄瑠璃世界に身をおいたという。いまは国の重要無形民俗文化財に指定されています。

 上演時間は30分ほどです。艶のある伸びやかな女性の唄がいいですね。テンポの速い洋楽とは違う心地よさがあります。このあと、燈籠人形の最終上演が行われます。その時には囃子方の障子が開け放たれるそうです。それも一度見てみたい。

 八幡宮から本町筋を通っての帰り道、八幡宮の方を振り返る。お城のあった久留米には城下町の面影はあまりなく、周辺の在郷町にこうした伝統芸能や街並みが残っています。

 昨日の朝は少し冷え込みました。今年は寒気が来るのが早いようです。子どもの頃、10月も半ばになると母親に炬燵をねだっていたことを思い出しました。でも予報ではまた暑くなるらしい。このまま秋が深まってほしいものです。

 

 

 

 

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