けいはんのはざまにて

心にうつりゆくあれこれについて忘れぬうちに書きとめよう

涸沢キャンプ(2)

2018-08-05 04:24:51 | 登山

 8月1日(水)快晴。4時過ぎ、出発準備する人の物音で目が覚める。
 4時30分起床。トイレと洗面・水汲みに出かけ目を覚ませようとする。今日は涸沢まで。朝はのんびりできる。5時頃から穂高の山頂に日が差し始めた。いわゆるモルゲンロート(朝焼け)だ。美しい。




 明るくなるに連れ木の上が騒がしくなる。サルだ。若いオスザルが、高い木の梢をガサガサ揺らしてディスプレイする。もう1匹のサルの背後に回りマウンティングした。順位の確認だ。その後お互いにグルーミング(毛繕い)を始める。トイレの帰り、園内を悠々と歩くサルを見た。10数年に現れたと思うがサルたちはすっかり上高地の生活に溶け込んでいる。 

 テントのそばの丸太のベンチの上で朝食準備。コーヒーを入れ、バウムクーヘン・みかん・トマトをいただく。コーヒーで体が温まる。
 5時台に出発する人が多かったが自分は6時10分に出た。静かな朝の森。川沿いの道を上がり下がりしながら歩く。記憶より早く7時に横尾山荘に到着。トイレ休憩。
 

 ここで槍方面の人達と別れる。梓川に架かる橋を渡り屏風岩の麓を回る長い上り坂に入る。 





 何度見ても大迫力の屏風岩。写真を撮りながら9時頃本谷橋を通過。1時間に一度休憩するペースで歩く。本谷橋は絶好の休憩ポイント。朝から多くの人が清冽な川を眺めて休んでいた。 





 途中で上方の斜面が大きく崩れた沢があった。そこに新しく石を組み直し道が通してある。山が崩れる度、山小屋の方が大変な労力をかけて道を修復する。そのおかげで自分たちはこうして安全に歩くことができる。感謝。
 ようやく進行方向に奥穂高の山並みが見えて来た。涸沢ヒュッテのテラスに立つ幟が見え始める。しかし、ここからの道のりが長い長い。なかなか到着しない。「ビールとおでん、ビールとおでん」と心の中で呟きながら10時30分。ようやくヒュッテの上に出た。テラスの楽しげな話し声。ぐっと我慢してまずはテント場に。 





 テントを設営する人はまだ少ない。じっくり場所選びが出来た。北穂高の麓に建つ涸沢小屋に向かって、川原を横切る道。大きな石が敷き詰めてある。その途中カール(圏谷)上方のテント場の一番奥まった辺り。周りを大きな岩で囲まれた広めのスペース。ここに決めた。
 自分なりの選定基準に考えたのは
①小石の床面が水平でデコボコが少なく広さがあること。②なるべく通り道にならないこと。③腰掛けたりかまどを作れる岩がそばにあること。④できれば周りから独立したスペースであること、など。この場所は条件にぴたりと合う場所だ。
 今回初めて知ったが、テントの下に敷く1cm厚の合版を管理棟で貸し出していた。1枚500円。これはいい。整地して合版を敷きテントを設営した。テント場の受付は2時半から(1張1000円)。荷物をテントにしまってウキウキしながらテラスに向かった。
 



 「おでんセット!」「はい。1500円」。このためにわざわざ涸沢に来る人もきっといると思う。なぜなら自分がそうだから。このテラスから見える涸沢カールと穂高連峰、谷を挟み反対側の常念から大天井へと続く山並み。その眺めを肴に冷えた生ビールをいただく。これ以上の爽快な気分、極楽気分を味わえるひと時はあまりないのではと思う。未経験の人はぜひ来てお試しあれ。

 ひとつ向こうのテーブルに腰掛けていた男性(後で移って来られた)と、2時間以上も話をした。Nさんだ。「実は自分はネパール出身」と聞き「!!」と驚いた。日本語がとても達者なのだ。お父さんがイギリスで軍人として働いていた関係で16歳から交換留学で来日。信州大学に在学中ワンゲル部で4年間、この涸沢ヒュッテでバイトしていたそうだ。
 毎年仕事に一区切り着くとこちらに来る。バイト中の山小屋の仕事の大変さ、故郷やご家族、現在の仕事について色々聞かせていただいた。現在は東京で会社を経営し、お店もいくつか持っておられるという。
 「ここのビール美味しいでしょ。暑くないからビールがいつまでも冷たいからね」なるほどと納得した。「東京に来たら連絡してね」と名刺を頂き、お別れした。

 「テラスの営業は5時まで」とNさんに聞いていた。テントで夕飯を食べた後4時半にまたビールを飲みにテラスへ。Nさんはいなかったが、外国人の方が一人で座っていたので相席した。
 オーストラリアから観光で来たHさん。単語を並べた超下手くそな英語で色々と話をした。わからないときはHさんがスマホの電子辞書で日本語を示し、助けてくれた。ここに来る前、東京の渋谷などを回って来た。人間の多さに驚いたこと、泊まったカプセルホテルのこと等々。ここではテント泊だと。
 見ず知らずの人とのんびりくつろげるこのテラスは最高だ。

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